分譲マンションを買う前に知っておきたいデータ集 (東京編)

分譲マンションを買う前に知っておきたいデータ集 (東京編)

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皆さんは「マンション投資」と言えば、真っ先に思い浮かぶイメージはどのような物件でしょうか。
たとえば都心のワンルーム物件で、節税や保険の代わりになる、なんて謳い文句が出てくるかも知れません。
しかし、世の中にはあえてファミリー向け分譲マンションを投資用物件として購入する人や実需と投資の目的を半々として購入される人もいます。

又、純粋に自宅として分譲マンションの購入を検討されている人にとっても、将来的に転勤や親の介護が発生する可能性を踏まえ、資産価値に関わるデータはお役に立つかと思います。

そこで今回は、分譲マンションを購入する前に知っておきたい、古今東西の様々なデータについて紹介していきたいと思います。
投資用の物件選びにも、ぜひ参考してください。

◆全国都市圏の住宅事情

先ず、全国の住宅事情についてデータを見ていきましょう。
下図は都道府県別に並べた、持ち家比率・民営借家比率・空き家比率のデータです。
並び順は右側に行く程、民営借家率(賃貸需要)が高い地域になっています。

なお、本文のデータソースには総務省統計局と国土交通省を使用しています。

住宅比率2
都道府県別の住宅比率

(リーウェイズ株式会社 作成)
※クリックで図を拡大

この図から、民営借家率は沖縄県が最も高い数値なのが分かります。
しかし、沖縄県は商業・近隣商業地域面積が国内38位、工業専用地域面積が国内42位と経済基盤は充実していません。
そして、土地値も安く開発未着手の地域も多いので、投資の対象地域として見るには懸念すべき点があります。

一方、福岡県(商業・近隣商業地域面積:62.48km2の6位、工業専用地域面積:68.93km2の5位)と宮城県(商業・近隣商業地域面積:33.38km2の13位、工業専用地域面積:34.28km2の16位)の2県は経済基盤を有していると言えます。
実際に検討する際には、ホットスポットの選別も必要になるでしょう。
では、次に大都市圏を地域毎に纏めた物件数のデータを見てみましょう。

大都市圏別の総住宅数および総世帯数(平成25年)
地域 総住宅数(千戸) 総世帯数(千戸) 空き家率(%)
全国 60,629 52,453 13.5
関東大都市圏 18,389 16,274 11.4
中京大都市圏 4,163 3,639 12.7
近畿大都市圏 9,652 8,317 13.8

上記数値から、先ず総住宅数・総世帯数の母数がいかに関東を生活地域としている人が多いのかが分かります。
総世帯数は近畿と比較して約2倍、中京と比較して約4.5倍です。
又、関東は総住宅数が多いにも関わらず空き家率の低さが目立つことから、住居としての需要がずば抜けて強いという事が出来ます。
では、こちらに総人口の時系列による動向変化も加えてみます。
国土交通省のとりまとめによりますと、総人口は2005年をピークとして減少局面へと突入しており、数値的には「2050年までに約3,300万人が減少する」と報告されています。

総人口動向2
都市圏別の総人口の動向

また地域別で見た場合に2050年までの推移では、大阪圏では約75%まで減少する見込みの一方、東京圏では約90%、名古屋圏では約85%を保つと予測されています。
地方圏では約65%まで減少見込みとありますので、ホットスポット以外の投資は難しいと捉える方が賢明でしょう。

では次の項目にて、少し関東近郊にスポットをあてて見ていきたいと思います。

◆関東圏および東京都の物件データ

先程の総住宅数および総世帯数について、都道府県別に見てみましょう。

関東一都三県の総住宅数および総世帯数(平成25年)
地域 総住宅数(千戸) 総世帯数(千戸) 空き家率(%)
東京都 7,359 6,510 11.1
神奈川県 4,351 3,876 11.2
埼玉県 3,266 2,919 10.9
千葉県 2,896 2,530 12.7
関東家比率

借家率の高さで見ますと、40%弱の東京都および約30%の神奈川県がとりわけ高い事が分かります。又、人口総数にて都道府県別・第1位の東京都が約1,350万人、神奈川県が第2位の約900万人を有している事を考慮しますと、やはり東京近郊の借家需要が強いことが伺えます。
では次項にて、東京都内のマンション事情を詳しく掘り下げていきたいと思います。

◆東京都内のマンション事情

1.マンションの用途別分布

東京都都市整備局(マンション実態調査)の公表値によると、東京都内のマンション総数は約13万棟あると報告されています。その内の約40%が分譲マンション、約60%が賃貸マンションです。詳細は、以下をご覧ください。

種類 総棟数(棟) 総戸数(戸) 1棟あたりの平均戸数(戸)
分譲マンション 53,213 1,844,413 34.7
賃貸マンション 79,975 1,167,677 14.6
合計 133,188 3,012,090 22.4
マンション用途別 総戸数の分布図
分譲賃貸

こちらのデータからは、賃貸マンション(主に投資用)は総戸数20戸以内が殆どを占めており、分譲マンションも総戸数60戸以下に比較的偏っている事が分かります。

言い換えれば、大規模マンションの供給戸数は割合としては殆ど無く、賃貸用マンションとの差別化を図るのであれば、共有施設が豊富かつ総戸数の多い分譲マンションを狙うのがベターかも知れません。

2.マンション戸数の年間増加ペース

また今後の時系列変化を考える上で、都内マンションの年間供給戸数(住居専用建物・シェアハウス・居住産業併用建築物の合計部屋数)を見ますと、

〇平成28年度: 9,543戸
〇平成27年度:10,082戸
〇平成26年度:10,161戸
〇平成25年度:11,011戸
〇平成24年度:10,502戸

と直近5年程度は、およそ年間1万戸のペースで建築されています。

それに対して、東京都内のマンションストック数は約300万戸(約13万棟)となりますので、供給は年間0.33%程度ずつ増えていくという事になります。
下図は、分譲・賃貸の別および築年数別の分布図です。

分譲・賃貸の別および築年数別の分布図
分譲賃貸2

バブル期に建築数はピークを迎え、10年単位で見た場合に2000年代はペースがやや鈍っている事が見受けられます。

背景として、立地感の良い場所はバブル当時に開発されており、またバブル崩壊後の1995年から2005年の間にて大企業が所有する工業用地の整理に伴い再開発が進んだ結果、都内近郊にて大規模な開発を進める土地は供給が少なく、既に一巡感があることが理由です。

また地価の上昇した現在は土地の仕入れが難しく、ある大手デベロッパーには2000年当時に仕入れた土地を未だに保有し、開発の時期を伺っている企業もあるそうです。

その意味では、新規の規制緩和の様なケースを除き、今後もますます開発が進んでいくようなシナリオは考えにくいと思われ、やはり既存の立地感の良い物件に競争力があると言えるでしょう。
(参考リンク)未来の都市開発に賭ける不動産投資!

その意味では、分譲マンションの購入に際して立地感の良い大型マンションを狙っていくのが、実需・投資用のどちらの観点からも良いと言えるでしょう。

いかがでしたでしょうか。分譲マンションの購入を考えるにあたっては、ご家族のライフスタイルや利便性が第一優先事項にあたるかと思います。しかし、将来的なライフスタイルの変化も考慮した際には、資産性の面に注目してみるのも良いかも知れません。

引用元:国土交通省、総務省統計局、東京都

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