世界各国の不動産投資状況

世界各国の不動産投資状況

ニュージーランドの住宅

 不動産投資は日本にいながら、世界中で行なうことができるようになっています。そこで重要になるのがグローバルな不動産投資環境がどのようになっているのか、情報を仕入れておくことです。今回は世界で不動産取引が活発になっている国をご紹介しましょう。

◆ インド

 これからの世界でもっともパワーを強大化していくと考えられる国の1つであるのが「インド」です。インドは現在世界第10位の経済大国ですが、1人あたりのGDPは世界第141位と低く、これからの成長が非常に期待されます。現在の人口は13億人以上と世界第2位ですが、近い将来にはインドの人口が中国を抜いて世界第1位になると予測されています。また、中国の経済成長は失速気味ですが、インドはまだまだ成長率が高く、世界最大のマーケットになる可能性が高いのです。
グローバルな不動産投資環境を見たときに、インドの不動産取引は非常に活発になっていることが分かります。インドの不動産投資環境が活発化しているのは、いくつかの理由があります。その一つは富裕層の増加です。インドでは人口が増え続けていますが、経済成長に伴って富裕層の人口も増大しているのです。もう一つに政府の後押しがあります。インド政府は2013年から2018年までの5カ年計画で、インフラ投資を100兆円規模で行なっています。富裕層の増加とインフラの整備の効果によって、不動産の取引量が増大しているのです。
 インドで特に不動産価格が上昇しているエリアは5大都市のある州です。例えば観光地としても有名なムンバイ。ムンバイは地価が高騰していることから割安感は少ないですが、ムンバイのあるマハラシュトラ州の一部では、不動産取引が活発になっています。ムンバイから州内のその他のエリアへ、不動産需要がシフトしてきているわけです。
 インドの不動産市場は活況ですが、安易な考えは禁物です。インドは先進国ではないため、国民の法律・ルールへの意識が低い、またそもそも法整備が進んでいないことがあり、管理が難しい面もあるからです。例えば土地を購入しても、管理の目が行き届いていなければゴミの山になることがあります。物件を購入してそれを貸し出しても、そのまま出て行かなくなるというケースもあるからです。ある日本人投資家の保有する物件は、20年以上にわたって、使用人が勝手に住み続けているそうです。そのようなケースが多発するため、インドでの不動産取引は特に戦略的に行なう必要があるでしょう。

◆ イスラエル

 日本では海外への不動産投資と言えばアジアの投資を指すことが多いです。しかし欧米の投資家からすれば、グローバルな不動産投資環境を見たときに、魅力を持つ国としてイスラエルがあります。アメリカのセレブなどはイスラエルの不動産を購入していることも多いのです。
 なぜイスラエルの不動産投資環境がいいのでしょうか。イスラエルはIT産業を中心として経済成長しており、2010年〜2015年の経済成長率の平均は約3.6%と先進国に比べて高いです。またゆるやかなインフレ率をキープしていることも、投資環境としては優れているでしょう。さらに魅力なのは人口の増加率です。少子高齢化に喘ぐ他の先進国と異なり、イスラエルには子どもがあふれています。これからのさらなる経済成長が期待できるのです。
 イスラエルの不動産投資の特徴としては、高級な物件への投資が多いこと、キャピタルゲイン目当ての投資が多いことが上げられます。イスラエルでは欧米の富裕層が高級な物件を購入して、それを貸し出すという投資が多いようです。また、不動産価格は上昇傾向にあるため、キャピタルゲイン目当ての投資が多いのです。

◆ ラオス

 日本でも東南アジアへの不動産投資は活発ですが、現在特に注目されているのはラオスです。ラオスは東南アジア最後のフロンティアと言われています。地理的には、東南アジアのインドシナ半島において中国、タイ、ミャンマー、ベトナム、カンボジアと陸路で接しています。また水力発電ダムによる電力供給の要でもあります。
 ラオスは人口約660万人、GDPは約100億米ドルと小さいのですが、GDP成長率は8.0%と非常に高いです。小国ではありますが、商業面での地理的なメリット、労働力の安価さ、地下資源が豊富であることなどから、今後の成長が高く期待されています。
 ラオスの首都ビエンチャンでは都市開発から地価が毎年急上昇しています。しかしラオスは社会主義国であるため土地はすべて国有で、個人で所有および売買できるのは、ラオス国籍の保有者に限られていました。しかし首都ビエンチャンでは、はじめて外国人投資家でも購入できるマンションが建設されました。
 ラオスで販売されている物件はどのようなものでしょうか。ラオスでは、例えば家族で住むことができる平屋ならば、1万円以下で借りることができるものもあります。これは一般的なラオス人の住む物件です。しかしこれに対して、3階建ての広い家になると、賃料は毎月23万円とかなり高くなります。このような物件は商業の活発な地域に建てられ、1階部分は店舗として使うことができます。その他にも、外国人のビジネスマンや大使館職員を対象として売り出されている伝統的かつモダンな建築もあります。これは賃料が30万円を超える高額な物件です。
 外国人に一般的に所有されているのは、月の賃料が2万5000円程度のものです。日本なら地方の一人暮らし用の物件でかろうじてある値段ですが、ラオスの場合はこの値段で日本の3倍以上の広さの物件を取得することができます。今後土地の私有や海外からの投資の規制の緩和が行なわれれば、非常に魅力的なマーケットとなるでしょう。

◆ ニュージーランド

 欧米やアジア以外へのグローバルな投資環境を見ると、ニュージーランドの不動産取引も活発になっています。ニュージーランドへの不動産投資の魅力の1つは、税金の安さです。日本と異なり不動産取得税や印紙税がなく、また登録免許税、譲渡税、贈与税、相続税などもかかりません。外国人投資家が投資する場合の規制も小さいです。日本に投資するよりも大幅に税金負担を小さくすることができるでしょう。
 気候の面でも魅力があります。ニュージーランドは日本と異なり湿度が高くありません。そのため住宅の耐久性が高く、不動産評価額が日本のようには下がりません。不動産を長期保有していても、手放すときにそれほど大きな値下がりは避けることができる可能性があるわけです。
 ニュージーランドで不動産取引が活発な都市は、人口の多くの部分が集中している経済都市である「オークランド」です。商業の中心であるため不動産需要は安定しています。投資目的ではなく、物件を購入してそのままニュージーランドに住む外国人も多くいます。ある日本人の方は、たまたま仕事で訪れたニュージーランドの土地柄に魅せされ、不動産業界にいた夫と共にニュージーランドに移住しました。この方はその経験を活かして、そのままニュージーランドで不動産会社を経営して外国人の不動産投資家に不動産を紹介する仕事をしています。とても住みやすい国ですので、投資目的ではなくそのまま移住する、という選択肢もあります。
 ニュージーランドの物件の特徴は戸建てタイプが多いことです。都市の中心にはコンドミニアムもありますが、中心から離れると戸建てばかりです。また気候や災害の少なさから、修繕しながら長く住むという伝統があります。築100年を超える物件も珍しくありません。日本では築古物件は物件価値が大きく下がることが多いのですが、ニュージーランドでは築古でも価値をそれほど失わずに取引されています。これはニュージーランドの不動産の大きな特徴であり、大きな魅力でもあります。

 今回ご紹介した以外にも、グローバルな不動産投資環境を見ると、活発な地域はたくさんあります。人気な国以外にも視野を広げて投資を考えてみるのもいいでしょう。ただし、海外不動産は日本の不動産以上に情報の非対称性が強いですから、投資にあたっては慎重な判断が大事です。

 

不動産投資カテゴリの最新記事