土地には4つの価格があるのをご存じでしょうか?公的機関が発表する土地の価格には4種類あります。今回は土地の価格の種類と特徴についてみていきましょう。
公示地価
まずは、公示地価。1月1日時点の価格で、国土交通省の土地鑑定委員会が調査し、毎年3月に公示されます。全国23,380カ所(平成27年)を調査した、最も基本となる更地(土地のみ)の価格で、一般的な土地取引や公共事業用地を取得する際の基準となります。
今年3月18日に発表された平成27年1月1日時点の公示地価は、三大都市圏では住宅地・商業地ともに2年連続の上昇。東京圏では住宅地は前年比0.5%、商業地は2.0%の上昇でした。
東京圏では住宅地の上昇率は昨年よりも縮小しましたが、商業地では拡大しています。東京23区内でみると、住宅地では17区、商業地では18区で昨年よりも上昇率が拡大しています。最も上昇率が大きかったのは中央区(住宅地+6.4%、商業地+7.2%)、次いで千代田区(住宅地+6.3%、商業地+5.7%)です。開発の盛んな都心部では、まだまだ上昇の勢いは止まらないようです。
一方、地方圏では住宅地-1.1%、商業地-1.4%と、住宅地・商業地ともに価格の下落が続いています。都市と地方の土地価格の二極化は、ますます顕著となっています。
基準地価
7月1日時点の土地の価格のことで、都道府県が調査し、毎年9月下旬に発表されます。調査地点は公示地価よりも少なく全国21,740カ所(平成26年)。調査地点には共通地点もあるものの、公示地価は都市部の比重が高いのに対し、基準地価は地方の調査地点が多いといった違いもあります。
評価方法や使用目的は公示地価とほぼ同じで、互いに補完関係にあり、半年ごとの地価動向をみる指標となっています。
相続税評価額(相続税路線価)
路線価には相続税路線価と固定資産税路線価の2種類がありますが、通常「路線価」というと国税庁が発表する相続税評価額(相続税路線価)のことをいいます。
路線価は路線(道路)に価格が付され、そこに面する宅地を評価していきます。毎年1月1日時点の路線価を7月に発表し、価格は公示地価の8割程度です。
路線価は、相続税や贈与税を計算する際に適用されます。自用地の場合は「路線価×面積」、借地権の場合は「自用地価格×借地権割合」で、おおよその評価額を計算することができます。ただし、土地の形状などによりさまざまな補正が必要なため、正確な評価額を知りたい場合は、専門家に相談した方がよいでしょう。
国税庁ホームページの「財産評価基準書」では、全国の路線価を過去7年分見ることができます。
路線価が設定されていない土地は、「倍率方式」といって、固定資産税評価額に規定の倍率を掛けて評価額を算出します。
固定資産税評価額(固定資産税路線価)
固定資産税や不動産取得税など、土地を取得・所有するときに掛かる税金を計算するための評価額です。1月1日時点の価格が3月に決定されます。市区町村が公示地価の7割を基準とし、3年に1度価格を見直します。
自分が所有する不動産の固定資産税評価額を知りたい場合は、毎年送られてくる固定資産税・都市計画税納税通知書の価格または評価額の欄で確認できます。
実際の取引価格は「不動産取引価格情報検索」でチェック
以上、4つの土地の価格をみてきました。公示地価や基準地価は土地取引の基準となる価格ではありますが、実際の取引価格とは異なるケースも少なくありません。特に開発が盛んで、売買が活発に行われる都心部などでは、実際の取引価格が公示地価を上回る傾向があります。
実際の取引価格を知りたい場合は、国土交通省ホームページの「不動産取引価格情報検索」が参考になります。これは、実際に不動産を購入した人へのアンケート調査200万件分を集計したもので、四半期ごとに情報を更新。エリアごとに土地のみ、土地と建物、中古マンションなどの具体的な取引価格を見ることができます。
また、全国指定流通機構連絡協議会が運営・管理する「レインズ・マーケット・インフォメーション」(REINS Market Information)でも、成約価格を基にした不動産取引情報を公開しています。
(ファイナンシャル・プランナー、CFP®、FP技能士1級 工藤清美)