Airbnbを巡る各国の規制の動向

リーウェイズAirbnb物件
(写真=リーウェイズ株式会社Airbnb物件)

 Airbnbという新たなモデルの宿泊ビジネスが急速に拡大しています。しかしこれまでになかった業態であるため、法整備が間に合わず問題も発生しています。今回はAirbnbを巡る各国の規制状況について、簡単に見ていきましょう。 

Airbnbならユニークな部屋で過ごせる

 近年、モノやサービスを売買して取引する市場経済の中で、モノ・サービスを消費者の間で共有する「シェアリングエコノミー」という考え方が浸透してきています。Airbnbもその1つです。Airbnbとは、自宅の空いている部屋を他人に貸したい人と、旅行やビジネスなどで安く手軽に過ごせる部屋を見つけたい人とをマッチングさせるサービスで、2008年から運用が開始されています。
 これまでも伝統的な旅館やホテル以外に、民家を改造したドミトリーやゲストハウスが存在しましたが、それらはあくまで旅館・ホテルの一種でした。しかしAirbnbは知らない個人同士が部屋を貸し借りし、利用者は格安で利用でき、提供者は料金を得ることができるという仕組みになっている、まったく新しいサービスです。サービス開始から人気は爆発的に広がり、現在では世界中で年間数百万人の人が利用しています。

 Airbnbが爆発的な人気を得ることができたのは、もちろん世界の消費者のニーズにマッチしていたという理由もありますが、それ以外にもいろいろな魅力があるからです。
 1つ目の魅力は情報量の多さです。Airbnbをはじめて利用するという人は、知らない人の家を利用するのは不安だ、と思うかもしれません。しかしAirbnbはサイトでその部屋のルールや料金、部屋の紹介などだけでなく、オーナーの紹介や実際にそこを利用した利用者のレビューをみることができます。情報量が豊富であるため、実際に利用した人の口コミを見ても、不安は少なかったというものが多いです。
 もう1つの魅力は、エリアにもよりますが、格安でありながらホテルに近いサービスを提供しているケースがあることです。Airbnbは自分の探している条件で、自分の利用したい部屋を調べることができます。そのときに、サービスの高いところを選択することが可能なのです。また、Airbnbで提供されているのは枠にはまらない「民家」であるため、通常では利用できないようなユニークなところに滞在することが可能です。中にはツリーハウスやお城、ヨットなどもあります。この選択肢の多様さはAirbnbのもっとも大きな魅力の1つでしょう。

Airbnbをめぐる主要国の状況

 急速に広まっているAirbnbですが、これまでになかった新しいササービスであるため各国では法整備が進んでいない現状があります。規制のスタンスも国によって異なりますので具体的に見てみましょう。
 Airbnbは世界190か国、3万4000都市以上で展開されています。日本でも1万3000件以上が登録されていて、今後はさらに増えることが予想されます。いくつかの国の普及状況と規制の状況を解説していきます。

◆アメリカ

 アメリカはAirbnbが誕生した地であるためAirbnbのホストがもっとも多く存在します。平均宿泊料は「1万9000円」と高いのですが、一部の高価格帯の物件が平均値を引き上げています。実際の相場は5000円〜2万円ほどで、もっとも多い価格帯は1万円前後となっています。
 ホスト数が多いため物件も多様で、アメリカ全土に存在します。しかしAirbnbの拡大に合わせて規制も増加しており、規制は州によって様々になっています。アメリカでは全土の都市と州でAirbnbとホテル業界が対立しており、Airbnbを規制する法案が提出されている州も多くあります。その中で法案が保留されている州は14州、成立している州は6州と、今後規制が強化される可能性のある州は、20州もあることになります。
 例えばオレゴン州のポートランドでは、Airbnbも通常のホテルと同様の宿泊税を支払うことが義務づけられています。また旅館業としての認可を受けるときに、180ドルの認可料を支払う必要があります。Airbnbでホストとしての営業は合法化されましたが、その代わりに通常のホテルと変わらない規制を受けることになったのです。
 さらに厳しい規制を設けているのは、カリフォルニア州サンタモニカです。ここではAirbnbでの営業にあたったビジネスライセンスを取得しなければならず、さらに宿泊税を14%支払うことになっています。それだけではありません。サンタモニカでは、ホストは宿泊者が滞在している間は宿泊施設にいなければならないことになりました。これでは、空き部屋を気軽に貸すというAirbnbならではのサービスの魅力が大きく減ってしまうことになります。
 宿泊税の徴収や許認可の義務化以外にも、特定のエリアでのAirbnbの利用が禁止、という規制もあります。これはフロリダ州のマイアミでの規制です。アメリカではエリアによって様々な規制があり、今後も地域によって差が大きくなっていきそうです。

◆日本

 次に日本のケースを見てみましょう。日本もAirbnbは急速に拡大しており、2014年にはホスト数は1000件を超えて、2015年は2014年の3倍以上の勢いで登録が伸びています。2015年8月時点で、登録数は1万4000件にもなっています。しかし日本でもAirbnbは法律上グレーゾーンにあたります。
 日本でホテルや旅館を営業する場合、「旅館業法」が適用されることになります。Airbnbも宿泊客を滞在させて宿泊料を得るのならば、この法律の対象となることが考えられるわけです。そして旅館業として営業するためには営業許可を得る必要があるのですが、玄関帳場又はフロントの設置義務などから、通常の住宅の多くではこの許可を得ることが困難です。そのため日本の多くのAirbnbは法律上グレーゾーンにありながら、実態として黙認されている状態です。
 政府や自治体は手探りで法整備を進めています。

参考記事:Airbnb・民泊をめぐる最近の規制緩和の動き

 たとえば東京都大田区では民泊条例が制定されました。この条例では、最低宿泊日数の設定や立ち入り権限の規定などが盛り込まれたほか、大田区内で民泊が可能なエリアと不可能なエリアに線引きがされました。
 日本の場合はAirbnbを使った部屋の利用に対して税負担を求めるような動きは起こっていませんが、営業可能地域や宿泊期間などにルール化の動きが生まれています。今後どのように法整備が進むのか注意が必要です。

◆ヨーロッパ

 Airbnbはヨーロッパでも非常に拡大しています。主要都市や人気な観光地では、日本よりもはるかに多くの人が利用していると言われています。しかしヨーロッパは法に対する意識の強い地域であり、Airbnbに対する規制が強化されている国も多いのです。
 例えば世界的な観光地であるパリでは、法律に違反して滞在しているAirbnbの利用者が締め出されるケースも発生しています。パリでは年間4ヶ月を超えて物件を賃貸してはならないという規制を設定しました。つまり空いている部屋や家があったとしても、Airbnbを利用できるのは1年の3分の1までと、非常に短期間になってしまうのです。なお、フランスはアメリカの次にAirbnbの利用者が多く、パリだけで3万人ものホストが登録しています。

Airbnbは今後どうなる?

 世界各国でAirbnbに対する規制が強化される傾向が出ています。しかし新しいビジネスモデルが生まれたときに、法整備が間に合わず一時的にトラブルが発生するのはよくあることです。近年ではドローンの規制や、Uberの規制もありました。しかし、Airbnbのビジネスモデルには巨大な需要が隠れいていることも、急速に拡大する動きを見れば明らかです。野放図なままでは治安や衛生、静かな住環境が脅かされる恐れがありますが、規制を強化すれば巨大な需要を取り込めないことになります。
 各国の政府には、多くの関係者の利害を調整しつつ適切な法整備を進めることが求められています。

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賢い不動産投資を始めよう

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2015年12月15日 8:00 AM カテゴリー: 不動産投資, 民泊運営

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