NISAとの組み合わせで「REIT」を最大限に生かす

NISAとの組み合わせで「REIT」を最大限に生かす

NISA
(写真=Thinkstock/Getty Images)

20代、30代の若い世代の利用頻度も高いNISA

 2014年、世間を賑わせた少額投資非課税制度(NISA)は、投資家の間でどのように利用されているのか?

 NISAの実態については、野村アセットマネジメントが定期的に行っている「NISAに関する意識調査」が参考になるだろう。4万人というまとまった母数を対象としているため信頼性が高く、2014年度は2月、6月、10月の計3回、調査を実施していることからNISAに対する投資家の動態も掴みやすい。

 同調査によると、201410月時点の「NISA口座の開設者」は調査対象者4万人の21%。この4ヶ月前の6月調査での口座開設者は20%であり、1%しか伸びていない。このことから、「NISAに興味を持つ層」の大半が、2014年前半に口座を開設していたことがわかる。

 では、NISA口座を持っている投資家の利用傾向はどのようなものだろうか? 

 同調査(201410月)で「NISA口座で投資をしている」と答えたのは61%となっている。NISAの口座開設には住民票の写し、税務署審査も受ける手間を考えればこの数字は低いとも捉えられるだろう。 

 世代別でみると「毎月一定額を積み立てている割合」は、20代が19%、30代が20%で、60代の10%の約2倍となっている。一方で金融庁の調査によるとNISAの買付額は50歳以上が79.9%を占めていることから、お金に余裕のある50代以上がNISAを積極的に利用しているといえるだろう。

 NISAを通しての投資対象は、株式(58%)と投資信託(36%)の割合が高く、上場投資信託(ETF)と上場不動産投資信託(J-REIT)はそれぞれ数%となっている。

NISAにとって「REITは格好のターゲット」

 同調査を表面的に見ると、NISAの投資家はJ-REITへの投資に消極的に見えるが、2014年に不動産投信情報ポータル「JAPAN REIT」が行った投資家アンケートでは、49%の人が「NISAREIT投資したい(している)」と答えている。

 投資分野の専門家でも、「NISAREITは相性が良い。組み合わせて投資すべき」と提言する人は多い。

 例えば、個人投資家向けの株価情報NAVI『兜町カタリスト』編集長・櫻井英明氏は著作の中で「年間100万円まで最大5年間の非課税制度」というNISAの特性を踏まえ「REITは格好のターゲット」と述べている。

 その理由として挙げているのが、(1)利益の90%以上を配当に回す高配当、(2)不動産の購入を増やして利回りを高めるというREITの成長性、(3)キャッシュ、株式、不動産に分けて資産を保有する「資産三分法」の原則の3点である。

 (1)の高配当については、REITは株式や国債に比べて利回りが高いというのが一般的な見解である。これは、賃料収入から諸経費を差し引いた利益の90%を分配に回すと「法人税が免除される」ためだ。この枠組みがあるため、高配当になりやすい。

 (2)については、J-REIT時価総額は2015年段階で「約10兆円規模」にまで成長しており、新規上場が続いていることから、成長は持続するという見方が強い。

 (3)の資産三分法については、手持ちの資金を性質別に3つに分類し投資するというもので、一般的に「キャッシュ」「株式」「不動産」に分けられる。その中の一番なじみのない不動産に投資をすることで、より不確実性のリスクを分散させられるということである。

税制改正によって解消されるデメリットもあり

 別の専門家の意見も見てみよう。

 野村證券の能見哲理氏は、J-REITの総合情報サイト『J-REIT.jp』内のコラムにおいて、「購入したい商品がJ-REITの投資口なのか、それとも、J-REITを運用対象としている投資信託かをよく考えてNISA口座を開設する金融機関を選ぶ必要がある」と前置きした上で、「複数のJ-REITに分散投資されている投資信託は投資初心者向き」と解説している。

 櫻井氏、能見氏以外でも、「REITNISAの相性の良さ」に言及する専門家は多いが、NISAにもデメリットはある。よく挙げられるのが「損が発生した場合に損益通算(利益と損失の相殺)や損益繰り越し(損失の先送り)ができない」、「1口座しかつくれない」というものである。後者に関して、税制改正によって「金融機関を1年ごとに変更可」となった。しかし、A証券会社でしか扱っていない投信AB証券会社でしか扱っていない投信Bは同時にNISAで買うことはできないため、問題解決に至ったとはいえない。

 ご存じのように、NISAは日本では2014年初頭に始まったばかりの新しい制度である。そのため、継続的な税制改正によって内容が変更していく可能性が高い。今後の改正項目としては、「年間投資限度額100万円の引き上げ」「ジュニアNISAの創設」などが取り上げられている。

 また、REIT市場も新たな投資法人が加わるなど流動的である。この2つを組み合わせて資産運用していくには、変化を常にとらえる感度が欠かせない。

 そうはいっても、「5年という中長期単位で利用メリットのあるNISA」、「成長性と安定性の高いREIT」の相性が良いのは間違いない。メリット、デメリットを知った上で、自分の投資スタイルに合っているかを見極め、利用を検討するのが望ましいだろう。

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