金融抑圧に備えた不動産投資

金融抑圧に備えた不動産投資

不動産投資
(写真=Thinkstock/Getty Images)

金融抑圧とは何か

 金融抑圧は英語ではfinancial repressionと呼ばれます。歴史的には、第二次世界大戦後のイギリスがGDP(国内総生産)の2倍を超える政府債務を40年かけて返済した例などがあります。他にもいくつか例はあるのですが、一般的な金融抑圧の政策とは、
 1.物価上昇率(インフレ率)を大きくして
 2. 名目GDPを大きくし
 3. 名目金利を人為的に低く抑えることで
政府債務の負担を軽くしつつ、GDP対比の政府債務を減らしていくことになります。

 現在の日本もGDP対比の政府負債が巨額なことから、過去のイギリスの例のような金融抑圧政策が取られるのではないか、すでに取られているのではないか、と話題になっています。

日銀の政策

 日本銀行は現在、異次元の金融緩和を行っています。日銀が2014年10月に行った量的・質的金融緩和の拡大では、長期国債買入れの平均残存年限の長期化が図られました。日銀の意図は、「イールドカーブ全体の金利低下を促す」ことにあり、短期の金利だけでなく長期の金利についても低く抑えにかかっています。

 また、日銀は、前年対比で2%の物価上昇を目標としています。つまり日銀の政策は、インフレ率の上昇と、名目金利を人為的に低く抑えることを目指したもので、まさに金融抑圧的な政策ということができます。

 このような政策がとられている間は、物価の上昇に金利が追いつきません。仮に、物価上昇率が年2%で、預金金利が年0.1%なら、預金しているお金は1年で実質的に1.9%目減りすることになります。普通預金や定期預金で資金を運用している方は、金融抑圧的な政策には弱いと言えます。 

金融抑圧で泣く人、笑う人

 金融抑圧でデメリットを被るのは、負債がなく、預金している人たちということになります。実質マイナス金利での運用となるからです。金融抑圧に対抗するには、株式や不動産などに投資してインフレ率を上回る収益を狙うしかありません。

 一方、住宅ローンなどの負債があって、資産がある人は、メリットを受ける側に回れるでしょう。モノやサービスの価格が上昇するインフレ下では、一般的には資産価格も上昇しやすく、実質的なローンの負担が軽減されるからです。

 まとめると、インフレ率が高まる中で金利が低く抑えられると、実質金利はマイナスとなります。お金を預金で運用する場合は金融抑圧に泣く人となり、うまく資産を運用できた場合は笑う人になります。

 不動産はもともとインフレに強い資産といわれています。投資の際はローンの借り入れも活用するでしょうから、うまくいけば金融抑圧を最大限逆手に取ることができます。

金融抑圧での不動産投資

 金融抑圧のもとでは、不動産投資は資産運用の有効な対象となります。新築マンションと比して手ごろな中古マンション投資に注目が集まっています。

 一方、投資にはリスクがつきものです。不動産投資においては、物件の立地、築年数、構造などから周辺の家賃相場を確認し、その上でこの先数年の賃料の動向を予測して、投資の採算性を判断することが必要となります。物件の良し悪しや投資の採算性を見極めるには、不動産会社から適切な情報を得ることも大事な要素です。

 インフレと低金利という金融抑圧を乗り切るには、不動産投資はひとつの選択肢になります。しっかりした情報を得て、不動産投資を考えるようにしたいものです。

 

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