REIT特有の重要な指標は
またREITには不動産取引件数以外に重視しなければならない指標がある。それは金利の値動きだ。金利の動きを反映しているものとして、国債10年物最長期利回りがある。分配金利回りと国債10年物最長期利回りとの差であるイールドスプレッドは3%程度が理想だ。2015年3月時点ではJ-REIT分配金利回りは3.105%で、国債10年物最長期利回りは0.4%のため、イールドスプレッドが2.705%となり3%を割り込んでいる。しかし、国債10年物最長期利回りは2015年1月の0.275%を最低値として、徐々に上がり始めていることから注意が必要だ。分配金利回りも2014年12月の3.019%を最低値として徐々に上がり始めている。
賃料が上がらない中で分配金利回りが上昇してしまうと、REITの価格は下落し始める。賃料収入から経費を引いたNOIが一定であれば、REITの価格は「REITの価格=NOI÷分配金利回り」の関係で決定されるからだ。そのため、金利が上昇すると分配金利回りが上昇し、REIT価格が下落する。REITにとっても、国債10年物最長期利回りは重要な先行指標なのだ。国債10年物最長期利回りが上昇し始めた今こそ売りのタイミングと言えそうだ。
2つの先行指標に注目
REITの価格の先行指標は金利と不動産取引件数だ。金利に最も敏感に反応すると言える不動産取引件数についても注目しておきたい。REITの買いのタイミングと売りのタイミングは、取引件数の増加と金利の低下が現れ始めたら買いで、取引件数の減少と金利が上がり始めたら売りのタイミングだろう。取引件数や金利は比較的ゆっくり動くため分かりやすい。この2つの先行指標に着目しながら、売買のタイミングを図ってみるのが良いだろう。
