スルガ銀行の一部業務停止命令と不動産投資の今後

スルガ銀行の一部業務停止命令と不動産投資の今後

シェアハウス「かぼちゃの馬車」をめぐる不正融資問題で、金融庁は5日、スルガ銀行に対し、投資用不動産向けの新規融資業務を対象に6カ月間の業務停止命令を出しました。

スルガ銀行のずさんな融資を重く見た金融庁は、地方銀行などを対象に不動産向け融資の実態調査に乗り出すとの報道もあります。

これを受けて金融機関の融資姿勢が厳しくなり、不動産投資市場が冷え込むとの観測が高まっています。

スルガ銀行は特殊か氷山の一角か

金融庁の処分理由にはシェアハウス向けの不正融資だけでなく、創業家が関係するファミリー企業への融資や、反社会的勢力への融資も含まれています。金融庁はスルガ銀行の企業統治の不備を重く見て、全ての役職員に対して通常業務から完全に離れた形で研修を行うことも命じました。創業家の影響力や厳しい業績プレッシャー、ノルマ、叱責等の企業文化も指摘しています。

創業家の影響力や企業統治の不備、叱責等の企業文化はスルガ銀行の特殊性と言えるでしょう。一方で「チャネル」と称される不動産関連業者との関係では、程度の差はあるものの多くの金融機関が共通した問題を抱えていると思われます。

スルガ銀行の問題はスルガ銀行に特有のものと、他の銀行にも共通したものの両面がありそうです。

チャネルの問題

不動産関連業者(チャネル)は、他の銀行にも共通した問題と思われます。スルガ銀行に対する行政処分の理由を金融庁は次のように開示しています1

「不動産関連業者(チャネル)が、賃料や入居率について、実勢よりも高く想定し、もしくは、実績値よりも高い数値に改ざんして、収益還元法で不動産を評価することにより、割り増された不動産価格が算出された結果、当該価格に基づき、当行から多額の融資が実行されている。」

この点について金融庁は、チャネルによる賃料の水増しなどの不正行為を、スルガ銀行の行員が認識していたにも関わらず、融資を行っていたことを指摘しています。

金融庁は今後の検査・監督で、不動産関連業者と銀行の関係を厳しく点検していくと思われます。

銀行の姿勢は物件の選別化へ

長引くゼロ金利によって預金と貸金のスプレッドは縮小し、銀行は収益を上げにくくなっています。特に地方では地元企業の融資にも限界があり、不動産投資用ローンが収益の柱になっている銀行もあります。

不動産投資ローンは約定返済が付くのが一般的です。新規融資をストップしたとたん、融資残高は減っていく一方になりますので、不動産投資用ローンに積極的、消極的にかかわらず、銀行は今後も一定程度の新規融資をしていくことになると思われます。

銀行の融資姿勢が一気に変わり、全面的に資金が止まることは想像しにくいです。今後の方向性としては、融資審査が厳格化され、融資の出る物件と融資の出ない物件の選別が進むとみるのが妥当でしょう。

不動産事業者の備え

不動産事業者にとって、銀行から融資を得られる物件の目利きがこれまで以上に重要になります。

スルガ銀行の事例や金融庁の開示資料などからは、賃料や入居率の見積もりの妥当性が特に重視されそうです。相場賃料よりも割高な賃料にもとづく価格設定や、賃料や入居率を盛ったうえでの返済計画では、今後は融資を得にくくなるでしょう。

銀行の融資姿勢が変わりつつある今、不動産事業者は、賃料や入居率を適切に見積もったうえで、魅力的で融資の付く物件を顧客に提供する必要性に迫られています。相場賃料や入居率、将来の収支予測など、投資用不動産の取り扱いに必要な情報を備える必要がこれまで以上に高まっていると言い換えることもできます。

Gate.では相場賃料や入居率など、投資用不動産の取り扱いに必要な情報を網羅した不動産業務パッケージをご用意しています。

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