被害頻発!東南アジアでの不動産投資でだまされないために

被害頻発!東南アジアでの不動産投資でだまされないために

不動産
(写真=Thinkstock/Getty Images)

海外不動産投資は東南アジアがブーム

 不動産投資家の間では、ずいぶん認知が広まってきた海外不動産投資だが、ネットで検索すると多くの失敗談が出てくる。

 海外不動産の投資自体は決して悪いものではないが、日本人投資家をだますブローカーや専門知識のないブローカーが横行しているがために、残念ながら損をする可能性もあるのが現状だ。

アメリカの不動産投資はすでに一般的だが、最近盛り上がっているのが新興国である東南アジアの不動産投資だ。23年前まではマレーシアが人気だったが、近年はフィリピンにブームが移行してきている。

 そもそも東南アジアでは、外国人投資家が土地の所有権を持てる国はマレーシアぐらいしかない。コンドミニアムは所有可としている国はマレーシアのほかにシンガポール、フィリピン、タイ、カンボジア。シンガポールはもとより、マレーシア、タイの不動産価格も最近は高騰しすぎてしまい、投資価値がなくなってしまったので、英語で契約ができるフィリピンに多くのブローカーが着目し、ブームを仕掛けているのだろう。

東南アジアの不動産投資は「プレビルド」方式

 東南アジアの不動産投資は実物の不動産の取引とはかけ離れた形態である。「プレビルド」(PRE-BUILD)といい、建てる前のプロジェクト資金への拠出、つまり未完成物件の建築協力金のような販売方式が一般的だ。

 わかりやすく説明すると

1部屋の価格

  • プロジェクト企画段階 500万円
  • モデルルーム設置段階 700万円
  • 建築着工段階     900万円
  • 竣工段階       1,000万円

と段階ごとに販売されている。

 多くのブローカーは①で投資すれば④で価格が2倍になるというような説明をして投資を募る。しかし注意しなければならないのはこれが市場の相場と一切関係のない価格設定だということだ。あくまでもデベロッパーがその時集めたいプロジェクト資金を部屋数で割っているだけであり、たとえば①で購入しても③で売却できるかといえば当然できない。なぜなら買う人を紹介してもらえないから。なぜデベロッパーが紹介しないのかといえば、一銭も入ってこないからだ。

 デベロッパーの立場であれば、仮に③の段階で900万円出して買いたいという人がいれば、①で買って売り抜けたいという人に紹介するよりは、まだ買い手の付いてない部屋を紹介してプロジェクト資金を確保しようとなるわけだ。

 最終的に④のタイミングで売却できればいいのだが、東南アジアの不動産プロジェクトは高級物件ばかりで、現地の人には手が出せない価格帯になっている。外国人の長期滞在者や富裕層など、非常に限定された相手に売るしか選択肢がないのが現状だ。

巧みな営業トークに注意。冷静な判断を

 海外不動産ブローカーの営業トークには必ず人口増加がうたわれている。今後どんどん人口が増えて行くエリアだから不動産需要は安泰というわけだ。

 仮に需要が安泰であっても、価格も安泰であるとは限らない。日本やアメリカの過去の不動産データを分析してもわかるように、不動産価格と人口はまったく相関がない。

 「新興国は経済成長するので、それに伴い物価や不動産価格が上昇する」という話もよく耳にする。しかし、実際は経済成長の影響が価格に反映されるまでに建物自体がもたないのだ。日本に比べて建築技術が著しく遅れているため、10年経てばガタがきてボロボロになってしまうのが現実なのである。私の知人はシンガポールのハイグレードなコンドミニアムに住んでいたが、築10年なのに天井が落ちてきたという。多くの物件で修繕積立金を設定していないので、メンテナンスがされていないのだ。

 また「60年前に銀座や赤坂の一等地を買っていれば今ごろ大金持ちですよね。東南アジアでは可能です。」と言うブローカーも多くいる。

 こんな誘い文句にも注意だ。

 60年前の銀座や赤坂の水準で今の東南アジアの不動産が買えるのか?ご存知の通り、今は世界中で不動産バブルである。東南アジアの多くの国ではすでに、日本の埼玉や千葉など、東京近郊の物件価格と同レベルになってきている。確かに経済成長する前の物価水準で不動産が買えれば投資価値はあるのだが、現状はもうそのレベルを超越している。経済成長率よりも不動産価格の方が上がりすぎているのだ。

 たとえばフィリピンでは、
 この15年で不動産価格は約2.4倍になっている。一方で賃金所得はというと同期間で1.4倍にしかなっていない。明らかに不動産価格が上がりすぎているのだ。

 日本の不動産投資に慣れている投資家であっても、海外不動産となると途端に論理的な判断ができなくなる場合があるので注意しなければならない。

不動産投資1

不動産投資2

不動産免許を持たないブローカーは信用しない

 海外の不動産ブローカーはこうしたファクトをまったく説明しない。パンフレットを見せ経済市場が伸びていくイメージを植え付け、「なかなか現地に来ることができないでしょう」と投資家を煽るのである。

 多くの不動産ブローカーの手口は、ツアーを組み、まずその国の銀座のような一等地に案内する。当然高すぎるので投資家がひるんだところで、日本でいう川崎のような地域に連れて行って、こちらの方が安いですよ、とプッシュする。銀座と川崎を比べても意味がなく、川崎なら川崎のなかで相場比較をしなければならない。その地域の需給バランスや賃料水準を見なければ判断できないはずだ。ところがブローカーはそれを説明しない。土地勘のない投資家にはそのロジックがまかりとおってしまう。

 こうして海外投資ブローカーはデベロッパーからのキャッシュバックが多い物件に客を誘導し、手数料を稼いでいるのだ。

 海外の不動産投資でだまされないための自衛策は、不動産のプロでない人間を取引の間に挟まないこと。不動産免許を持っていないブローカーは、手数料狙いの可能性が高い。

 アジア圏の不動産投資は、以上のリスクを踏まえて、多くの失敗談から学び、慎重に冷静に検討することが重要だ。

 

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