最初に
一般的に投資不動産を販売する不動産営業マンのノウハウとして「勘・経験・度胸」の大事な3つがあるといわれています。しかし、投資不動産を購入するかどうかは、営業マンの熱意や勘に左右されることなく全て数字に基づいた然るべき判断基準で判断するべきです。
不動産投資で失敗する大きな原因は、「分析不足」と「知識不足」にあります。
今回の記事では、投資を始める前に身に着けておきたい、不動産投資の基礎知識をできるだけ分かりやすくお伝えします。
キャッシュフローツリー
投資不動産を購入するかどうかは、然るべき判断基準で判断するべきであり、その判断の肝になるのがキャッシュフローツリーでの計算になります。逆に言えば、このキャッシュフローツリーさえマスターできれば、不動産投資の可否について、大部分はご自身で判断する事が可能となります。なお、キャッシュフローツリーは「不動産投資判断の物差し」と呼ばれています。
キャッシュフローツリーとは?
下記の表がキャッシュフローツリーの作り方です。
ではさっそく、順に解説していきます。
①GPI(潜在総収入)
満室想定での年間の賃料で、キャッシュフローツリーのスタート地点になる収入の指標です。 重要なのは、GPIは満室の場合の総収入であるという点です。 空室が発生しないことや家賃の滞納がないことを前提とした 1年間の家賃収入の総額のことを指しています。 満室での年間の収入であることから、Gate.では潜在総収入という言葉の代わりに 「満室想定年間賃料」という用語を用いています。
ここでは、仮に物件AのGPIを100万円と仮定します。
②空室・未収損(+雑収入)
満室想定の賃料から、空室と未収損を引いていきます。 まずは、空室損です。 空室による逸失利益分を控除します。 つづいて未収損です。 未収損は家賃滞納などです。なお、家賃収入の他に、自動販売機の売り上げなど雑収入があるようでしたらここで加算します。
ここでは、仮に物件Aの空室率を5%、未収損と雑収入はないものと仮定します。
EGI(¥950,000) = GPI(¥1,000,000) – 空室損・未収損(¥50,000)
③EGI(実効総収入)
EGIはGPIから空室損と未収損を引くことで算出します。 キャッシュフローツリーでは、EGIが物件の実収入の最大値を示すのでEGIを正確に出すことはとても重要です。 空室損を考慮した年間の収入であることから、Gate,では実効総収入という言葉の代わりに「空室想定年間賃料」という用語を用いています。
④運営費用(Opex)
投資の運用に必要な経費(ランニングコスト)を指します。 具体的には管理費、修繕積立費、固都税、管理委託費などの運営上のコストのことです。各種機器のメンテナンスコストも含みますので、物件によってOpexにかける費用の差は大きくなります。 なお、金融費用(ローンの金利)と減価償却費はこちらの運営費用には含みません。
ここでは、仮に物件Aの運営費用を25万円と仮定します。
NOI(¥700,000) = EGI(¥9500,000) – 運営費用(¥250,000)
⑤NOI(純収益)
純収益という意味で、収入(賃料)から、実際に発生した経費(管理費、固定資産税など)のみを控除して求める。この時点で、得られる収入から、出費を引いているので運用によって生み出される単純なキャッシュフローとなります。
また、NOIを明確にすることで、単年の実質的な収益性を指すNOI利回りを算出できるようになります。
最後に
ここまでは不動産投資での純収益を導き出すまでの流れをご説明いたしました。通常不動産投資にはローンを利用するのが一般的です。次回は「借り入れと税金を考慮した投資」という題目で、年間のローン返済額を表す「ADS」から「ATCF」までを一気にご説明したいと思います。
- ▶不動産投資の基礎1 数字に基づいた判断基準
- ▶不動産投資の基礎2 借り入れと税金を考慮した投資(準備中)
- ▶不動産投資の基礎3 NOI利回りとは?(準備中)
- ▶不動産投資の基礎4 キャッシュフローを簡単に計算(準備中)