月額10万円で、200㎡で庭付き、24時間警備付き 賃貸マンション国際比較

月額10万円で、200㎡で庭付き、24時間警備付き 賃貸マンション国際比較

モダンなアパートメントのハウス、グダニスク,ポーランド(写真=iStock/モダンなアパートメントのハウス、グダニスク,ポーランド)

国によって不動産価格、平均収入、物価などは大きく異なります。東京のように高いお金を出しても小さなアパートにしか住めないエリアもあれば、月10万円で豪華な一戸建てを借りることができる国もあります。今回は月額10万円で住むことができる賃貸マンションについて、国際比較してみましょう。

東京(日本)

日本の東京といえば、バブル時には東京の土地代だけでアメリカが買えるとまで言われたものでした。現在では世界一高いというわけではありませんが、それでもやはり世界的に見ても、住むのに非常にお金のかかる都市です。その東京の中でも人気の街はやはり賃貸マンションの賃料も高くなります。たとえば中野ならば、家賃約10万円の物件で、30㎡程度のものを借りることができます。部屋は1DKか1Kくらいで一人暮らしか夫婦二人で暮らすにはちょうどいいくらいの広さです。ただ子どもができると少し狭くなる、そのくらいの物件です。しかし中野はまだいい方で、より人気の街や都心になれば、月10万円でもワンルームしか借りることができない、というケースもあります。

それではこれは基準にしてみて、世界各国の都市の家賃10万円程度で借りることができる物件を探してみましょう。

ロンドン・ニューキャッスル(イギリス)

イギリスは世界的に見て非常に家賃相場が高い都市になっています。たとえば主要鉄道ターミナルの近くにあるアパートでは、4畳=7.3㎡程度の部屋の家賃が月12万円という金額になっています。もちろんワンルームでキッチンのすぐ隣に寝室があるという状態になります。これは少し極端な例ですが、ロンドンでは家賃10万円では、かなり小さめのワンルームしか借りることはできません。

イギリスでも北東イングランド、ニューキャッスルと比べるとどうでしょうか。地方都市であるニューキャッスルは観光地として訪れる方も多く、大学があるため学生が多く住んでいます。ニューキャッスルはロンドンと比べると大幅に家賃が安く、10万円程度ならば、駅近の家具付きで、2LDK、40㎡程度の物件を借りることができます。ロンドンで小さなアパートに住むお金で、こちらでは家族で暮らすことができます。

オタワ(カナダ)

オタワはカナダの首都ですので、当然家賃も他のエリアに比べればずっと高いです。しかしカナダは全体として家賃は他国よりも安いですので、日本やイギリスよりもずっといい条件で借りることができます。家賃10万円ならば、3LDKや2LDKで40平方メートルから60㎡の部屋を借りることができます。東京ではあり得ない価格ですが、日本でも地方都市ならばあり得る値段です。物件によっては地下室や物置もついている場合があります。オタワは学生の多い都市ですので、このような大きな部屋を数人で借りてルームシェアして住む学生が多いようです。これだけの広さがあれば、3人や4人家族でも充分に暮らすことができます。

オタワはいろいろな価格帯の住宅があるため、駅の近くや中核エリア付近ならばもっと狭くはなりますが、それでも他の国の首都に比べればずっと広いです。ただし、バンクーバーやトロントはオタワよりも物価も家賃も高いため、家賃の平均価格はずっと高くなります。

フィレンツェ(イタリア)

イタリアのフィレンツェはどうでしょうか。イギリスと同じヨーロッパでも、家賃は大きく異なります。家賃10万円で40㎡から60㎡以上の物件を借りることができます。もちろん立地や状態によって大きく変わりますが、それでも日本やイギリスのような家賃の高い国の首都に比べればずっと安いことが分かります。ただし、フィレンツェはカビや水漏れが発生しやすい物件が多いため、借りるときには注意する必要があるようです。また歴史ある建築物が多いというのも特徴です。日本のように地震や台風のような大きな災害は少ないですし、空気も日本のように湿っていないため、建築物が長く持つのです。日本では築浅であるほど家賃も高くなりますが、イタリアでは築年数はあまり気にされず、契約書にも記載されていないことが多いのです。

ストックホルム(スウェーデン)

税率が高い代わりに社会福祉が非常に充実していることで有名な北欧、スウェーデンですが、その首都ストックホルムでは、家賃10万円は高価格帯の物件になります。中心地の駅近で、100㎡で4LDKという物件で住むことができます。ただし、これには条件があります。

それは、この賃貸住宅に住むためにはかなりの順番待ちをしなければならないということです。なぜか。それは、スウェーデンには持ち家を持つことを推進する制度があるため、賃貸住宅そのものがほとんど市場に出回っていないためです。賃貸住宅は公共のものしかなく、仲介機関に登録料を支払って10年以上も待たなければなりません。基本的にスウェーデン人は家族ができると郊外に中古の一軒家を持ち、持ち家に住むのが一般的で、賃貸に住む人はほとんどいません。持ち家を持つことができない人が、子どもが生まれるとすぐに登録して順番待ちするという状況のようです。

メキシコ

ここまで北米と欧州を見てきましたが、中米はどうでしょうか。メキシコはここまで紹介した先進国に比べると物価も家賃もずっと低い国です。そのため家賃を10万円も支払えば、かなりの生活をすることができます。たとえば中心から少し離れたエリアならば、200㎡で庭付き、24時間警備付きの家に住むことができます。

ただし、メキシコシティの中心部では事情が異なります。現在メキシコシティでは賃貸住宅の需要が間に合っておらず、1部屋タイプのアパートはかなり少なく、値上がりしている状況にあるようです。ビジネスなどで訪れる外国人が多く住むエリアでは、10万円の家賃で2部屋タイプのマンションが多く供給されています。先進国よりはいい暮らしができることには間違いありませんが、日本のように不動産業者が競い合って高いサービスを供給しているということもありません。そのため賃貸の看板を見つけたら自分で電話をかけ、いくらで借りることができるか交渉するという作業をひたすら繰り返して、自分の住みたい家を見つける必要があります。非常に手間がかかるのです。

中国

不動産バブルがはじけて不動産価格・賃貸マンションの家賃も下がり始めている中国ですが、実際のところどのくらいの家賃で住むことができるのでしょうか。現在中国では不動産市場が反転して下げ基調になっています。そのため、家賃10万円ならば普通の居住エリアの住宅ならばハイレベルの高級マンションに住むことができます。たとえば3LDK、4LDKで50㎡から100㎡以上のマンションに住むことはできるでしょう。ただし、中国は都市部と地方で家賃も物価も大きく異なりますし、都市によっても大きく変わります。たとえば上海や香港のような都市では、100㎡以上の物件に住もうと思えば10万円では住めません。さらに、新築であったりジム付き、警備員付きといったプラスアルファの要素のある高級マンションになれば、一気に高くなって数十万円〜100万円と跳ね上がります。そのような物件になると日本と同じか、日本以上の価格帯になることを覚悟しなければなりません。

 

今回は、世界各国の賃貸マンションに10万円の家賃で、どのような家に住むことができるのかという点からご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。これらはあくまで一例に過ぎませんが、大体のイメージはついたかと思います。日本の家賃は高いと思われがちですが、世界にはもっと高くなっている、高くなりつつある都市も多いこともわかりました。

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