各種の報道によると、トルコで軍の一部によるクーデターが発生しています。
現状では情報が錯綜していますが、首都アンカラの国会周辺や最大都市イスタンブールの国際空港などに戦車部隊が展開しているという情報もあります。
トルコの現状
トルコで起きていることの情報を総合します。
軍はトルコの国営テレビを使って「全ての正統性を失った現政権は転覆された」と宣言し、トルコ全土に戒厳令・外出禁止令を出しました。また、イスタンブールでは軍が群衆に向けて発砲し、死傷者が出ているとの報道もあります。
一方、政権側の動きです。アンカラ上空で、クーデターを試みたとみられる勢力のヘリコプターを政権側の戦闘機が撃墜するなど、政権側の攻勢も報じられています。エルドアン大統領は国民に街頭へ繰り出して抵抗するよう呼び掛け、ユルドゥルム首相は、軍の一部がクーデターを試みたと明らかにし、この試みは成功しないと述べています。
軍と政権側との攻防が今後どのようになるかは不透明な点が多く、現時点では予断を許さない状況です。
トルコの経済
トルコは欧州とアジアの架け橋として注目され、また人口構成が若いことから成長力のある国として期待されています。トルコへの直接投資も近年は増加傾向にあり、とくに最近ではインフラ関連への投資が活発です。日本からの投資としては、ボスポラス海峡を横断する海底鉄道トンネルがあります。2013年、イスタンブールのヨーロッパ側とアジア側を接続する地下鉄が開通し、両側の行き来が便利になりました。
直接投資のほか、株式や債券などの金融面での投資も活発です。トルコの政策金利は現在7.5%です。トルコリラ建ての債券は金利が高いことから、低金利に悩む先進国の投資家の資金を集めています。ただし、トルコのような新興国は、政情が安定しにくいことやインフレ率が高いこともあり、通貨が減価するリスクも高く、米国の利上げが視野に入ったころから、高金利新興国への投資はやや敬遠される傾向があります。
株式、為替市場への影響
今回のトルコのクーデターがどのように落ち着くかは、現段階では見通しが立てにくい状況です。このような不透明なとき、株式市場や為替市場ではリスクを減らす動きになるでしょう。このまま不透明な状況が続けば、週明けの市場では株式は売られ、為替はリスクオフの円高になる可能性が高いと思われます。
突発的なイベントに大きく影響されるのが、金融資産の弱点です。株式に投資している以上、予想外のイベントで大きく上下するのは避けられません。
不動産投資への影響
不動産投資の場合は、金融資産への投資とは状況が異なります。
トルコのクーデターのような突発的なことがあるにしても、不動産投資は安定していると言えます。株式投資では株価が大きく動くのに対して、不動産投資では不動産の価値が急に大きく動くようなことはありません。
賃料の収入は、明日からいきなり変わるものではないからです。家賃収入は、建物の経年や大きな景気変動の中で、ゆっくり変化していくため、突発的なイベントに対して大きなクッションがあります。その点では株式投資とは違って安心感・安定感があります。
予想外のイベントに対しても安定感があるのは、不動産投資の大きなメリットと言えます。
資産運用の一部に不動産を持つことのメリットは、起きて欲しくないことが起きる、予想していないことが起きるといった場面で発揮されます。