2018年1月、「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズが、シェアハウスのオーナーに対する賃料支払を中止しました。これに端を発して、スルガ銀行がシェアハウス向けに不正な融資を行っていた疑惑が浮上。スルガ銀行は5月に外部の弁護士で構成される「第三者委員会」を設置し、9月に報告書を公表しました。 第三者委員会は、スルガ銀行の社員が組織的に、業務として不正行為への関与を行っていたと認定しました。
サブリース契約
第三者委員会の報告書は「信用力のない事業者によるサブリース契約に依存すること」の危険性を指摘しています。サブリース契約は一定の賃料収入が見込めることで投資家にとってのメリットがある一方、以下のようなリスクもあることから、消費者庁と国土交通省が注意喚起 1 を発しています。
1. サブリース業者が破綻してしまえば約束した収入が得られないリスク
2. 家賃保証とうたわれていても、賃料が減額するリスク
3. 長期一括借り上げでも、契約書の規定によっては、契約期間中であってもサブリース事業者から解約されるリスク
今回の事例を受けて、金融庁、日本銀行の金融監督当局もサブリースに注意を向けることが予想されます。2
実勢賃料を把握する重要性
スルガ銀行の第三者委員会の報告書や消費者庁・国土交通省の注意喚起からは、投資家が、きちんと不動産投資のリスクを把握することが大切であることが分かります。
少なくとも賃料の妥当性の検証は最低限やっておきたいところです。サブリースを活用している場合、仮にサブリースを解除した場合、どのくらいの賃料になりそうかを把握することは大事ですし、サブリースの有無にかかわらず、10年後、20年後にどのくらい賃料が下落しそうか、「賃料が下落してもローンの返済が可能か」をあらかじめ見積もることはとても重要です。
オリックス銀行×Gate.の取り組み
オリックス銀行が2018年9月にリリースした「キャッシュフローシミュレーター」は、単純なローンシミュレーションではなく、将来の賃料下落と経費を織り込んで「不動産の収支でどのくらいのローンが組めるか」が簡単な操作で試算できる画期的なサービスです。
本サービスの賃料や空室率の推計にGate.のテクノロジーが活かされています。
将来の投資・ローン返済リスクを見える化し、お客さまの資産形成をサポートしたいとのオリックス銀行の思いと、将来を人工知能で予測し、不動産投資の透明性を高めることで、不動産取引をより活発化させたいとのGate.の思いがマッチした取り組みです。

シミュレーションの方法
1.ログイン まず、オリックス銀行のサービスサイトに「ログイン」して物件を選択します。会員登録がまだの方は「新規会員登録」が必要です。
2.物件選択 広告物件でもシミュレーションすることが可能です。地図上にある●をクリックするか、画面右側のリストをクリックすることで広告物件を選択できます。
3.シミュレーション 都内の5,980万円の物件に、3,800万円のローン(金利2.7%、35年)で投資するケースを考えます。
オレンジ色の枠で囲った「借入条件」の項目に、
融資金額3,800万円
金利2.7%
返済期間35年
を入力して、「シミュレーション実行」ボタンを押すだけでシミュレーションができます。
1年目の賃料や空室率、運営の経費項目の変更、売却時期の売却想定価格を入力したシミュレーションも可能です。 このケースで注目すべきなのは、緑色の枠で囲んだところです。本ケースでは26年目から収支が厳しくなる見込みです。
1年目と26年目のローン返済
初年の想定賃料は、年間で2,712,000円(226,000円/月)です。
26年目の想定賃料は、年間で2,165,064円(180,422円/月)です。26年でおよそ20%賃料が下落することが見込まれます。
1年目は、運営純収益(NOI)がローンの返済を上回る見込みです。
NOIはネット・オペレーティング・インカムのことです。空室損失を考慮した年間の賃料から運営費用を差し引いて算出します。この金額がローン返済額を上回っていれば、不動産からの純収益でローンの返済ができます。
26年目は、運営純収益(NOI)がローン返済額を下回る見込みです。
26年目の賃料は、1年目に比べて20%ほど下落が見込まれます。空室率の上昇とあいまって、追加資金を用意しないとローンの返済が苦しくなる状況です。
オリックス銀行のキャッシュフローシミュレーターでは、Gate.の人工知能が推計した将来の賃料収入の見込み額と経費をもとに、ローンの返済ができそうか、追加資金が必要になりそうかを簡単に見ることができます。
不動産投資リスクの見える化
投資にはリスクがつきものです。
だからこそ、不動産投資の利回りだけでなくリスクに注意を払う必要があります。オリックス銀行のキャッシュフローシミュレーションを活用することでリスクを認識でき、投資判断の一助となるでしょう。