サラリーマンにも節税効果のある「個人型確定拠出年金(個人型401K)」とは?

サラリーマンにも節税効果のある「個人型確定拠出年金(個人型401K)」とは?

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 サラリーマンや個人事業主にとって悩ましい税金の問題。給料をもらうサラリーマンは給与所得という区分の税金が掛かります。不動産投資や副業による事業所得で赤字を計上すると、給与所得との相殺が可能なため、確定申告により給与所得からの税金の還付が受けられます(もちろん、経費の計上が適切でないと後から税務署に突っ込まれるリスクがあります)。また、控除の制度を使えるものはきちんと使うといった方法はありますが、有効な節税手法というのは、あまり多くはありません。

 ここでは、有効な節税手法の1つであり、資産運用と節税が同時に出来てしまう「個人型確定拠出年金(個人型401K)」という制度についてご紹介します。

 個人型確定拠出年金は、個人事業主や、一定の会社員が加入できる国の制度です。残念ながら企業年金制度のある会社に勤める会社員の方は対象外です。大企業には企業年金制度のある会社も多いですが、中小企業やベンチャー企業では企業年金制度のない会社も多いと思います。

 個人型確定拠出年金を簡単に説明すると、自分の老後資金の確保のため、原則60歳まで一定の掛け金を支払い、設定した金融機関の確定拠出年金口座で運用を行い、原則60歳以降に年金の受給を受ける、というものです。

 個人型確定拠出年金がどのような税金のメリットがあるのか、概要は下記の通りです。

1.    掛金の全額が所得控除できる

 個人型確定拠出年金の掛け金は全額が所得から差し引かれます。 課税所得1000万円の人が100万円の掛け金を支払うと所得税33万円、住民税10万円の43万円の節税が出来ます。 所得税の負担額は、下記表の通り、年間に稼いだ所得に応じて税率を掛けて算出します。累進課税制度と言って、所得が大きくなれば大きくなるほど、段階的に税率が大きくなります。この他、住民税が一律10%掛かります。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下  10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下  20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下  23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33%  1,536,000円
1,800万円超 40%  2,796,000円

*平成27年以降、4,000万円超の部分には45%の税率に増税されます。

 例えば、課税所得が1000万円の場合、1000万円×33%-1,536,000円で176万4千円の所得税と、1000万円×10%の100万円の住民税の計276万4千円の税金が掛かります。ご自身の課税所得で納めている税金を是非計算してみて下さい。

 注意点は、段階的に税率が上がっていくので、1000万円全体に33%が課税されるのではなく、195万円以下の部分には5%になるので、低い部分の低い税率分が引かれるので、表で計算が合うよう控除額というのがあるという点です。また、サラリーマンは給与所得控除というものがあり、給料の額面が課税される所得ではなく、例えば、年収1000万円のサラリーマンは、220万円の給与所得控除があり、780万円から社会保険料等を引いた金額が課税所得になります。

2.    掛け金の運用での収益は全て非課税

 個人型確定拠出年金では、金融機関で用意された商品ラインナップから自分で指定した運用商品(投資信託や定期預金等)を選択し、長期的な資産運用をすることになります。

 例えば、投資信託を途中で売買して利益が出た場合、キャピタルゲインに対して所得税・住民税が20%掛かります。1000万円を運用して1100万円で売却し、100万円の利益が出た場合、税引き後の手取りは80万円になります。

 個人型確定拠出年金の運用口座の中では、このキャピタルゲインが全て非課税になります。これにより、長期的な運用効率がかなり改善されます。キャピタルゲインだけでなく、利息、配当、分配金等も全て非課税になります。

3.    年金の受け取り時にも控除がある

 個人型確定拠出年金は原則60歳満期で、一時金で一括で返って来るか、年金で分割で返って来るかを選択します。この際、年金をもらうことに対して所得税が掛かりますが、課税される所得税の計算において、一時金の場合には退職所得控除、年金受け取りの場合には公的年金等控除という一定の控除があり、税負担がある程度軽減されます。

 個人型確定拠出年金で資産運用する場合、所得1000万円で所得から毎年100万円を積み立てるとすると、毎年43万円の節税が出来る上、キャピタルゲインに20%の税金が掛からず、年金・退職金控除も活用しつつ税金の支払い時期を遅らせることが出来るため、税効果を考えると、かなり運用効率の良い方法と言えます。タックスメリットを考えると、個人型確定拠出年金に勝てる運用商品はほとんどないと言っても過言ではないでしょう。

 一方で、個人型確定拠出年金に実際に加入している人は、加入対象者の1%未満しかいないと言われています。それは個人型確定拠出年金は国の制度で、加入者にはメリットがあるが事業者の金融機関にとっては収益面でのメリットが少ないため、誰も宣伝しないし、銀行や証券会社の窓口で「お勧め」されることがないからです。

 個人型確定拠出年金の注意点は、受給時の60歳までは原則として掛け金を引き出すことが出来ないという点、掛け金に上限があるという点、一度決めた金融機関を変更するのが面倒という点です。

 掛け金の上限はサラリーマン等で厚生年金に加入している場合は月額23,000円が上限で、個人事業主は月額68,000円が上限です。
例えば専業の不動産オーナーの場合、法人形態で給料をもらっていて厚生年金に加入している場合は月額23,000円が上限、個人の不動産所得の形態で行っている場合は月額68,000円が上限となります。

 不動産投資をする上でも、節税をしながらの金融資産の活用をして、資産形成の一助としての個人型確定拠出年金の検討を是非してみて頂ければと思います。

(公認会計士 伊藤英佑)

 

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