確定申告で知っておくべき不動産所得のメリットまとめ

確定申告で知っておくべき不動産所得のメリットまとめ

 couple in home interior fill out a tax return

 不動産投資は確定申告して、自分で納税額を決定しなければなりません。そのときに、諸経費をうまく計上できるかどうかで、手取り収入が少なからず変わってきます。今回は確定申告時の不動産所得で知っておくべきメリットを5つご紹介します。 

不動産投資には確定申告が必要 

 不動産投資に限らず、副業で収入があれば、確定申告を行う必要があります。確定申告とは、その年度にどの程度の収入があり、どのくらい経費を使い、課税所得がどのくらいあるのかを計算する作業のことです。この作業を行わないと、自分がどれだけの税金を支払わなければならないのかが分からず、確定申告をしなければ脱税行為となってしまいます。 

 確定申告の考え方を、簡単に整理しましょう。確定申告の目的は、納税額の算出です。そして、所得税の納税額はおおまかには、 

「納税額=(収入−諸経費)×税率−各種控除」 

という計算式で算出されます。住民税は、 

「納税額=(収入−諸経費)×税率10%+4000円 」

です。基本的に、利益が出なければ所得税・住民税は支払う必要はありません。利益が出ていれば必ず納税する必要がありますが、利益は小さければ小さいほど、つまり諸経費が大きければ大きいほど、課税所得が小さくなるため、納税額も小さくなります。そのため、ルールの範囲内ならば、諸経費はできるだけたくさん計上して、利益を小さく見せるのが、節税の基本です。ただし、利益が出ていても出ていなくても、確定申告は義務づけられているという点には注意が必要です。 

 不動産投資には、さまざまな経費の計上が認められています。どのような経費を形状できるのでしょうか。見逃しがちな5つの経費を紹介します。 


使える経費①修繕費/管理費 

 1つめは、修繕費や管理費です。物件を所有していれば、必ず定期的に修繕費用や管理費用がかかります。この修繕費、管理費は不動産投資を続ければ続けるほど大きな負担となっていくため、うまく諸経費として計上していく必要があります。 

 修繕費としては、物件の価値を向上させるような「資本的支出」以外のものは修繕費として計上することが認められています。たとえば以下のようなものです。 

  • 畳の取り替え 
  • 水回りの設備の修理、交換 
  • ふすまの張り替え 
  • 外壁やドアなどの塗り替え 

 資本的支出ではないか否か、という判断は、かかった費用が20万円以下で、修繕する周期が3年以内であること、物件の現状維持が目的であることなどの条件があります。資本的支出になれば、減価償却することになるため、初年度の利益は大きくなってしまいますが、毎年に経費を分散することができるため、修繕費用がどちらになりそうか、先に見積もりを出してみることをおすすめします。 

 管理費としては、以下のようなものを計上することができます。 

  • 「建物管理会社」や「賃貸管理会社」といった物件の日常的な管理をかませる会社へ支払う費用 

 これらはランニングコストとして、継続的にかかりますので、できるだけ多くを経費として計上できるようにチェックしておきましょう。 


使える経費②交通費 

 2つめは、交通費です。不動産投資は、その他の金融商品への投資と異なり、実際に物件まで移動したり、業者との打ち合わせのために移動したりと、交通費が意外とかかってしまいます。以下のような経費を、確定申告のときに計上することができます。 

  • 物件を見に行くときの交通費、宿泊費 
  • 物件の管理会社などと打ち合わせに行くときの交通費、宿泊費 
  • 不動産投資セミナーに参加するときの交通費、宿泊費 

 交通費とは、タクシー代、電車・新幹線代、バス代、自家用車のガソリン代、駐車場代、高速代、ホテル・旅館の宿泊費などを計上することができます。自家用車の場合は、どこまでが不動産投資の事業用に使ったのかを分けて、ガソリン、保険料、重量税などまですべてを計上することができます。ただし、私用での移動や宿泊ではないことを証明するための、領収書や調査のメモなどをしっかり残しておく必要があります。 


使える経費③通信費 

 不動産投資をしていると、業者や入居者との連絡にかかる電話代や、物件情報の検索やさまざな情報収集のためのインターネットの通信費などもかかります。これらも、経費として計上することができます。しかし、多くの方は事業用の携帯を分けて持っているわけではないでしょう。そこで、通信費の3割から4割程度など、おおまかに事業用として分けて経費として計上することが認められています。これも、事業用として通信費を使っているという根拠を残しておく必要があります。 


使える経費④交際費 

 不動産投資に限らず、個人事業などでも事業に関わる支出である接待交際費に関しては、諸経費として計上することが認められています。不動産投資ならば、たとえば以下のようなケースでの費用を計上できます。 

  • 不動産投資セミナーの懇親会 
  • 管理会社との打ち合わせ時の飲食費 
  • 不動産投資仲間との勉強会時の飲食費 
  • 税理士との打ち合わせ時の飲食費 

 これらも、不動産事業に関連するものであることを示す記録などを残しておくことが必要で、もちろん領収書は確実にとっておかなければなりません。 


使える経費⑤消耗品・書籍 

 不動産投資には、意外と消耗品代がかかります。たとえば、物件の現状を記録するために使うデジカメ、情報収集や収支の管理に使うパソコン、その他プリンターや文房具なども消耗品として計上することができます。 

 さらに、不動産投資に関する勉強や情報収集に使う書籍や新聞代も、経費にすることができます。不動産投資を成功させるためには、書籍や新聞といった情報収集の媒体にお金を使うことは、必ず必要です。投資を成功させるための投資です。その書籍・新聞代は、不動産投資をはじめる前に使ったものも計上することができますので、ぜひチェックして節税に活かしましょう。 


うまく節税して手取り収入を最大化しよう 

 不動産投資にかかる経費そのものは、できるだけ小さくするべきではあります。しかし、必ずかかってしまう経費はたくさんありますので、それらをうまく経費として計上することで、納税額を小さくする、そして手取り収入を最大化する工夫をすることが、不動産投資では重要なのです。 

 今回紹介した不動産投資での、節税に使いやすい諸経費について、注意するべき点を最後にまとめます。 

  • 領収書を確実に保管しておく 

 確定申告は自分で記帳した帳簿をもとにして行いますが、その申告が正確なものなのか、証明することができなければなりません。そのため、何にいくら使ったのか証明できる領収書を確実に保管しておくようにしましょう。また、数年前の申告について税務署から聞かれたときのために、領収書は、3年以上は補完しておきましょう。 

  • どのような目的で使ったのか記録しておく 

 接待交際費や交通費などは、不動産投資に関わる出費なのかどうか、客観的には判断しにくいです。自分でも、申告するときになって、その出費がなんのためのものだったのか、思い出すのが難しいこともあるでしょう。そのため、特に接待交際費、交通費などは、どのような目的で使ったものだったのか、しっかり記録に残しておくようにしましょう。 

  • 私用と按分する場合は論理的に説明できるように 

 通信費や交際費などは、どこまでがプライベートで、どこからが事業用の出費だったのか、明確に説明できなければなりません。例えば、通信費のうちの4割を按分して経費として計上したならば、なぜ4割にしたのか論理的に説明できるようにしなければならないのです。 

 これらの注意点を抑えた上で、確実に不動産所得のメリットを活かしていきましょう。

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