不動産は空も飛ぶし、水にも浮かぶ ―飛行機、船舶、意外な不動産―

飛行機は不動産
(写真=PIXTA)

 「不動産」というとマンションやオフィスビル、土地などを思いかべることが多いと思います。しかし実は飛行機や船舶なども不動産としてみなされることは、あまり知られていません。今回は一般的に知られていない意外な不動産をご紹介しましょう。

そもそも不動産とは?

 「不動産」の定義とはどのようなものでしょうか。なにが不動産でなにが不動産ではないのかは、国によって異なります。日本の場合は民法で規定されている「土地およびその定着物」が不動産の定義です。ここでの「土地」とは、一定の範囲の地面のその空中と地中を含めた概念です。「土地の定着物」とは、その土地に継続的に付着している状態で使用されるもののことです。土地とその定着物は、民法上は別々のものと捉えられるため、不動産取引においても、個別に取引されることがあります。難しく考える必要はありませんが、つまりは土地と建物が不動産だと言えます。ここまでは常識ですね。
 しかし、特別法によると「立木」も不動産の一つと考えられています。建物ではありませんが、その土地に継続的に定着しているものだからです。一般的にはこれらの「土地およびその定着物」意外のものは不動産とみなされない=動産である、と考えられますが、不動産と同じように扱われるものがいくつかあることは、あまり知られていません。どのようなものが不動産とみなされるのでしょうか。

船舶・飛行機・建設機械などの動産

 土地やその定着物ではありませんが、船舶や飛行機、建設機械などは不動産に準ずるものとして扱われます。船舶・飛行機・建設機械などは動産ではありますが、通常の動産と異なる以下のような特徴があります。

・不動産と同じように自由に動かすことが容易ではない

・財産的な価値や規模が土地や建物などの通常の不動産に匹敵する

 船舶・航空機・建設機械などは、移動するのに手間やコストがかかりますし、どこにでも持ち運ぶことはできません。また船舶ならば、規模の大きなものならばその中で生活することもできます。財産的な価値も、これらは数千万円以上と、通常の不動産に匹敵するか、上回る規模になります。そのため不動産と同じような扱いを受けるのです。不動産として扱われるのは、船舶ならば総トン数が20トン以上の船舶、飛行機ならばすべてです。
 そのため、これらの船舶や飛行機をレンタルした場合、得た収入は不動産所得として計上します。20トン以下の船舶は事業所得もしくは雑所得になります。
 他にはどのような扱いが行なわれているのでしょうか。例えば船舶の場合は動産ではありますが、不動産と同じく登記制度が適用されています。また船舶や飛行機は、1口数千万円〜数億円の投資対象として募集されています。事故が起きたときの損失は非常に大きいですが、富裕層やヘッジファンドなどがハイリスク・ハイリターンの投資対象として、ポートフォリオに組み込んでいるケースがあるのです。
 そして、税制の面でもこれらの動産は不動産として取り扱われます。船舶・飛行機・建設機械などは、購入したときに不動産所得とみなされて、税金を支払うことになります。取得したこれらの動産は減価償却して、一定の耐用年数の間は毎年経費として損金計上することができます。飛行機は特に耐用年数が短く設定されているため、節税性に優れています。

 なぜこれらは不動産として扱われるのでしょうか。それは租税回避のために船舶や飛行機を利用できないようにするためです。企業や個人が税金を払うときは、収入から経費を差し引いた利益が課税対象とされます。そのため、誰もができるだけ経費を大きくして利益を小さく見せ、納税額を小さくしようと考えます。例えば金融機関からお金を借りて、そのお金で一般的な不動産に投資し、そこから利益を得たとします。不動産の取得にかかったお金は経費になり、その他の利益と損益通算することができますが、不動産所得の場合は損益通算に制限があるため、租税回避はあまり効果的ではないようになっています。
 しかし、もしも船舶や飛行機が不動産として扱われなかったら、同じやり方で租税回避が可能になります。金融機関から借りたお金で船舶を取得し、それをレンタルすれば所得が得られます。不動産のような制限がなく、損益通算に制限がなければその分課税対象である利益を小さく見せることができます。納税する法人税や所得税を小さくできるのです。このような方法をできないようにするために、船舶や飛行機が不動産と同じように扱われるようになっていると考えられます。
 それでは「キャンピングカー・トレーラーハウス」なども不動産とみなされるのでしょうか?実はこれは動産として扱われます。キャンピングカー・トレーラーなどはある程度自由にどこにでも運ぶことができますし、土地の継続的な定着物ではないからです。

漁業権や採掘権

 その他にも特殊な権利の一部は、不動産に準ずるものとして扱われることがあります。例えば「漁業権」や「採掘権」などです。民法における「財産法」では、権利を「物権」と「債権」に分けています。物権とは対象となるものを直接支配して、あらゆる人に対して権利を自由に使用したり処分したりできる強い支配権のことで、債権とは契約を結んだ相手に対してのみ権利を主張できる限定的な支配権のことです。不動産に対する所有権は物権の一種になります。
 漁業権はある特定の場所において漁業を行なう権利であり、採掘権とは特定の場所において採掘を行なう権利ですが、これらの権利は所有権とは別のものとして取り扱われるケースがあります。ある山の所有権の保有者と採掘権の保有者が異なる、ということがあり得るわけです。そのようなケースでは、漁業権・採掘権自体が不動産として取引されるのです。漁業権や採掘権はその権利自体が利益を生むため、法律上財産の一種とされ、不動産として取引されるようになっています。

各種の財団

 動産なのに不動産とみなされる船舶や航空機、権利であるが財産とみなされるために不動産として扱われる漁業権や採掘権などを紹介しましたが、不動産として扱われるものにはさらに変わったものがあります。それが「財団」です。財団といっても様々なものがありますが、その中でも工業財団、鉱業財団、漁業財団、観光施設財団、鉄道財団などの一部の財団は、法律上不動産とみなされます。
 これらの財団は法律によって、土地や建物などの一般的な意味での不動産はもちろんのこと、所有する設備や機械類などの動産や物権(漁業権、採掘権など)も含めて一つの不動産とみなされます。登記するときにすべて含めて一つの不動産として登記するのです。なぜこのようになっているのでしょうか?
 財団の所有する土地、建物、設備、物権などが一つの不動産としてみなされるということは、一つの不動産の所有権に抵当権を設定できるということになります。例えば財団の所有する観光施設のみを抵当権とする場合と、その他の動産や権利も含めて抵当権が設定できる場合では、財産としての価値が異なります。言うまでもなく後者の方が財産としての価値が高くなるのです。これはすぐに操業できる一体のものとして評価する方が価値が高いからです。そのため、金融機関などから資金調達する場合に有利に働きます。ただし、財団が不動産として扱われるのは所有権・抵当権のみで、その他の物権の対象とすることはできません。

 今回は一般的なイメージとは異なった不動産を紹介しましたがいかがだったでしょうか?これらの不動産を取引する機会は少ないかもしれませんが、雑学として知っておくと誰かに自慢できるかもしれません。
 

賢い不動産投資を始めよう

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2015年11月20日 11:30 AM カテゴリー: 不動産投資

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