人口減少も怖くない長期安定の不動産投資を実現するキーワード「JRA」とは?

人口減少も怖くない長期安定の不動産投資を実現するキーワード「JRA」とは?

高級不動産(写真=Thinkstock/Getty Images)

不動産投資の最大のネックは空室問題

 不動産投資家の皆さんにとって最大の関心事は空室問題だと思います。不動産は家賃収入を生み出してこそ、価値があるといえるでしょう。いざ売却となった場合でも、家賃収入を見込めない物件では足元を見られて買い叩かれてしまいます。

 不動産検索サイトHome’sのデータによると、賃貸用住宅の空室率は全国では19%、東京に絞っても14.5%という非常に高い数字となっています。これは不動産投資物件の10件に1件は、確実に入居者を見つけることができないということを意味しています。

 2008年住宅・土地統計調査によると、東京23区では244万7540戸の賃貸住宅があるとされており、うち約367,000戸が空室であると推定されます。こうした状況を生み出している最大の原因は、新築物件の過剰供給です。 

1出典:みずほ信託銀行「不動産トピックス」

 東京23区だけでも、毎年2〜4万戸の新築賃貸住宅が供給されています。余剰がでている市場にさらに供給するのですから、空室率は一層高まっていくでしょう。日本で一番人口が集中する東京でこの状況であれば、地方都市はさらに厳しい環境であることは間違いありません。

 一方で、日本は人口が減少しています。人口が減少傾向である経済では、大都市である東京や大阪、名古屋、福岡、仙台等に人口が集中します。東京に限って言えば、人口が継続的に流入するため、影響は限定的だといえるでしょう。

 緩やかではあっても、需要が減少していくことは間違いない事実です。需要は減り、物件は増えるという状況であれば、空室問題は不動産投資家をより一層悩ませることになるでしょう。

 現在不動産投資を検討中の多くの方が悩むポイントは、まさにこの将来の不安定さにあります。不動産に投資しても、将来空室になり損をする可能性が高くなってしまうのではないかと不安になるためです。

2出典:東京都

空室問題を解消する不動産投資戦略の考え方!

 需給バランスが崩れてしまうと、不動産投資家は家賃を下げることで入居者を募集しなくてはいけなくなります。当然、不動産投資の収益性は落ち、低い賃料設定はその後の売却時にも影響を及ぼすことになります。通常多くの不動産投資家は、家賃を下げる以外の武器を持っていません。これではただの値下げ競争の中で疲弊していくだけです。

 不動産投資家が不動産を「経営」するという中で、勝つための戦略が必要です。経営ですから、経営戦略論から考えてみましょう。経営戦略の第一人者であるマイケルポーター氏の基礎戦略において、経営戦略の種類は大きく3つに分けることができるとされています。それはコスト戦略、差別化戦略、そして集中化戦略です。

 コスト戦略とは値段をさげることで競争相手より優位に立つ戦略であり、多くの不動産投資家が選んでいる戦略でもあります。ところが、コスト戦略で勝つために必要な条件があります。それは大量供給が必須ということです。薄利多売という言葉を実践するのが、コスト戦略の肝であって、間違っても損切り覚悟の安値勝負という意味ではないのです。一般の投資家が今後厳しくなる賃貸市場で勝ち残るには、不適当な戦略といえるでしょう。では、残された2つの戦略はどうでしょうか? 

 差別化戦略とは他社にない強みを打ち出すことで、生き残りを図る戦略です。数多くあったパソコンメーカーの中で唯一Appleが生き残っているのはMacOSという、他社にない強力な強みを持っていたからです。集中化戦略とは特定の市場で勝負をすることで、生き残る方法です。スズキはトヨタやホンダと違って、軽自動車というカテゴリーに特化することで勝ち残りを図っています。

 不動産投資の現場で言えば、差別化戦略とは物件の魅力を高めることであり、集中化戦略はマニアックな入居者向けの物件にすることでしょう。例えばバイクが好きな人向けの物件、楽器を弾く音大生向けの防音物件など、特定のジャンルをしっかり囲い込むことが、集中化戦略になります。差別化戦略と集中化戦略の違いはそのターゲットの大きさになります。

長期的に安定する不動産投資戦略!キーワード「JRA」とは!

 マニアックな市場を狙っていくことは、有力な不動産投資戦略の一つですが、市場が小さいだけにその市場が消滅する危険性も含んでいます。それなりに初期投資も必要となり、一棟大家ならともかく。区分所有では物理的に不可能な場合もあります。長期的な安定を考えれば、より大きな市場をつかんでいく差別化戦略を狙う方が合理的でしょう。

 ここで参考になるのが大学の経営状況です。東大京大、早慶上智、MARCH、日東駒専など、大学ごとにカラーがあり、それぞれ志願者を集めるポイントが違っています。大学全入時代の到来といわれ、知名度の低い私立校などは定員割れするようなケースが散見されたなか、上記に挙げた各大学は根強い人気で入学者を確保できています。これはまさに人口が減って競争が厳しくなる不動産経営と同じ状況といえるでしょう。

 多くの場合は偏差値という指標で、上位校だから選ばれているという傾向がありますが、それに加え明らかに偏差値とは違う要素で選ばれている大学もあります。それが上智、立教、青山学院といったミッション系の大学です。どちらかといえば質実剛健なイメージのある早稲田、明治、法政、中央、日東駒専とは異なり、おしゃれで上品というイメージをうまく入学者確保に活かしています。実際に、キャンパスの雰囲気が非常によく、大学生活をここで過ごしたいという気にさせられます。

 他校と違うイメージを武器に差別化を狙っていく不動産投資戦略のキーワードを、入学者確保にイメージが影響している大学である、上智(J)立教(R)青山(A)の頭文字をとって、「JRA」としました。

 人口減少という環境の中でも、偏差値上位のステージを確保し、かつここに入学したいと思わせるような差別化を図ることで、人口減少という経済現象の中でも生き残っていくことができるのです。偏差値上位校であれば入学志願者がどんなに大きく増減しても定員割れすることはないでしょう。

 こうした大学と同様に、不動産偏差値をあげることで市場の需要を確保することができるのです。不動産偏差値とは本コラム内の勝手な定義ですが、家賃の水準で考えてみましょう。東大京大早慶は家賃15万円以上の高グレード物件、JRを含む偏差値上位各校は家賃10万円前後の優良物件、その他大学は家賃7万円以下の物件としてみましょう。

 上述の定義で、今後最も競争が厳しくなる市場はどこでしょうか。それは明らかに家賃7万円以下の市場です。なぜなら物件が余っているため、多くの不動産投資家がコスト戦略を採用するからです。価格競争には終わりはありません。空室のまま放置することを避けたいがため、、最終的には空室にならなければ、いくらでも値下げをしてしまうことが予想されるでしょう。

 次に競争が厳しくなるのは意外ですが高グレード物件です。なぜならこれは新築物件の差別化戦略だからです。新築物件業者が過剰供給の市場で生き残りをかけるためには、高級ラグジュアリー物件を手がけることが最も手っ取り早い戦略になるからです。

 最も競争環境が安定するのは、家賃10万円前後の市場です。この市場は人口が減ろうが増えようが安定的な一定のニーズがある市場です。景気が悪くなれば上位ラグジュアリーから層が流れ込み、景気が良くなれば下位の層から流れ込むことで安定する市場だからです。

 では次に、その市場の中で「JRA」のように勝ち残っていくために差別化を図るためにどうすればよいでしょうか。

 家賃10万円前後を維持できる方法の一つにリノベーションがあります。リノベーションは空間のブランディングをする有効な方法です。「JRA」の一つのエッセンスは世界観です。ミッション系の持つ特殊な世界観に入り込むことができるというのが魅力となっています。西洋的なイメージ、神学的な閉じたコミュニティそうした魅力が「JRA」の一つの強みといえるでしょう。

 巷にリノベーション物件と呼ばれるものが、数多く出るようになってきましたが、単に内装をリフォームしただけのものが多い印象です。リノベーションが強みとなって差別化を実現するためには「JRA」のように世界観を持つことが必要です。ある建築家は良い建築は「物語」を持っていると話しています。独自の世界を演出することが、生き残っていける不動産投資戦略となるのです。

 競争環境が安定する市場を狙い、さらに世界観のある差別化を図ることで長期的に安定する不動産投資が実現できるのではないでしょうか。

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