2015年5月26日に、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が全面的に施行された。全国的に空家の増加が問題となっている。この通称、空家法は賃貸物件だけを対象としている訳ではないが、2013年10月時点で空家は全国で820万戸にもなり、この空室の増加が賃貸アパートやマンション経営を難しくしている。今や日本は借手市場になっているため、賃貸事業のパートナーである管理会社の力を借りるのは不可欠だ。そこで今回は空室を埋めてくれる賃貸会社と空室を埋められない賃貸会社の見極め方について見ていくことにしたい。
賃貸管理会社のリーシング体制
まず賃貸の管理会社のリーシング体制は大きく分けて2つのパターンがある。管理会社が直接、客付けをする場合と管理会社から地元の不動産業者に情報を投げて、地元の不動産業者が客付けをするパターンだ。地方の個人が行っているような賃貸アパートは前者であるケースが多い。地元の不動産会社が管理も受託し、その客付けも行っている。一方で、投資家の資金を集め不動産投資するREITが保有するような大型ワンルームマンションに関しては、後者であるケースが多い。管理会社から地元の不動産業者に物件情報を流し、その不動産業者が客付けを行う。大手の管理会社は建物竣工時に借上げ社宅や寮等の法人契約を自分たちで取るケースもあるが、基本的には客付け部分は地元業者に振るケースが多い。
大手はADが必要
大手の賃貸管理会社は、比較的、空室を埋める力は高い。地元の力のある不動産業者とのネットワークがあるためだ。しかしながら、このケースはリーシングに係る費用が高い。不動産オーナーは通常、入居者が決まれば仲介手数料を賃貸管理会社に1カ月分を支払う。ただし、賃貸管理会社の他に地元の不動産業者も存在するため、そこへのフィーも払うことになる。このようなケースの場合は広告宣伝費の名目で、賃料の1ヶ月分を目安としたフィーが支払われる。業者ADと言われる費用であり、この費用を1~2ヶ月の範囲で調整し、不動産業者へのインセンティブを高め、客付けを強化することもできる。
地元業者は借手目線で見極めよう
一方で、賃貸管理会社が直接、客付けを行うケースはその能力を見極める必要がある。実際の客付けは業者の担当者が物件の案内を行うため、セールストーク如何で成約率もかなり異なってくる。業者の見極め方法として一番良い方法は、一度借手としてその店舗に行ってみることだ。一般的に不動産店舗は滅多に訪れるものではなく、借り手希望者にとって店舗に入店するのは、敷居が高く勇気のいる行動だ。親身になって物件を紹介してくれるか、強引な斡旋はされないかなど不安を抱いている。そのため清潔感のある入店しやすい店舗になっているか、従業員の接客マナーや言葉遣いはきちんとしているか、顧客に分かりやすい業務説明を行っているか等をチェックしたい。また成約済みのチラシが長期間張り出されていないかもチェックポイントの一つだ。
シェアハウスはもっと力量にバラつきがある
通常の賃貸マンションやアパートについては、市場が成熟していることもあり、業者の実力差はそれほど大きくない。業者の力量の差よりも物件のポテンシャルの方が、決定力に影響を与えてしまうからだ。一方で、シェアハウスについては客付け力に業者間の力の差異がまだまだ大きい。入居者へのサービスは出来ても空室を埋められない運営会社は山ほどいる。シェアハウスへのリノベーションを行う時は、リーシング戦力をどのように考えているのかを運営会社にしっかりと確認した方が良いだろう。
事業パートナーとして接することが重要
以上、賃貸管理会社の特徴や見極め方法について触れてきた。よほど酷くない限り実際に賃貸管理会社を切り替えるのも腰が引けるだろう。どの賃貸管理会社も顧客と普段から接しているため、顧客ニーズを熟知している。そのため、一方的に賃貸管理会社に丸投げをするのではなく、顧客ニーズをフィードバックしてもらうことも重要だ。業者としてではなく、賃貸経営のパートナーとして上手に接し、顧客ニーズをもらいながらオーナーとして工夫したい。今の賃貸管理会社が空室を埋めてくれる賃貸管理会社へと変わってくれるかもしれない。