シェアハウス「かぼちゃの馬車」向けにスルガ銀行が不正な融資を行っていた問題で、第三者委員会は、スルガ銀行の社員が「組織的に業務としてそのような不正行為等への関与を行っていたと考えるのが合理的」と認定しました。
第三者委員会の報告書は、不正行為に対する組織的な関与を認定するとともに、シェアハウス融資を銀行、融資先、シェアハウス事業者にとって、いずれもリスクが高く、永続性のないビジネスモデルと指摘しています。
今回、融資先の立場、つまり不動産投資家の立場から、第三者報告書の内容を検討します。
投資家が学ぶこと
第三者委員会の報告書から、投資家に役立つ情報を引用します。
「投資家にとっても、信用力のない事業者によるサブリース契約に依存し、あるいは市場相場より高額な不動産の購入により、サブリース業者の破綻や空室率の上昇、物件の処分等の事態となったときに大きな損失が発生することが予見される。」
ここで指摘されているのは次の2点です。
1. 信用力のない事業者によるサブリース契約に依存する
2. 市場相場より高額な不動産を購入する
この2点は、不動産投資の失敗の教訓として留意すべき点です。
信用力のない事業者によるサブリース契約
サブリース契約は一定の賃料収入が見込めることで、投資家にとってのメリットがある一方、サブリース業者が破綻してしまえば約束した収入が得られないリスクがあります。
サブリース業者が約束した収入が、契約期間を通して確実に得られるとは限らない点は、しっかり認識しておく必要があります。投資家はサブリース契約の収入とは別に、相場賃料を把握しておくといいでしょう。サブリースを解除した場合、通常の賃貸に回してどのくらいの賃料が得られそうなのかを知っておくのは重要です。
一般的にはサブリースの水準は相場賃料より低く設定されますが、サブリース契約が相場賃料より高い場合、サブリース業者が破綻して相場賃料での収入になったとたん、投資利回りが極端に悪化する恐れがあります。場合によっては毎月のローン返済に支障をきたす可能性もあります。
市場相場より高額な不動産を購入する
通常の賃料水準で評価すると1億円に到底満たない物件でも、レントロールの偽装や割高なサブリース賃料を設定し、キャッシュフローを過大に見積もることで、数字の上では1億円を正当化することができます。
1億円で投資して、サブリース業者が破綻し、相場賃料で貸したら大幅に収入減となるケースでは、物件の評価額も大幅に減少しているはずです。
もし1億円の物件に投資するときに1億円のローンを借りていて、あらためて物件を査定したら6,000万円になったケースでは、4,000万円の損失を一気に被ることになります。物件を売却しても、ローンを返済しきれない状況です。
リスクは低減できる
第三者報告書から学べる点は大きく2つです。不動産投資を行う前に、少なくとも次の2点を検討すれば投資のリスクを低減することができるでしょう。
1. 賃料の妥当性
2. 物件価格の妥当性
Gate.では今の賃料だけでなく、10年後、20年後の将来賃料も推計しています。賃料の妥当性を検証することができ、仮にサブリースを解除した場合、どのくらいの賃料になりそうかを把握することができます。
また、物件の価値評価も行っています。今の賃料にもとづく評価に加え、将来の賃料にもとづく将来の物件価値も算出しています。将来にわたる物件価値の低下とローン残高の減少とを見比べることができますので、物件の処分等の事態となったときに、大きな損失になるのか、ローンを完済できるのかも分かります。
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