不動産を取引する場合、仲介に入った不動産業者に仲介手数料を支払います。不動産仲介手数料は、取引金額の「3%+6万円」に消費税をかけたものが上限になります。ところで、この「+6万円」の意味をご存知でしょうか。
なぜ6万円なのか。
今回は、不動産仲介手数料の仕組みについてご説明します。
宅地建物取引業法46条
宅地建物取引業法の第46条には、不動産の仲介で受け取れる手数料について、以下のように書かれています。
(第46条) 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。 2.宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。 (3項以下略) |
国土交通省は、「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」として、取引価格に応じて以下のように料率を定めています。
200円以下の金額 | 5% |
200万円を超え400万円以下の金額 | 4% |
400万円を超える金額 | 3% |
なお、最終改正は平成26年2月28日(国土交通省告示第172号)です。そこでは消費税率8%を考慮した料率が記載されていますが、ここでは簡略化のために消費税を抜いた料率をパーセント表記しています。
具体的に計算してみます
手数料率は取引金額によって段階的になっています。これが「+6万円」に関係してきます。
具体的に、1,000万円の取引で計算しましょう。
料率 | 適用金額 | 手数料 | |
200万円以下 | 5% | 200万円 | 10万円 ① |
200万円を超え400万円以下 | 4% | 200万円 | 8万円 ② |
400万円を超える | 3% | 600万円 | 18万円 ③ |
合計 | 1000万円 | 36万円 ①+②+③ |
1,000万円の取引に対して、手数料は36万円です。これは、1,000万円の「3%+6万円」に一致します。
2,000万円の場合は、①と②は同じ額です。③が、1,600万円×3%で48万円になります。そうすると、①から③までを足したものは66万円になります。2,000万円の「3%+6万円」に一致します。
5,000万円の場合は、同様に156万円になり、5,000万円の「3%+6万円」に一致します。
簡易的な速算法です
「3%+6万円」は、取引価格が400万円を超える場合の簡易的な速算法です。
400万円までの金額に対する手数料は、①+②で18万円でした。一方、400万円を3%で計算すると12万円です。
この、「正式な金額18万円」と「3%で計算した12万円」の差額が6万円ということです。
手数料について、段階料率で計算するのはやや複雑なので、暗算しやすいように一律に3%で計算し、あとから段階料率との差である6万円を足す速算法が一般的に使われています。
何気ない「+6万円」ですが、その意味は400万円以下の段階料率を調整するためだったのです。