不動産の価値は、賃料と利回りから求めることができます。賃料の「収益」を利回りで資産価値に「還元」することから、このようにして求める不動産価値を「収益還元法」による評価額といいます。
不動産の価格がその不動産の価値を表しているとすると、価格のデータと賃料のデータから、適正な利回りを推計することができます。
当社では、1,500万件を超える駅ごとの賃料データと、不動産価格のデータから駅ごとに利回りを推計しています。そこで今回は1都3県の利回りマップをご紹介します。
1都3県の利回りマップ
1都3県の利回りマップは、当社が保有する不動産ビッグデータを活用し、駅ごとにモデル物件の適正利回りを推計したものです。
利回りの推計には、不動産の賃料と価格に関するデータはもちろんのこと、駅周辺の昼間人口、小売業の事業所数、小売業の年間販売額、鉄道の利用者数といった、駅ごとの特性データも考慮に入れています。
駅ごとの特性データを加えるのは、不動産データだけですと、駅ごとにサンプルバイアスがあるかもしれないからです。たとえば駅によっては不動産価格のデータが少なく、推計誤差が大きいケースもあります。また、不動産の価格は、経済状況によって実勢の価値から大きく乖離することもあるからです。
駅ごとの特性データは安定しているため、不動産データだけでなく、駅ごとの特性データを加えることで妥当性の高い推計結果を導くことができるのです。
この図は、東急田園都市線の利回りのサンプル図です。青点は不動産データだけで作成した場合です。不動産データだけの場合、駅ごとにばらつきが大きくなります。そこで駅ごとの特性データを加えてモデル化すれば、オレンジ色の点になります。
当社が提供する利回りは、不動産のデータと駅周辺のデータを掛け合わせることで、より妥当性の高い利回りとなっています。
いくつか具体的な駅で見ていきましょう。
主要駅の利回り 白金高輪駅(利回り5.4%)
白金高輪は東京都港区にある東京メトロと都営地下鉄が相互乗り入れしている駅です。駅名の由来は白金と高輪というブランド力のある二つの地名です。
500m圏内の昼間人口は2万6千人ほどですが、人口総数は少なく1万5千人ほどです。白金や高輪近辺は都心にありながらも緑の多いた閑静な住宅街があります。
主要駅の利回り 神保町駅(利回り5.8%)
神保町は東京都千代田区にある駅で、東京メトロと都営地下鉄が相互乗り入れしています。近くには古本屋街があります。
500m圏内の昼間人口は10万人ほどです。駅周辺には学校が多くあり、学生や生徒の数が多いのが特徴です。生徒学生数は2万9千人ほどです。一方、都心であることから人口総数は少なく、5千2百人ほどしかいません。
主要駅の利回り 学芸大学駅(利回り6.5%)
学芸大学は東京都目黒区にある東急東横線の駅です。駅名の由来となった東京学芸大学は小金井市に移転していますが、東京学芸大学附属高等学校は当駅を最寄り駅としています。
500m圏内の人口総数は1万6千人、昼間人口は1万1千人ほどです。庶民的な雰囲気のある街で碑文谷公園といった憩いの場もあります。
利回りは変化します
ここで取り上げた例はあくまで一例です。利回りの水準は、そのときどきの状況によって変化していきます。また、同じエリアの物件でも、築年数といった物件固有の事情によっても利回りは変わります。
不動産の投資において、適切な情報にもとづいて判断を下すことがすます重要になります。その際、不動産データに、駅ごとの特性データを加えた当社の利回りマップは、役に立つ情報の一つになるでしょう。
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