一都三県 市区別 賃料下落率ランキング

一都三県 市区別 賃料下落率ランキング

下落率
(写真=PIXTA)

 不動産ビッグデータを活用した投資分析として、市区ごとの賃料下落ランキングを作成しました。

 賃貸マンションの家賃は、新築プレミアムのある新築時が最も高く、古くなるにつれて賃料は低下していきます。他の条件が同じであれば、築古よりは築浅物件に住みたいと思うのが自然だからです。
 賃料の低下の度合いは、エリアによって異なります。物件の供給が少なく、住みたい人が多いエリアではそれほど賃料は低下しませんが、物件の供給が多いエリアや住む人が減っていくエリアでは賃料の下落は大きくなります。
 今回は、一都三県の137の市区ごとに、モデル物件で賃料の減価を推計しました。新築プレミアムの影響を除くため中古物件を想定し、築5年から築35年までの30年間の賃料の下落を試算しました。たとえば、賃料の下落-10%は、築5年の賃料を10万円としたとき、築35年では9万円になることを意味します。
 賃料の下落が大きなエリアは概ね人口減少の大きなエリアとも重なりますので、人口の動向も合わせてご紹介します。

賃料下落率 No.1 東京都 青梅市 -33.3%

青梅の風景
(東京都青梅市 御岳山の景色)
 青梅市は、東京都の多摩地域北西部にある市です。人口は13万7千人(2015年1月1日現在)で、国分寺市(11万9千人)より多く、中央区(13万8千人)よりやや少ない規模です。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、青梅市の2040年の人口は10万4千人となり、25年で24.1%も人口が減少する計算です。

賃料下落率 No.2 東京都 羽村市 -28.6%

東京都羽村市
(東京都羽村市 根がらみ前水田のチューリップまつり
 羽村市は、東京都の多摩地域西部にある市です。東京都の市のなかで最も人口が少なく、東京ドームの収容人員(5万5千人)をやや上回る5万6千人ほどです。
 羽村市の2040年の人口は4万9千人が見込まれ、5万人を切ることが予想されています。人口の減少率としては14.3%です。

賃料下落率 No.3 埼玉県 熊谷市 -28.1%

埼玉県熊谷市
(埼玉県熊谷市 熊谷うちわ祭)
 熊谷市は、埼玉県の北部にある市で、夏の暑さは厳しく、2007年には最高気温40.9度を記録するほどです。人口は19万9千人ですが、2040年には16万人と19.6%減少する見込みです。埼玉県全体としては12.5%の人口減少が見込まれていますので、それに比べると熊谷市の人口は大きく減少することが予想されます。

賃料下落率 No.4 神奈川県 秦野市 -25.7%

 秦野市は、神奈川県の中西部にある市です。人口は16万8千人ですが、2040年には14万8千人と11.9%減少することが見込まれています。神奈川県全体としては8.8%の人口減少が見込まれていますので、それに比べると秦野市の人口は大きく減少することが予想されます。

賃料下落率 No.5 埼玉県 入間市 -25.6%

 入間市は、埼玉県の南西部にある市で、狭山茶の産地です。人口は14万9千人で、2040年には12万6千人と15.4%減少することが見込まれています。地理的には、賃料下落率1位の東京都青梅市に隣接しています。

賃料下落率 No.6 神奈川県 伊勢原市 -24.1%

 伊勢原市は、神奈川県のほぼ中央に位置する市で、賃料下落率4位の秦野市に隣接しています。人口は10万1千人で、2040年には人口10万人を切る8万7千人と13.9%減少することが見込まれています。

賃料下落率 No.7 神奈川県 厚木市 -23.9%

 厚木市は、神奈川県のほぼ中央に位置する市で、賃料下落率4位の秦野市と6位の伊勢原市に隣接しています。人口は22万5千人で地方自治法にもとづく特例市ですが、2040年には19万5千人と13.3%減少することが見込まれています。

賃料下落率 No.8 千葉県 我孫子市 -23.7%

 我孫子市は、千葉県の北西部に位置する市で茨城県の取手市に接しています。人口は13万1千人で、2040年には10万3千人と21.4%減少することが見込まれています。千葉県全体の人口減少率は13.5%が予想されていますので、我孫子市の減少率は県全体を上回るものとなっています。

賃料下落率 No.9 埼玉県 久喜市 -23.5%

 久喜市は、埼玉県の東部に位置します。人口は15万2千人で、2040年には12万1千人と20.4%減少することが見込まれています。

賃料下落率 No.10 千葉県 千葉市若葉区 -23.5%

 千葉市若葉区は、千葉県千葉市の北東部に位置します。人口は15万1千人で、2040年には12万4千人と17.9%減少することが見込まれています。

賃料下落率 No.1~ No.10

 これまでに見た賃料下落率の上位10市区をまとめます。

 賃料下落の数字は、現在10万円の賃料を得ている築5年物件の30年後の想定賃料です。かっこ内は下落率。人口減少率の数字は国立社会保障・人口問題研究所の推計による2015年を基点とした25年後の減少率です。

 

行政区

賃料下落

人口減少率

1

東京都 青梅市

66,700円 (-33.3%)

-24.1%

2

東京都 羽村市

71,400円 (-28.6%)

-14.3%

3

埼玉県 熊谷市

71,900円 (-28.1%)

-19.6%

4

神奈川県 秦野市

74,300円 (-25.7%)

-11.9%

5

埼玉県 入間市

74,300円 (-25.6%)

-15.4%

6

神奈川県 伊勢原市

75,900円 (-24.1%)

-13.9%

7

神奈川県 厚木市

76,100円 (-23.9%)

-13.3%

8

千葉県 我孫子市

76,300円 (-23.7%)

-21.4%

9

埼玉県 久喜市

76,500円 (-23.5%)

-20.4%

10

千葉県 千葉市若葉区

76,500円 (-23.5%)

-17.9%

賃料下落率No.11 - No.20

 同様に賃料下落率の上位11位から20位までをまとめます。

 

行政区

賃料下落

人口減少率

11

埼玉県 さいたま市中央区

77,800円 (-22.2%)

NA

12

東京都 稲城市

78,000円 (-22.0%)

+4.4%

13

神奈川県 小田原市

78,300円 (-21.7%)

-18.8%

14

千葉県 千葉市中央区

78,500円 (-21.5%)

0%

15

千葉県 千葉市稲毛区

78,800円 (-21.2%)

-7.8%

16

神奈川県 南足柄市

78,900円 (-21.1%)

-19.5%

17

埼玉県 狭山市

79,000円 (-21.0%)

-20.6%

18

神奈川県 平塚市

79,200円 (-20.8%)

-13.4%

19

神奈川県 横浜市磯子区

79,300円 (-20.7%)

-16.3%

20

東京都 多摩市

79,300円 (-20.7%)

-13.9%


 今回、不動産のビックデータを使った賃料下落の推計を行いました。その結果は人口推計のマクロデータともおおむね整合的な結果を示しています。
 上にあげたエリアでも、運営の工夫や物件の差別化で順調な賃貸経営は可能でしょう。重要なのはエリアの特性を知っておくことです。
 そのためには不動産のデータ分析が欠かせません。

 

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