住宅型J-REITはどこに投資しているか

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 J-REITは収益不動産に投資して賃貸運営を行い、そこから得られる収益を投資家に還元します。収益不動産への投資がREITの主な役割ですから、REITは「プロの大家さん」といってもいいでしょう。

 2014年11月現在、一般的なマンションに投資しているJ-REITは20銘柄、物件数はおよそ1,200件あります。アベノミクスの追い風を受けたJ-REITの投資額は、用途を共同住宅(マンション)に限ってみても、2011年は年間で約1,700億円、2012年には約1,400億円におよび、さらに2013年には2,300億円に増加しています。この勢いは2014年に入っても続いており、J-REITの物件取得意欲はなお衰えをみせていません。

 ただしJ-REITによる物件取得地域は、東京と地方でかなり違いがあるようです。そこで最近のJ-REITによる住宅(マンション)投資動向について調べてみました。「プロの大家さん」であるJ-REITの動向を分析することは、ご自身の投資にもきっと役立つはずです。

利回りが低い東京に集中投資

 J-REITの投資動向を都道府県別に見てみましょう。現在、J-REITは19の都道府県に住宅を保有しています。そのうち東京都の割合がもっとも高く、物件数で全体の63%、評価額で全体の74%を占めています。物件数と評価額でシェアが10%も違う理由は、東京の物件が地方の物件よりも1件当たりの金額が高いからです。

 金額ベースでみれば、J-REITが投資している住宅の実に4分の3が東京に集中していることがわかります。

 東京の物件は地方よりも価格が高いので、利回りは低くなりがちです。下の図はJ-REITが保有している約1,200物件について都道府県別にNOI利回り〈NOI(不動産の純営業収益)÷物件価格(取得価格)〉を集計したものです。これを見ると東京のNOI利回りはかなり低いことがよくわかります。

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 地域によってはNOI利回りが7%を超えるのに対し、東京の物件のNOI利回りは5%程度しかありません。これだけで判断すれば、不動産投資は東京より地方のほうが有利のようにみえます。しかし、上の図に物件の評価額を重ねると、興味深い結果が見えてきます。まずは下の図をご覧ください。

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 この図からわかるのは、J-REITは、NOI利回りの低い東京に多く投資していること、そしてNOI利回りと投資額との間には逆の関係があることです。ではなぜJ-REITは、利回りの高い地方ではなく、利回りの低い東京に集中投資するのでしょうか?

東京中心の理由は将来を見越しているから

 投資が東京に集中しているのは、J-REITが目先のNOI利回りではなく、長期保有した時のトータルな収益性の高さを重視しているからです。日本は少子高齢化で地方の衰退が懸念されています。空室や賃料の低下などのリスクを予想し、長期にわたる投資の採算性を考えれば、地方の物件が長期的、安定的に高いNOI利回りが獲得できるかどうかは不安です。

 一方、都会のように不動産を必要とする人が多ければ、空室や賃料低下のリスクは相対的に低くなります。人口密度が高い地域では不動産物件は貴重ですから、需要は強く、賃料も値崩れしにくくなります。つまり人口密度の高い地域の不動産は、相対的にはリスクが小さいと考えていいでしょう。
下の図は都道府県別にNOI利回りと人口密度の関係を見たものです。人口密度の高い地域ほど、NOI利回りが低い傾向にあります。

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 人口動態の点からも、東京には強みがあります。下の図は国勢調査による人口増減率とNOI利回りの関係をみたものです。人口増加率が高い地域ほどNOI利回りは低く、人口が減少しているところではNOI利回りが高い傾向にあります。
 
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 東京は人口の密度が高く、人口の流入も続いています。もともと不動産物件の需要が強い東京に、さらに人が集まって来るので、長期にわたる投資のリスクとリターンを考えれば東京へ不動産投資が集中するのは自然といえるでしょう。

 プロの大家さんであるJ-REITは、東京に重点投資しています。それは目先のNOI利回りはなく、長期にわたる投資のリスクとリターンを考慮してのことです。不動産投資には、このように長期的な視点が欠かせないのです。

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2015年1月19日 5:48 PM カテゴリー: REIT

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