不動産ビッグデータを使って駅の分析をしました。
上の図は首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)にあるJR駅の位置を表したものです。1日当たりの乗客数によって色分けしました。
1日の乗客数が20万人を超える駅
JR東日本が公表している2014年度のデータによると、1日の乗車人員が20万人を超える駅は12駅あります。
順位 |
駅名 |
JR乗車人員 |
路線(JR以外も含む) |
1 |
新宿 |
748,157人 |
11路線 JR中央線、JR埼京線、JR総武線、JR山手線、JR湘南新宿ライン、京王線、京王新線、小田急小田原線、東京メトロ丸ノ内線、都営大江戸線、都営新宿線 |
2 |
池袋 |
549,503人 |
8路線 JR埼京線、JR山手線、JR湘南新宿ライン、東京メトロ丸ノ内線、東京メトロ有楽町線、東京メトロ副都心線、西武池袋線、東武東上線 |
3 |
東京 |
418,184人 |
14路線 東北新幹線、山形新幹線、秋田新幹線、上越新幹線、長野新幹線、東海道新幹線、JR中央線、JR京浜東北線、JR京葉線、JR総武線快速、JR東海道本線、JR山手線、JR横須賀線、東京メトロ丸ノ内線 |
4 |
横浜 |
403,905人 |
9路線 JR京浜東北線、JR東海道本線、JR横須賀線、JR湘南新宿ライン、京浜急行本線、相模鉄道本線、東急東横線、横浜市営地下鉄ブルーライン、みなとみらい線 |
5 |
渋谷 |
371,789人 |
9路線 JR埼京線、JR山手線、JR湘南新宿ライン、京王井の頭線、東急田園都市線、東急東横線、東京メトロ銀座線、東京メトロ半蔵門線、東京メトロ副都心線 |
6 |
品川 |
342,475人 |
6路線 東海道新幹線、JR京浜東北線、JR東海道本線、JR山手線、JR横須賀線、京浜急行本線 |
7 |
新橋 |
253,874人 |
7路線 JR京浜東北線、JR東海道本線、JR山手線、JR横須賀線、ゆりかもめ、東京メトロ銀座線、都営浅草線 |
8 |
大宮 |
244,556人 |
13路線 東北新幹線、山形新幹線、秋田新幹線、上越新幹線、長野新幹線、JR京浜東北線、JR埼京線、JR東北本線、JR高崎線、JR湘南新宿ライン、JR川越線、埼玉新都市交通伊奈線、東武野田線 |
9 |
秋葉原 |
241,063人 |
5路線 JR京浜東北線、JR総武線、JR山手線、つくばエクスプレス、東京メトロ日比谷線 |
10 |
川崎 |
204,153人 |
3路線 JR京浜東北線、JR南武線、JR東海道本線 |
11 |
北千住 |
202,415人 |
5路線 JR常磐線、東武伊勢崎線、つくばエクスプレス、東京メトロ日比谷線、東京メトロ千代田線 |
12 |
高田馬場 |
200,195人 |
3路線 JR山手線、西武新宿線、東京メトロ東西線 |
(乗車人員はJR駅のみの数字)
乗車人員の多い駅は、多数の路線が乗り入れるターミナル駅です。
JRが公表しているデータから読み取れる「集客力のある駅」
乗車人員の多い駅は、多数の路線が乗り入れるターミナル駅です。都心の大きな駅が、上位リストに名を連ねるのは自然な結果です。
JRは乗車人員を「定期外」と「定期」に分けて公表しています。さきほどの人員数は両方を合わせた数値です。「定期」にカウントされる人員は、通勤・通学で利用している人と考えられます。一方で、「定期外」にカウントされる人員は、通勤・通学で利用している区間ではない駅を、わざわざ利用している人と言えます。
たとえば、週末に遊びに行く駅、定期券を持たない外国人旅行者が多く利用する駅、など、集客力のある駅という事もできるでしょう。
「定期外」が「定期」を上回る、「集客力のある駅」をいくつかピックアップします。
駅名 |
定期外(A) |
定期(B) |
合計 |
(A)/(B)比率 |
秋葉原 |
131,676人 |
109,386人 |
241,063人 |
1.20 |
上野 |
95,235人 |
87,233人 |
182,468人 |
1.09 |
舞浜 |
47,804人 |
29,225人 |
77,029人 |
1.64 |
原宿 |
48,090人 |
22,676人 |
70,766人 |
2.12 |
代々木 |
36,475人 |
32,771人 |
69,246人 |
1.11 |
桜木町 |
33,615人 |
32,602人 |
66,217人 |
1.03 |
鎌倉 |
23,661人 |
19,465人 |
43,126人 |
1.22 |
新大久保 |
22,943人 |
16,870人 |
39,814人 |
1.36 |
信濃町 |
14,124人 |
11,554人 |
25,678人 |
1.22 |
鶯谷 |
13,428人 |
11,015人 |
24,444人 |
1.22 |
集客力のある駅:秋葉原駅
秋葉原駅は、JR京浜東北線、JR総武線、JR山手線、つくばエクスプレス、東京メトロ日比谷線の5路線が乗り入れる駅です。
電気街で有名ですし、駅直結の大型オフィスビルもあり、秋葉原を勤務地とする人も多くいます。そのため定期で利用する人は、1日当たり10万人を超えます。一方、定期外で利用する人は、13万2千人ほどいて、定期利用者を上回っています。
秋葉原は外国人旅行者にも人気のスポットです。東京都が実施した平成26年度の「国別外国人旅行者行動特性調査」によると、東京を訪れた外国人旅行者の41.0%が秋葉原を訪れています。国別では、ベトナム人が最も秋葉原を好んでいます。一番期待していた場所として秋葉原と答えたのは、外国人旅行者全体では9.6%でしたが、ベトナム人については22.8%でした。同じ東南アジア圏でも、タイ、シンガポール、マレーシア、フィリピンからの旅行者では、秋葉原は期待の上位に来ないのですが、なぜかベトナム人には秋葉原は大人気のようです。
ベトナム人の他、韓国、中国、インド、インドネシア、イギリス、フランス、スペインの人にも秋葉原は人気の訪問地です。
集客力のある駅:舞浜駅
舞浜駅は、JR京葉線、JR武蔵野線の駅です。東京ディズニーランドの最寄駅として、多くの人が利用しています。定期外の利用者が定期利用者の1.6倍となっています。また、定期利用者であっても、その多くは沿線利用者の途中下車による利用と思われます。
舞浜駅の利用者数は、京葉線の中では東京駅(418,184人)、西船橋駅(131,895人)に次いで3番目の多さです。
集客力のある駅:鎌倉駅
鎌倉駅は、JR横須賀線や江ノ島電鉄線の駅です。鎌倉駅の東口は鶴岡八幡宮の裏参道(小町通り)につながり、観光ルートとしてにぎわっています。特にあじさいの時期の週末や、初詣の時期には多くの人が訪れます。
また、東京都心からアクセスしやすいことに加えて歴史的な見どころも多いことから、鎌倉は外国人旅行者にも人気のエリアです。
集客力のある駅:原宿駅
原宿駅は、JR山手線の駅です。東京メトロの明治神宮前駅に隣接していますが、JRの原宿駅の改札内で乗り換えできる路線はなく比較的小さな駅です。
原宿駅を利用する人は、隣接する代々木公園や明治神宮や、若者が集まる竹下通りなどを目当てに訪れることが多いようです。定期利用が2万3千人に対し、定期外の利用者が4万8千人もいます。定期外の利用者が定期利用者の2倍を超えるのは、東京の区部では原宿駅だけです。なお、東京全体で見れば、御嶽駅、奥多摩駅、鳩ノ巣駅(いずれもJR青梅線)の3駅が2倍超に該当します。
駅周辺の魅力を測るのに、通勤・通学の経路を超えた「定期外」で訪れる人数に着目すると、単なる利用者数だけでは見えていない姿を見ることができます。