株式市場が高値圏にあるいま、あらためて不動産投資を考える

株式市場が高値圏にあるいま、あらためて不動産投資を考える

不動産投資
(写真=PIXTA)

日経平均が20,000円を超えて景気回復へ

 安倍政権によるアベノミクスとよばれる一連の経済政策が功を成し、日本の景気は回復傾向にあります。特に日経平均株価は4月22日、15年ぶりに終値で2万円を回復し、2008年のリーマンショック直後の水準の約3倍、2012年に安倍政権の経済政策が打ち出されるようになったころと比較しても、2倍以上にもなりました。

 当初一時的なものと見られた2万円越えの相場も定着してきました。2万円台の定着には、日本企業の業績への期待感や、世界最大の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の日本株の買い支えなどが背景にあります。

 しかしこの相場に違和感を覚える投資家も多いようです。「異次元緩和」による円安誘導で株価を引き上げ、GPIFが買い支えることで株高をつくりだす現在の相場は、「官製相場」です。経済のファンダメンタルズから乖離して上昇しているため、ちょっとしたきっかけで大崩れする可能性も指摘されています。

 株高によって企業業績が好調になっているのも事実ですので、今後株高からインフレ、賃金上昇へとつながっていけば、実体経済もさらに回復するでしょう。しかし現状の株式相場のみを見れば、過熱感は否めません。それでは不動産市場はどうでしょうか。国土交通省が発表している各種の指標から、不動産市況を見てみましょう。

不動産価格指数は上昇

 まずは不動産価格指数を見てみましょう。不動産価格指数とは不動産価格の動向を示すために数値化された指標で、不動産市場全体の動きを捉えるものです。不動産市場の実勢を見ることができます。2015年の日本国内の不動産価格指数は、6月が前年同月比4.9%増であり、4ヶ月連続で前年同月を上回る結果となっています。

 2008年から2009年にかけては下落し、2014年まではほぼ横ばいを続けていた不動産価格指数ですが、2015年に入ってからは上昇傾向にあります。

 しかし住宅地は前年同月比0.6%減になり、ここ数年の長期スパンで見ても徐々に下落している傾向にあります。戸建住宅は前年同月比1.4%下落し、5ヶ月連続して前年同月を下回りました。しかし長期的なスパンで見れば、ここ数年は横ばいで推移しています。住宅地及び戸建住宅はこのように下落もしくは横ばいの傾向にありますが、マンション価格はかなりのペースで上昇しています。6月は前年同月比7.5%上昇の120.6の指数を示し、25ヶ月連続で前年同月を上回っています。この指数は2010年の平均を100としているため、2010年よりも、マンションの価格は20%上昇していることになります。

 マンション価格は2008年のリーマンショック直後こそ下落しましたが、2009年の末から上昇傾向に入り、その後は現在まで上昇し続けています。特に2013年以降は急激に伸びています。

 不動産価格自体は全体的に2007年の不動産ブーム期から2008年のリーマンショックにかけて大きく下落し、そこから徐々に回復しているのですが、不動産価格指数を押し上げているのはマンション価格の上昇なのです。不動産取引価格を見ると、2007年のブーム期には、十数億円を超えるような高額物件の取引が多く見られました。しかしリーマンショック後は、3〜6億円程度の取引が見られるに留まり、取引価格の中央値は1億円前後を推移しています。

中古マンション市場も好調

 次に中古マンション市場を見てみましょう。首都圏の新規登録件数を見ると、5月は前年同月比10.1%増で5ヶ月連続して前年同月比を上回っています。しかし2013年〜2014年が低い水準にあったため、ここ数年を通してみるとほぼ変わらない値で推移しています。東京都に限ると、5月は前年同月比14.5%増となっていますが、これも2012年あたりと比べるとまだ低い水準です。成約件数を見ると2012年〜2015年を通して、5月が20%前後の増加率となっています。これらから分かるように、取引量に急速な伸びはないものの、順調に上昇し続けています。毎年取引量がもっとも多くなる3月で見ると、2012年〜2015年の取引量は前年同月比40%〜50%増加しており、不動産需要が高まっていることが分かります。

 首都圏の成約平均価格は前年同月比8.7%上昇の2887万円で、これは29ヶ月連続で前年同月比を上回っています。東京都に限っては前年同月比11.8%上昇の3617万円となり、10ヶ月連続で前年同月を上回っています。また首都圏の成約㎡単価は前年同月比9.5%増であり、これも29ヶ月連続で前年同月を上回りました。東京都も成約㎡単価は前年同月比12.8%増で、29ヶ月連続で前年同月を上回っています。

 このように、新築マンション市場だけでなく中古マンション市場でも、ここ2年以上活況にあるのです。中古マンション市場の場合、取引量が順調に伸び、1つの取引の規模が増大傾向にあるということも分かります。

海外ファンドの日本不動産買いが背景に

 なぜこのような活況になっているのでしょうか。1つには、日本経済全体が不況から脱しつつあるということが挙げられます。日銀は異次元の金融緩和政策を継続し、市場に大量の通貨を放出しています。結果、金利が非常に低い水準に据え置かれています。投資家はお金が借りやすく、しかも不動産市場は上昇傾向にあるため、有利に投資できる環境にあります。

 また、海外ファンドが大量に日本の不動産を買っていることも、不動産市場の活況につながっています。

 120円台になる円安誘導によって、日本の不動産は海外投資家にとって割安になっています。また東京がグローバル企業の拠点として注目されていることもあり、海外投資家は日本国内、特に首都圏の不動産に莫大な投資をしています。

 投資家にとって心配なのは、不動産市場がファンダメンタルズから離れた過熱感を帯びているのかどうか、という点にあるでしょう。結論から言うと、日本の不動産市場には、まだそれほどの過熱感はないと考えられます。海外投資家による日本不動産への投資は、取得件数も増えていますが、売却件数も増えているのです。

 円安が進行したことによってドルベースの資産価値は下落しますし、日本の不動産市場が活況になったことで投資利回りも下落傾向にあります。またアジアに目を移すと、日本以外にも香港、北京、上海、シンガポールなどで不動産市場が活況であり、投資家にとって魅力的な都市は多数存在します。そのため、日本の不動産市場だけが実体経済の動きから大きく乖離して動いているということはないと考えられます。

 しかし地方に目を移すと、福岡の不動産市場は過熱気味と言われます。人口は増加し続けており、国家戦略特区に指定されたことから、企業にとってもビジネスがしやすい環境になります。中国・韓国から近く、アジアの窓口にもなっていることから、外国人投資家にとっても投資しやすい環境にあります。ここ数年、空室率は減少してきており、需要が供給を上回っています。売買価格も非常に上がっており、投資利回りは少なくなっています。福岡に限れば不動産市況は特殊であり、過熱気味かもしれません。

 とは言っても、日本全体の不動産市場は、このまま安定的な成長が数年にわたって継続すると予測されます。実際ここ数年間は、取引件数や取引規模が安定的に増加してきていますし、日本経済が今後大きく崩れることもないでしょう。世界的な金融危機が発生するなどの事件が起こらない限り、投資家にとって安定的に投資できる投資環境が今後も維持されます。

 

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