私は以前勤めていた不動産会社で、会社のために賃貸用の区分マンションや1棟アパートを購入し、その管理も行っていたHと申します。
管理の対象になる物件は、私の前任者が購入した物件もあれば、私が購入した物件もあり、最大で50室保有しておりました。
会社が閉鎖されるときに、保有物件は全て売却しました。
その時のお話を全4回に渡って紹介させていただきます。
サラリーマンが、社外で自分の資金と責任で大家業を行う、サラリーマン大家さんのお話はよくお聞きのことと思います。
今回はそうではなく、サラリーマンが、社内で、会社の資金を使い、大家業を行うお話です。
「雇われ大家さん」とでもいうべきでしょうか。
第2話 東京雇われ大家物語 ~狭山市・世田谷区編~ (全4話)
第3話 東京雇われ大家物語 ~初めての大家業・川崎編~ (全4話)
【一部屋目】
築年 | 1991年 |
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交通 | 東西線・大江戸線門前仲町駅徒歩7分 |
部屋階 | 6階 |
居室面積 | 18.56㎡ |
2002年780万円で購入、2007年1180万円で売却。
(まず、念のために申し上げますが、今この時期に、上記の条件でこの物件を購入するのは不可能でございます。どなたもこの価格では手放さないでしょう)
この物件の売主は個人の女性で、転居にともなうご売却でした。
ご自身は新築時に4000万円近くの金額で現金購入されたそうです。
複数の地元業者から賃料相場をお聞きし、家賃月7.5万円は堅いと判断しました。
購入後、大手賃貸仲介会社の地元店の方に、見てもらい、月7.5万円ならお客がつくであろうといわれ、その賃料額に同意しました。
その日は、現場から自宅に帰り、翌日出社すると、昨日の大手賃貸仲介会社から賃借の申込書のFAXが届いておりました。
入居待ちのお客がいたそうです。
嬉しく思う反面、「ひょっとすると、月7.8万円でも貸せたのかな」などと考えてしまいました。
欲張り過ぎはいけませんね(笑)
借主は大手企業に勤めの20代女性で、1年後、転勤にともない、退去されました。
退去後、半月ほどで決まった次のお客様は、研究機関に勤める20代女性でした。
家賃は月7.5万円でした。4年後、転勤にともない、退去されました。
この5年間、特にトラブルはありませんでした。
2回程度賃料の振込が遅れたことがありましたが、お電話でお振込みをお願いしたら翌日にはお支払い下さいました。
因みに、支払期限後に家賃のお振込みをお願いする際は、「申し訳ありません、お客様からのお家賃のお振込みが、確認できておりません」と申し上げておりました。
あってはならないことですが、万一、お客様からのお振込みに当方が気づいてなかった場合でも上記のような話し方であれば、お客様のご気分を害することが少ないでしょう。
お支払いの遅延が、度重なれば当方の言動も異なったとは思いますが、幸いそのようなことはありませんでした。
2度目の退去後、会社で売上と利益が必要でしたので、この物件を売却することにしました。
保有中は「このマンションを買いたいお客がいる」という葉書や手紙を度々いただきましたので需要があると考えました。
約2か月後、この物件は1180万円で売れました。
購入者は若い会社員の男性で、ご自分でお住まいになるために購入されました。
純賃料で購入額の半額を回収でき、購入額より400万円高く売れましたので良い投資だったと思います。
正直な話、自分で買えばよかったと思いました。
【二部屋目】
築年 | 1992年 |
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交通 | JR中央線立川徒歩7分 |
部屋階 | 2階 |
居室面積 | 20.62㎡ |
2004年665万円で購入、2008年665万円で売却。
売主は若い男性の個人投資家さんで、空室となったので売りに出したそうです。
リフォーム後に引き渡して下さいました。
この物件を購入したお話を顧問税理士にお話したら、あまりにもお褒め下さるので、先生のお住まいをお聞きしたら、立川との事でした。大変な地元愛ですね。
駅前に大きな看板を出している地場の業者さんがあり、後で調べたらホームページも充実していたので、その会社に賃貸の客付を依頼しました。
1か月ほどで地元の男性の大学生が借りて下さいました。
家賃は月6.2万円でした。
このお客様は3年後にご卒業のため退去されました。
驚くべきことに、次のお客様は退去の翌々日に入居されました。
前回と同じ仲介会社がお客様をご紹介下さいました。
空室が発生した場合、リフォームをしてから次のお客様を募集がしますので、通常ご入居に早くとも半月か1か月はかかりますので、本件は大変に早いご入居でした。
このお客様は、同じマンションの他の空室の部屋で検討しておられましたが、その部屋の大家さんは、お客様の希望入居日よりも1か月以上早くからの入居と家賃の支払いを求めたため、入居希望日直前に部屋が空く私どものお部屋に、ご入居下さる事となりました。
お客様は、若い美容師の女性で、お家賃は前回と同じく月6.2万円でした。
翌年、会社閉鎖にともなう保有物件売却の命令がなされたため、賃借人のおられるままで売却いたしました。(こうした形態での売却をオーナーチェンジと申します)
売却額は665万円で、購入者は、投資家の方でした。
こうした物件を取引する際には、不動産業者専用の情報網で売買の成約事例を調べることや賃貸の仲介会社に賃料相場の聞き込みを行うなどのことをしておりました。
不動産業者ではない方は、専用情報網をご利用できないので、購入のご判断にはお困りになるかもしれません。
ただ、最近は便利な賃貸用不動産価格判定ツールがございます。
そういったツールを使うことでより良い不動産投資ができるでしょう。
第2話 東京雇われ大家物語 ~狭山市・世田谷区編~ (全4話)
第3話 東京雇われ大家物語 ~初めての大家業・川崎編~ (全4話)