相続税対策は資産の組替とプライベートカンパニー設立が鍵

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

 2015年より相続税の強化や所得税率の引き上げがスタートし、個人富裕層に対する課税が強化されつつある。一方で、法人税率は下げていく方向にあり、個人には厳しく、法人には優しくなっているのが今の流れだ。そこで、今回は私的な法人(プライベートカンパニー)を利用し相続税対策を行う方法を紹介する。

プライベートカンパニーを土地建物所有者に

 今紹介するのは、従来の不動産管理会社を使った節税ではなく、プライベートカンパニーそのものに土地建物の資産を持たせ、その株式を被相続人から相続人へ贈与するという方式だ。例えば被相続人が100%出資しているプライベートカンパニーでは相続人が株を相続して代表者が変更した場合、その株が相続税の対象になってしまう。そのため親が会社経営者の場合、個人の金融資産や不動産以外に保有している株価も相続税の対象に加わってくる。そこで今回はこの株式評価に着目して相続税対策を見ていく。

プライベートカンパニーの株価の評価方法

 通常、プライベートカンパニーは上場することはないので、取引相場は存在しない。取引相場のない株式は原則として、原則的評価方式(詳細は後述)により評価される。さらに原則的評価方式は、該当する株式を発行する会社の規模に応じ、大会社と中会社、小会社に区分され評価方法が定められている。プライベートカンパニーが注目したいのは、小会社の区分だ。

 小会社とは、資本金1億円以下かつ負債総額200億円未満の株式会社だ。小会社は原則として、純資産価額方式により株式が評価される。この方式は、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に計算しなおす。、純資産は、評価した総資産の価額から負債と法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法である。つまり、法人の資産を個人の相続資産のように相続税評価ができるるのだ。

 法人には、借方に資産、貸方に負債と資本が並び、「負債+資本=資産」のバランスを保っているバランスシートというものが存在する。。もしそのバランスが崩れて「資産<負債」の関係になっていれば債務超過に陥っており、資本がマイナスとなるため純資産価額方式の場合、株価がゼロと判断される。

収益物件の相続税評価額を法人に適用した場合は?

 例えばプライベートカンパニーを設立して、借入金1億を使い時価で土地7千万円、建物1.3億円、計2億円の収益物件を保有したとする。資本金は小会社の上限である1億円とする。購入時点では、会社のバランスシートは借方に資産が2億円で、貸方に負債1億円と資本金1億円が並ぶ。そこで、小会社は資産額を相続税の評価に洗い替えを行うため、上述の土地建物の相続税評価額はいくらになるだろうか。

 土地については、7千万円が路線価評価により約20%減額され、さらに貸家建付地評価で約20%減額の4.5千万円程度。建物は、1.3億円が建物の固定資産税評価額により約40%減額、加えて借家権割合で30%減額と、5.5千万円程度になる。すると、資産の評価額は土地4.5千万円と建物5.5千万円で1億円だ。純資産価額方式では資産額を相続税の評価に洗い替えするため、バランスシート上は資産が1億円で負債額も1億円のため相殺されて、資本金はゼロ円。つまり株式をゼロ評価にできるため、大変有効な節税対策といえる。

法人は経費面でもメリットがある

 このゼロ評価の株式を被相続人から贈与すれば暦年贈与の上限枠110万円以下のために一気に資産を相続人へ移転させることもできる。現実的には借入金の資金調達や資本金の用意、個人から法人へ売却した場合の所得税、法人設立時の費用等の費用がかかるため、キャッシュリッチな個人でないと難しいテクニックかもしれない。もし現に不動産管理会社を持っていれば、まずは簿価が低くなっている建物から購入し、その後、土地を購入して徐々に資産をプライベートカンパニーへ移転していくのも一つの手段だ。法人は不動産の個人事業よりも交際費等の経費の面で使える範囲も広い。法人への緩和傾向が続く中、プライベートカンパニーを使った節税方法も検討してみると良いだろう。

 

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2015年3月24日 2:54 PM カテゴリー: 不動産投資

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