地方の好調ニッチ不動産市場

地方の好調ニッチ不動産市場

地方の好調ニッチ不動産市場

 2020年の東京五輪を控え、不動産投資家の目は首都圏に集まりがちだ。対極的に地方では、2014年9月発表の基準地価で調査地点の約8割が下落しており、アベノミクスの波及効果がないと言われる。

 全体で見れば首都圏・大都市以外は衰退する一方に見えるが、視点を変えれば「地方の好調不動産市場」も確実に存在する。

エリア限定で上昇傾向の中古マンション市場

 山形市21.9%増。福島市16.6%増。盛岡市5.3%増。東北の3つの県庁所在地で、中古マンション価格が高い変動率を見せるという結果に。

 これは、東京カンテイが2014年12月25日に発表した「2014年11月度 中古マンション価格天気図」のファミリータイプ中古マンションの変動率である。11月度に売事例となった約57,000軒の平均価格が前月比でどれだけ変動したかを調査したものだ。

 「地方」とひとくくりにすれば、中古マンション市場は苦戦している。先に挙げた東京カンテイのデータにおいても、全物件の平均は前年同月比12.0%のマイナスとなっている。

 しかし、エリアごとに見ていけば、必ずしも下落一辺倒というわけでもない。さきほどのデータは、前月比という短期的なものだが、前年同月比でみても札幌市0.4%増、山梨県・徳島県0.8%増などの上昇傾向が見られる。

 不動産投資家の中には、都心よりも地方の方が利回りが高いと考え積極的に投資を行う者もいる。だがこれも「エリアと物件を厳選した上での」という但し書きが必要だろう。実際に投資を行う際は、そのエリアの不動産動向に詳しい専門家のアドバイスを受けるのが賢明だ。

商業地上昇率で全国1位は新幹線で話題のあの街

 2015年3月に北陸新幹線の延伸開業を迎えるJR金沢駅。

 周辺ではオフィスビルやホテルなどの建設が急ピッチで進められてきた。金沢駅西口は基準地価の調査地点となっているが、2014年9月発表の調査では、商業地で全国1位の15.8%の上昇率となった。

 全国1位ということは首都圏のどの商業地よりも高い上昇率を示したということである。きっかけさえあれば、地方都市でも首都圏をしのぐ伸びを見せることもあるのだ。

 北陸新幹線以外にも、2つの路線で現在、新幹線の整備が進められている。北海道新幹線は、2015年末に新靑森〜新函館北斗間、さらに2030年に札幌間までの延伸開業が予定されている。加えて、九州新幹線の武雄温泉〜長崎間の開業時期も最近、前倒しとなった。

 もちろん、整備新幹線対象のすべての駅周辺の地価が上昇するということではないが、いくつかの駅は顕著な上昇傾向を見せる可能性がある。

市場規模の小ささが地方都市のデメリット

 ここまで好調な地方の不動産市場を紹介してきたが、投資家にとっては地方にフォーカスする大きなデメリットもある。それは、「首都圏に比べて市場の規模が圧倒的に小さい」ということである。

 2013年9月13日の東洋経済ONLINE「海外マネーが地方の不動産に続々流入」では、福岡市で外資系ファンドの不動産投資が意欲的に行われている一方、市場規模の小ささにも言及。投資するマネーが潤沢に手もとに残されていても、投資先が見つからず困惑している投資家の声をリアルに伝えている。

 福岡は2013年に政令都市として6番目に人口150万人を突破した、日本を代表する地方都市である。その福岡でさえ、ファンドから見れば規模が小さく、すぐに投資先が見つからなくなってしまう。

 逆にいえば「地方の不動産市場」は「ニッチ」なため、個人投資家向きともいえる。ファンドの投資対象にならないような小規模〜中規模物件も、個人投資家にとっては魅力的にうつるだろう。

 ここでは、「中古マンション」と「整備新幹線」をテーマにしたが、この他にも「地方の好調ニッチ不動産市場」は残されているだろう。「停滞する地方」というメディア報道に惑わされず、視点を変えてニッチ市場を探してみるのも一案である。

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