築古物件のオーナー必見 空き家対策措置法を分かりやすく解説

築古物件のオーナー必見 空き家対策措置法を分かりやすく解説

誰もいなくなった部屋
(写真=PIXTA)

 全国に800万戸以上ある空き家ですが、しっかりと管理の行き届いている空き家は少なく、災害や犯罪の被害のもとになってしまっています。そこで制定されたのが「空き家対策特別措置法」です。投資用物件のオーナーならば知っておかなければならない法律です。今回は空き家対策措置法とはどのような法律なのか、オーナーはどのような対応をしなければならないのかについて、解説していきましょう。

空き家対策措置法の背景

 平成27年5月から完全施行された「空き家対策特別措置法」ですが、これは全国800万戸ある空き家の問題を解決するために制定された法律です。不動産のオーナーにとってはなぜ制定されたのか、どのような法律なのか、よく知っておかなければなりません。なぜならば自分の物件も措置法からの影響を受けることがあり得るからです。対象となって措置を受けてからでは、対策が後手に回ってしまいます。措置法に基づいて対策が命じられれば、大きな出費が伴うこともあります。そもそもなぜこのような法律が制定されたのか、という点から説明していきましょう。

 ここ数年になって全国の空き家が問題として取り上げられるようになりました。しかし急に空き家が増加したわけではありません。住宅数はこれまでもずっと増えてきたのですが、供給過剰が続いている上に住宅を相続する子どもの数が少子化によって少なくなってしまったため、空き家が増えてしまったのです。 

 特に最近問題になっている空き家は、築30年以上の物件です。このような物件はすでに老朽化が進んでおり、火災や台風などによる倒壊の危険、害虫の発生、不審者の侵入など、問題の温床となっていました。なぜこのような空き家が増えてしまったのでしょうか。理由は大きく2つあります。

 1つは空き家の対策が物理的に不能であるというケースです。物件の所有者が高齢であったり、遠方に住んでいて管理ができない、などの理由で放置されているのです。2つ目は資金的な理由です。建物は利用しないが建物を取り壊すと費用がかかる上に、固定資産税が上がってしまうため取り壊せない、管理費用を出すことができない、という理由で放置されているケースです。建物のある土地は固定資産税が6分の1まで優遇される特例があるため、多くのオーナーは空き家になってしまっても解体しません。しかし築古物件は資産価値が低く需要が少ないため、管理・活用がされないまま放置されてしまうのです。

 この様な空き家問題を解決するために、空き家対策措置法が制定されました。この法律では空き家の適正な管理が義務づけられ、放置している空き家のオーナーには改善の命令・勧告が行なわれ、改善されない場合には50万円以下の罰金等の罰則があります。倒壊の危険がある場合は行政措置が取られ、それにも費用がかかるため、不動産のオーナー、特に築古物件を所有しているオーナーにとっては、対策が必須です。

空き家対策措置法の内容

 具体的な法律の内容はどうなっているのでしょうか。まず空き家対策措置法の目的は「地域住民の生命、身体、財産、の保護及び生活環境の保全」と「空き家活用の促進」とされています。しかし自治体が勝手に危険とみなされる空き家を解体してしまうことはできません。そのためまずは法律によって対策が必要と思われる空き家の情報収集が行なわれます。これによって「空き家等」もしくは「特定空家等」をみなされた場合に、措置が行なわれます。措置の対象となるのは以下の条件に該当する物件です。

・空き家等
 居住その他の使用がされていないことが常態である建築物とその敷地。実際には1年を通しての電気・ガス・水道の利用や人の出入りがない建築物

・特定空き家等
 ①著しく保安上危険となるおそれのある状態
 ②衛生上有害となるおそれのある状態
 ③著しく景観を損なっている状態
 ④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態

 つまり日常的に使用されていない建物や、倒壊の危険性のあるものや不衛生なもの、景観を損なっている、もしくは周辺の環境に悪影響を与えている物件が、措置の対象となるということです。措置の対象となった場合はどのような影響を受けるのでしょうか?

■立ち入り調査
 これまでは個人の所有する空き家への立ち入り調査は難しかったのですが、今後は特定空き家等の条件に該当する疑いがある物件には、容易に調査に入れるようになります。この調査は拒否することができません。仮に拒否した場合はペナルティがあります。市町村の命令に違反した場合は50万円以下の罰金、立ち入り調査を拒否した場合は20万円以下の罰金です。

■固定資産税の納税記録で特定
 これまでは空き家の所有者を特定するには、登記の記録しか利用することができませんでした。しかし空き家対策法の施行によって、固定資産税の納税記録から所有者を特定することができるようになります。物件の所有者は簡単に特定されてしまいます。特定空き家等の条件に該当すると判断された場合は、これまで6分の1までに軽減されていた固定資産税が、元の税率に戻されてしまいます。つまり固定資産税が最大6倍になります。

■解体勧告、強制対処が可能
 特定空き家等の条件に該当した場合は、まず解体や修繕の「助言・指導」が行なわれます。しかそこれでも改善されなければ「勧告・命令」が行なわれます。それにも従わなかった場合は、「強制対処」が行なわれます。これは市町村によって修繕や解体作業が行なわれるということで、当然その費用は所有者に請求されます。

 このように特的空き家等であると判断された場合、オーナーには大きな費用の負担が求められます。それは税金の納税額の増額であったり、改善費用であったりしますが、場合によっては数百万円単位で負担が増えるかもしれません。そのようなことにならないように、自分の保有する物件が特定空き家等と判断されないか、判断された場合はどのように対処するか、よく検討しておく必要があります。

オーナーはどのような対応をするべきか

・対象となるのは一戸建て?
 空き家対策措置法の主な対象となるのは一戸建てのように思われます。しかし全国の空き家のうち6割が、実はマンションやアパートの共同住宅であることがわかっています。マンション・アパートの場合は簡単に取り壊すこともできませんし、しかし空き家を放置していれば管理組合が維持できなくなり管理体制が悪化、新規入居者が入らなくなるという悪循環に陥り空き家は増加してしまいます。

 しかし今回施行された空き家対策措置法は、明らかに空き家を一軒家として想定している法律です。そのためマンション・アパートのケースでの措置は不明確になっています。マンション・アパートの場合は1棟を1人のオーナーが所有しているケースは少なく、多くは区分所有で複数のオーナーが保有しています。共同住宅では物件を管理するといってもすべてを管理組合によって組織的に取り組まなければならないため、一戸建てのように簡単に対処することができません。また住居として使用されているかどうか、というのも外から見ただけでは判断しにくいという問題もあります。今後法律が改正されていくことも考えられますが、現在の法律で大きく影響を受けるのは一戸建て、もしくは共同住宅でも1棟個人所有しているオーナーに限られるでしょう。

 具体的には築20〜30年を超えた一戸建ての住宅が、もっとも空き家対策措置法の対象となることが考えられます。特定空き家等であると指定されてしまったら逃れることはできませんので、勧告される前に対策するか、もしくは勧告された場合のために対処法を検討しておくといいでしょう。

・修繕して貸し出す
 もっともいい対応としては、勧告が行なわれる前に空き家となっている物件を修繕、リフォームして貸し出すことでしょう。修繕すれば特定空き家等の条件には該当しませんし、数十万円〜数百万円の費用はかかるかもしれませんが、その後再び収益をもたらしてくれます。わずかでも収益があれば固定資産税の足しになります。また自治体によってはリフォーム費用に補助金を出してくれるケースもあり、メリットは大きいです。

・解体する
 修繕も管理もするつもりがないならば、自治体から改善するよう言われてから解体するしかありません。解体費用は木造ならば100万円〜150万円程度が相場です。また固定資産税は大きくなってしまいます。

・売却する
 倒壊しそうなほど老朽化が進んでいなければ、リフォームを前提に格安で売り出すこともできます。撤去費用を負担しなければならなくなるケースもありますが、もっとも低コストで処理できます。

 現在空き家ビジネスがさかんになっており、今後不動産市場は大きく変化していくことも考えられます。うまく活用すれば収益物件にすることも、売却して利益を得ることもできるかもしれません。後手の対応にならないように、オーナーのみなさんは早めに対応を考えておくことをおすすめします。
 

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