首都圏でこれから期待できる街

横浜市の夜景
(写真=PIXTA)

 少子高齢化に伴う社会保障費の増大、政府の財政赤字の悪化、都市部と地方の二極化など、近年の日本では様々な問題が発生しています。このような問題の発生に伴って、日本中の自治体が新たな政策を行なうことで、自治体の魅力を向上させようとしています。今回は首都圏でこれから期待できる街をランキングにしてご紹介しましょう。

競争力の低い自治体は淘汰される時代

 日本に住む人ならば誰もが知る問題に少子高齢化があります。少子高齢化は社会保障費の増大、財政赤字の悪化、世代間の不平等などのマクロな問題を引き起こしていますが、市町村レベルでは人口減少・人口流出による税収の減少、待機児童の増加、医療介護施設の不足などミクロな日常レベルでもたくさんの問題を発生させています。

 このような時代で生き残れるのは、付加価値を増大させ魅力的な街にすることで、人口を流入させることのできる自治体です。不動産投資家は今後人口の流入が予測される街を探し、投資対象とすることが必須になります。つまりこれから期待できる街について、あらゆる面から情報収集しておく必要があるのです。それでは、まずは現在人口が増加している首都圏の自治体のランキングをご紹介します。

首都圏の人口増加自治体

1位 神奈川県横浜市都筑区
・人口増減率:12.4%

・2040年の人口指数:125.2
 このランキングで1位となったのが横浜市の中でもっとも人口が増大している「神奈川県横浜市都筑区」です。1994年に港北区から分離して以来、約20年で人口がほぼ倍増しています。都筑区は新興住宅地や分譲マンションが多く、最新のまちづくりが実践されています。大型のショッピングセンターが建設され、また2008年からは市営地下鉄が開通したことから、都心へのアクセスも容易になったことが、人口流入の背景にあります。

2位 埼玉県滑川町
・人口増減率:12.2%
・2040年の人口指数:115.1

 長期的に人口数・世帯数が増加し続けており、最近では東武東上線の駅が新設されたことでアクセスが向上し、さらに人口が増加しているのが「埼玉県滑川町」です。森林公園前駅からは成田空港、羽田空港への長距離バスや、大阪・京都行きの長距離バスも発着していて、長距離移動の利便性の高い地域です。幹線道路の要衝でもあるため、都心から離れた小さな町であるにも関わらず、注目が集まっています。都心から滑川町の北部は住宅開発が進んでおり、人口流入は今後も続いていくと考えられます。

3位 群馬県吉岡町
・人口増減率:9.6%
・2040年の人口指数:115.0

 群馬県のほぼ中央に位置する、ベッドタウンとしての人口流入がさかんなのが「群馬県吉岡町」です。平成11年に上毛大橋が開通したことで前橋市へのアクセスが向上し、ベッドタウンとして人口を増やすことができました。町づくりが進んでおり、宅地開発、大型ショッピングセンターの新設、バイパス開通などから、今後も人口流入が継続することが見込まれます。

4位 埼玉県伊奈町
・人口増減率:16.3%
・2040年の人口指数:112.7

 都心から40km離れていますが、都心への通勤者がベッドタウンとして利用しているのが「埼玉県伊奈町」です。ニューシャトルの開通や教育施設の誘致なとを背景に、時効が増大しています。また自治体レベルでの町づくりも進められていて、今後も人口が増大し続けることが予測されます。

5位 東京都稲城市
・人口増減率:10.9%
・2040年の人口指数:109.4

 東京都多摩地域の南部にあるのが「東京都稲城市」です。1970年代からの多摩ニュータウンの建設、京王相模原線、小田急多摩線の開発などを背景に、人口が急増した地域です。都心への通勤率は28.8%と高く、典型的なベッドタウンです。現在も人口は増え続けており、まだ開発の余地があることから今後も人口増加が継続されると考えられます。

 日経BPインフラ総合研究所の行なった人口増加自治体のランキングから、首都圏の自治体をピックアップしてランキングにしました。人口増減率は2005年〜2010年の5年間でのもので、2040年の人口指数は現在の人口を100とした場合の予測される人口数です。では次に自治体の財政力からのランキングをご紹介しましょう。

首都圏財政力ランキング

 自治体の基準財政収支額と基準財政需要額から割り出される財政指数から、首都圏の自治体の財政力、つまり「お金持ちの自治体」をランキングにすると以下のようになります。 

1位 神奈川県箱根町
 東京都の自治体を抑えてランキングの1位となっているのが、神奈川県箱根町です。完全失業率も神奈川県内でもっとも低くなっています。箱根町の職員の初任給は神奈川県内最低になっており「小さな自治体」を目指しているようです。しかし箱根市は「豊かな自治体」ではありません。単純化した財政指数ではトップになりますが、集落が散在していることから行政サービスのコストが高く、また高齢者も増加しています。継続的に行政改革を行なっていますが、投資するにあたってはそれなりの戦略が必要となる自治体です。

2位 東京都武蔵野市
 住みたい街ランキングトップの常連であり、高額所得者が多く住む武蔵野市は、財政力も日本トップです。吉祥寺という商業集積地があることから、全国的に見て人気の地域で、税収は安定、行政サービスも高いです。総合的に見た場合もっとも豊かな自治体です。高齢者向けの介護医療サービスも非常に充実しており、高額所得者向けの不動産投資を行なうには、とても魅力的なのではないでしょうか。引き続きこれから期待できる街です。

3位 埼玉県戸田市
 首都圏で3位、埼玉県でもっとも財政力のある街が「埼玉県戸田市」です。戸田競艇があることで財政が安定していると思われていますが、競艇からの税収は全体の0.6%まで落ちています。しかし物流の拠点であることから、昔からある中小企業や流通倉庫関連会社などからの税収が安定しており、行政サービスも安定しています。近年は防災対策、北戸田駅周辺の開発、コミュニティ施設の新設などが行なわれています。今後の大きな成長が見込めるとは言えませんが、安定しているエリアと言えます。

教育施策に力を入れている自治体

1位 神奈川県横浜市
 全国で問題化している待機児童の増加ですが、横浜市は2010年は認可保育所の待機児童が全国でもっとも多かったのです。しかし徹底した施策によってその3年後にはほぼゼロになりました。家庭に合わせた保育を相談できる「保育コンシェルジュ」が導入されており、全国的に注目が集まっています。他にも地域レベルで子どもを預かったりするシステムや、子どもが自由に遊ぶことができるプレイパークの設置など、ユニークな施策を導入し続けています。教育政策の面から、もっとも注目できる街です。

2位 東京都武蔵野市
 財政面でも豊かである武蔵野市ですが、教育面でも優れています。武蔵野市は駅周辺には塾が集中しており、周辺には有名大学が多くあります。通学圏内にある学校はとても多く、教育水準の高さという面では全国トップレベルではないでしょうか。また動物園のある井の頭公園を中心として自然も豊かで、中学卒業までの医療費自己負担分は全額補助されます。全小学校で放課後の教室、グランド、図書館をスタッフ付きで解放するなど、育児にも非常に向いているエリアです。

3位 東京都品川区
 すべての小中学校で小中一貫教育を行なっており、学校選択制、教科担任制などのユニークな教育制度を取り入れているのが品川区です。英語教育にも力を入れており、現代社会の動向に合わせた義務教育制度を構築しようとしています。育児の面でも短時間就労対応型の保育制度を導入しており、とても魅力的です。現代社会の動きに適応できていないと批判されることも多い義務教育ですが、今後はこのような最先端の教育を取り入れていく街に人口が流入することは確実です。

魅力的な街とそうでない街の二極化が進んでいく

 今回のランキングから、総合的に見ると横浜市と武蔵野市がもっとも魅力的な街だと言えるでしょう。魅力的な政策を取り入れている自治体は人口が流入し、税収が増えて豊かになり、さらに行政サービスを向上することができるという好循環をつくり出すことができます。しかし反面、魅力的な政策を考案できない、また考案しても実施するだけの余裕のない自治体は、今後淘汰されていくでしょう。

 本格的な人口減少社会を迎えるこれからの日本では、自治体間での政策の競争、人口の奪い合いが起こります。不動産は流動性の低い資産ですので、一度投資したら数年〜数十年に渡ってその土地から資産を移動させることができません。社会の変動を折り込んだ投資計画の役割が、さらに高まってくでしょう。
 

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2015年11月11日 7:00 AM カテゴリー: 不動産投資

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