新築マンションに割高感、中古マンション市場に注目が集まる

新築マンションに割高感、中古マンション市場に注目が集まる

Block of apartments (写真=iStock/Block of apartments)

 価格の高騰に注目される新築マンション市場ですが、最近は供給数が減少してきています。一方で中古マンションは堅調な動きを示しており、需要は底堅いものがあります。なぜ中古マンションに注目が集まっているのでしょうか。今回は、中古マンション市場の今後について解説します。

新築マンションの売れ行きが伸び悩む

 不動産経済研究所のリサーチによると、最近は新築マンションの売れ行きが伸び悩んでいるようです。2016年の首都圏の新築マンションの発売数は、2693戸と2015年3月と比較すると39.6%減少しています。4ヶ月連続の減少です。契約数は67.6%と、これも2015年の3月と比較して12ポイント下落しています。2016年2月と比較しても5.3ポイント下落です。反して1戸あたりの価格は5638万円と、10ヶ月連続で上昇しています。

 もう少し長い目で見てみましょう。2015年度の首都圏のマンション市況を見てみると、供給が3万8139戸と、2014年度の4万4529個から14.4%減少、5年ぶりの4万戸割れになってしまいました。特に23区では17.5%も供給が減少しています。反して1戸あたりの価格は5617万円と4年連続の上昇となっています。これらの調査から、首都圏の新築マンション供給の減少傾向と一戸あたり価格の上昇が長期的な傾向となっていることがわかります。

 販売価格が上昇しているのは、人員不足、資材コストの上昇から建築コストが上昇したこと、また首都圏では地価が上昇していることが理由としてあげられるでしょう。そして、販売価格が上昇したことから新築マンションを購入することが以前より難しくなったため、消費者の購買意欲が下がり、そのことが新築マンション供給の減少につながっています。つまり、新築マンションは「割高感」から伸び悩んでいるということです。

中古マンションは堅調

 鈍化する新築マンション市況に対して、中古マンションは堅調です。東日本レインズ(東日本不動産流通機構)のリサーチでは、2016年に入ってからの中古マンション市況は、堅調であることが分かります。首都圏では1月〜3月の成約件数が前年比で3.4%増加しており、4期連続で2015年の同月を上回りました。

 もう少し長い目で見てみましょう。2015年度の首都圏の中古マンションの成約件数は、3万5100件と2014年度から5.5%増加し、特に東京23区では前年度比で7.6%増加しています。2年ぶりに前年度を上回りました。成約価格も2932万円と2014年度から5.1%上昇していますが、これは全国的な傾向です。さらに新規登録件数も18万4760件と、2014年度から13.5%も増加しており、2年連続で前年度を上回りました。

 中古マンション市場が活況になっている理由の1つは、新築マンション価格の高騰です。マンションへの需要自体は継続してあるものの、新築マンションの価格が高騰しているために、新築を購入できない人たちが中古マンション市場へ流れ、堅調な需要が維持されているのです。また消費者心理の変化も影響しています。これまでに日本人は世界でもまれに見るほどの新築信仰を持っていると言われていました。しかし近年は、自分で中古物件を購入してリノベーションして住むという人も増えてきており、従来に比べると中古マンションに対する心理的な障壁は少なくなってきているようです。

しかし最近は中古も成約件数が伸び悩む

 中古マンション市場は堅調ではありますが、2016年3月期のみに注目すると、やや気になる点もあります。3月は成約件数が3580件と、2015年3月と比べて3.7%減少しました。これまで上昇続きだったのですが、6ヶ月ぶりに前年同月を下回る形になりました。反して価格は上昇し、成約価格は39ヶ月連続で前年同月を上回っています。このように、中古マンション市場はこれまでとは少し違う動きを見せています。しかし、これは一時的な動きかもしれず、新築マンション市場に比べれば引き続き中古マンション市場の堅調さは続くのではないでしょうか。

なぜ中古マンションが人気になっているのか?

 なぜ新築マンションは供給数が減少しているにも関わらず、中古マンションは堅調なのでしょうか。もちろん、大きな要素として不動産市場の動きがあります。新築マンションの価格が材料費上昇、人員不足などから高騰し、また外国人投資家などが多く購入するようになったことから、物件価格が大きく上昇してしまったことがあります。しかし、それだけではありません。

 長期的な傾向として、新築信仰の減退もあることを紹介しました。これも1つの要因です。また、中古物件の魅力として、物件を内覧してから決めることができる点もあります。物件を内覧して自分でリノベーション、リフォームのイメージを固めてから購入できるのも魅力です。最近ではDIYを趣味とする方で、時間をかけて自分で中古マンションをリフォームしながら住むという方も珍しくありません。雑誌やテレビなど多くのメディアでセルフリノベーションが紹介されたことから、消費者のリノベーション、リフォームへの関心が高まっているのです。

 中古マンションを購入するために、信頼できる不動産会社を探したり、周辺の相場を調べたりと、購入するまでに自分でやらなければならない作業が多くあることから、それよりも購入しやすい新築をと考える人が多かったです。しかし、これからは中古マンションの情報開示も進むため、これからは、自分の手で探して、自分の手でカスタマイズしながら住むという方がより増加していくかもしれません。

 消費者の需要も多様化している現在、中古マンション市場の堅調さは、長期的なトレンドになる可能性があります。

≫ 参考記事:不動産取引を人工知能がサポート 新サービス「Gate.」

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