2015年の税制改正に先立ち、その対策を検討している人は少なくないだろう。方法の1つとして注目を浴びているのが“タワーマンション”。土地部分の評価額算出方法、時価や公示価格などと相続税評価額の差額が大きいことが節税につながるといわれている。さらにタワーマンションの高層階に住みたいという需要は高いため、空室リスクが小さいのも特徴だ。
タワーマンションが合理的な住居な理由
「タワーマンション」という言葉からイメージされるものは何だろうか?「高層階の眺望や景色」と答える人も少なからずいるだろう。しかし、その魅力は眺望や景色だけではない。
例えば、防犯。タワーマンションは住戸数が多いのでエントランスにコンシェルジュが常駐していたり、警備員が巡回していたり、24時間有人管理をしている物件も少なくないのだ。また、防災面も充実している。巨大建造物として通常よりも厳しい耐震基準をクリアしていることのほか、免震や制震の技術を取り込んでいる場合もある。所有者にも居住者にもいろいろメリットがあることがわかるだろう。
高層階ほど減額割合がアップ
そして、タワーマンションの高層階が節税に適している理由は、マンションの土地部分の「評価額算出方法」にある。
土地をめいっぱい有効活用して建てた戸数が多いタワーマンションでは、土地の評価額が時価の約5割と算定されることもある。見逃せないのは、購入するなら高層階ほど節税に有利という特質である。タワーマンションでは高い階ほど分譲価格が高くなるが、部屋の条件が全く同じなら、低い階(例えば1階)の物件も、高い階(例えば50階)の物件も相続税評価額は変わらないためだ。この前提を考慮するなら、タワーマンションの高層階は生前贈与を行う際にも魅力的といえる。
都内タワーマンションの参考モデル
さらに詳しく、タワーマンションの節税効果を見ていこう。相続税は、相続財産に相続税率を掛けて割り出すのが基本だ。この時、財産を算出するのに用いられる相続税評価額は、実際に売買される時の時価や、国土交通省が算定する公示価格よりも格段に安くなる。土地面積や路線価などにもよるが、都心では時価1億円台のマンションの相続税評価額が数千万円になることも少なくない 。つまり、相続においては、マンションは実際の価値より低く見積もられることが多いため、節税効果が生まれやすいのだ。
ちなみに賃貸用敷地の場合には200㎡までの部分について50%の減額が可能。1棟アパートや戸建ての場合は地積割合がないので、そのまま評価の対象となる。全部所有か区分所有かの差がここで大きく出ることになるわけだ。
タワーマンション節税の注意点とまとめ
このようにタワーマンション投資をすることで、大きな節税効果を得ることができる。
また、物件を選ぶ際には、購入時の金額より値下がりしにくい「立地条件の良い」物件を選ぶことが重要だ。周辺環境や経済状態の変化によっては、中古物件なら値上がりすることもありうる。
その一方で、不動産投資は、長期運用によって利回りを得たり、節税効果をもたらしたりするのが基本であり、短期的な購入・売却で運用益や節税効果をもたらすのには不向きである。節税目的のみで購入し、相続後に即売却すれば、税務調査で否認されるリスクもある。それだけに、あくまでも長期的な運用・相続対策として、マンションを利用するのが賢明であろう。