2020年の東京オリンピック マンション動向のビフォーアフター

湾岸エリアの工事
(写真=PIXTA)

 2020年の開催を控えた東京オリンピックですが、オリンピックの影響は不動産市場に大きな影響を与えます。オリンピックまでとオリンピック以降とでは、不動産価格はどのような変化をするのでそしょうか。今回は中長期的な視点から、東京・首都圏のマンション動向を予測してみましょう。

現在の不動産関連動向

 2020年以後までのマンション市場の動向を予測するにあたって、まずは現在の不動産市場の動向を見てみましょう。2014年の住民基本台帳に基づく調査では、東京圏への人口流入は一段と進んでおり、東京圏での転入超過は10万人超え、東京だけで7万人を超えています。一方で全国の7割超の市町村で転出超過になっていることから、首都圏や三大都市圏などの中核都市への人口集中はより高まっていることが分かります。長期的な人口動態を見ると、今後も東京圏への人口流入は継続されると考えて良いでしょう。特に今後も景気が回復していければ、東京圏の不動産需要はまだ増える可能性は充分あります。

 地価の動向はどうなっているでしょうか。東京都の地価はバブル崩壊から2006年ごろまで低迷していましたが、2000年代後半は上昇を見せ、2008年〜2010年は下落傾向を見せたものの、2013年〜2015年にかけては、景気回復による資産価格の上昇から再び上昇経以降にあります。東京都全体で見ると全国2位の地価上昇率(4.06%)を見せており、これからも上昇することが期待されます。

 マンションの動向はどうなっているでしょうか。長期的に見ると、首都圏の投資用マンションは、バブル崩壊による市場の悪化が落ち着いた1990年代後半から2000年代前半にかけて、供給が伸び続けていました。しかし2008年のリーマンショック後から2010年にかけては供給戸数は激減し、その後2011年から現在までは回復してきています。2014年は年間の供給が9.4%増加しており、これからも首都圏全体で見るとゆるやかにマンションの供給数は伸びていくことが考えられます。需要も増えているため、投資用マンションの平均価格は上昇しています。小さな上限はありますが、大きな目で見るとマンション市場も拡大サイクルに入っていると考えられます。

不動産市場への影響①金融緩和はいつまで続くか

 それでは今後オリンピック開催に向けて、東京近郊のマンション動向はどのように変化していくと考えられるでしょうか。まずは不動産市場の供給面から分析してみます。不動産市場に影響を与える要因の1つとして、金融緩和の継続があげられます。シンプルに考えて、金融緩和が継続されれば借入金利が低く抑えられるため、不動産関連会社は投資に積極的になり、不動産供給は増大します。不動産市場への資産の流入も増えるでしょう。逆に金融緩和が出口に向かい、金利の引き上げられれば、不動産投資は消極的になり、不動産価格も下落サイクルに入る可能性があります。それでは金融緩和は2020年までに縮小するでしょうか。

 結論から言えば現在のレベルでの金融緩和は数年以内、つまり東京オリンピック前には縮小に転じると考えられます。しかし縮小に転じてもペースは非常に遅く、2020年でもまだ縮小の出口戦略の途上であるのではないでしょうか。日銀の国債保有額は過去最高になっており、中央銀行の総資産が非常に大きくなっているため、緩和の継続はどこかで限界が来ます。しかし日銀の目標はデフレ脱却であり、2%のインフレ目標を掲げています。2017年には消費増税も予定しており、簡単には縮小することができません。

 以上を踏まえると、日銀の金融緩和は縮小に向かうのは確実ですが、それは非常にゆっくりとしたペースで、市場の動向の様子を見ながら行なわれるということです。日銀にはバブル崩壊時に早期の縮小に入ったために、デフレを長期化したというトラウマがあります。少なくとも増税前に緩和が縮小される可能性は低く、縮小が行なわれるとしたら増税後の2018年以降となるでしょう。慎重に縮小されることを考えれば、2020年もまだ金融緩和は継続されていることが予想できます。このような今後の金融政策は不動産市場に追い風となると考えられます。

不動産市場への影響②人口動態

 日本全体で見ると確実に人口減少、世帯数減少の時代が来ています。人口は2010年にすでにピークを過ぎており、世帯数も2019年以降は減少する見通しです。長期的に見れば東京圏でも人口、世帯数の自然減は確実ですが、人口流入が激しいため東京圏の世帯数は今後も伸びると予測できます。人口については東京圏でも2015年がピークになるという予測がされていますが、世帯数については今後も伸び、ピークは2025年以降になると考えられています。そのため東京圏の不動産需要は、2020年の東京オリンピック後も伸びて、2025年〜2030年あたりから減少に転じると考えられます。

 人口が減少する中で世帯数が伸びるのは、単独世帯が増えるからです。家族世帯、夫婦の世帯は将来的に減少していき、その代わりに1人で住む世帯が増加していきます。また地域的には中央区、江東区、港区の3区には、特に人口が流入していくと予測されています。そして現在は賃貸マンションの居住率が増えており、今後も増加していくと考えられます。全住宅戸数の増加率を上回る水準で賃貸マンションの供給戸数が増加しており、特に単独世帯向けのマンション市場は活況になっていくと予測できます。

 さらに世界的に見ると、単一の都市として東京は今後も人口・GDPの面で世界最大であり続け、巨大な市場であり続けることから、ビジネスの拠点でもあり続けるでしょう。つまり2020年の東京オリンピック後も、人口動態の面からは不動産市場へのマイナス要因は少ないと言えます。

オリンピックで影響を受ける地域、受けない地域

 ここまでをまとめると、東京圏は中長期的に見て不動産市場、特にマンション市場であは安定して需要が見込めるということです。さらにオリンピック開催による不動産市場の動きを見てみましょう。まずもっともオリンピックの影響を受けるのが湾岸エリアです。この地域は土地の取得コストが比較的低く、また選手村の設置や、いくつかの競技の会場の設置が決定していることから、非常に注目されています。大型の新築マンション建設プロジェクトが多数進行中であり、2015年〜2020年にかけて1000戸以上の大型マンションが複数建設される予定です。オリンピック開催に伴ってインフラも整備されるため、現在日本でもっとも注目されているエリアと言っても過言ではありません。

 不安要因としては選手村設置の計画が変更されれば資産価値が急落すること、急な開発によって供給過多になり価格が暴落することです。円安などの影響で建設コストが高くなっていることもあり、地価、建設費用共に非常に高くなっています。今後の動向を慎重に見極める必要があるでしょう。

 湾岸エリア以外で注目されるのは、東京スカイツリーの周辺エリアです。墨田区押上や錦糸町駅周辺ではマンション開発が活発になっています。これは都心へアクセスしやすく、また都心に比べると価格が相対的に低いためです。

 一方で地方や首都圏の郊外地域では、マンション動向はマイナスに振れる可能性が高いです。人口の流入・流出はマクロな視点で見ると地方から都市圏へと移動していますが、首都圏内でもより便利な土地、行政サービスのいい土地、開発が進められている街へと移動しているからです。2020年までのマンション動向は、長期的な経済・人口動態とオリンピックの影響から、二極化が進むと予測できます。

オリンピック後のマンション動向

 最後に2020年のオリンピック後のマンション動向はどのようになるか、予測してみましょう。結論から言うと、2020年以降は東京圏でも多くの地域で、マンション価格が下落していくと考えられます。まず金融緩和は2020年前後には縮小されると考えられ、また東京圏の人口流入による人口増と、少子高齢化による自然減が逆転し、世帯数も減少に転じるようになるのが、2020年以降数年以内に確実になるからです。オリンピック後のマンション動向を予測して、2020年以降も価値が安定的になると考えられるのは、港区、千代田区、目黒区、渋谷区などの高級マンションではないでしょうか。この地域は主要な駅の徒歩県内であり、オリンピックや長期的な世帯数の減少の影響を受けにくいのです。不動産投資家の方は、このような長期的・マクロな展望と短期的・ミクロな展望を組み合わせて、投資対象を慎重に決めていくことが求められます。
 

賢い不動産投資を始めよう

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2015年10月26日 8:30 AM カテゴリー: 不動産市況

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