第3話 東京雇われ大家物語 ~初めての大家業・川崎編~ (全4話)

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私は以前勤めていた不動産会社で、会社のために賃貸用の区分マンションや1棟アパートを購入し、その管理も行っていたHと申します。
サラリーマンが、自分の資金と責任で大家業を行うのではなく、会社の資金で、大家業を行うお話です。
「雇われ大家さん」とでもいうべきでしょうか。

前回に引き続き、その時のお話を紹介させていただきます。

第1話 東京雇われ大家物語 ~江東区・立川市編~(全4話)
第2話 東京雇われ大家物語 ~狭山市・世田谷区編~ (全4話)

【五部屋目】

物件詳細
築年数 1990年竣工
交通 東海道線川崎駅徒歩6分
部屋階 11階部分8室
居室面積 居住面積約17~21㎡

1990年約2億円で購入、2004年数千万円で売却。平均家賃6.6万円でした。

このマンションは、会社が女性社員の社宅にするために購入したもので、入居者は私の同期の女子社員達でした。

購入したのはいいものの、社員の転勤・退職にともない、空室が生じたため、私が客付を行うことになりました。
これが私の初めての大家業、「雇われ大家さん物語」の始まりです。

いくつかの空室の管理期間中、女子社員の退去が相次ぎ、最後は全ての入居者が外部の方となりました。
そして、会計上の理由で購入から10数年後、この物件を一括で売却致しました。

(大家業の始まり)

ある日、会社の人事管理職から、私共に下記のことを言われました。
「川崎のマンションは、女子社員3名が転勤により退出します。その後、借りる人はおりませんので、入居者をお探し下さい」

ここから、私の「雇われ大家さん」の稼業が始まります。
幸い懇意のリフォーム会社から地場の不動産会社の紹介を得られ、その不動産会社の社長から、地場の賃料相場についてデータを示した上で丁寧な説明を受けました。
この会社の社長の知識・経験の豊富さと誠実さを感じ、この会社に客付(入居者探し)をお願いすることにしました。
賃料は相場の月6.5-6.9万円で募集してもらい、1か月弱で3室ともお客様が決まりました。

この会社には、この物件が売却となるまでの約10年間、仕事をお願いしました。
客付で空室が1か月を超えることはまず無く、今思うと驚きです。

(滞納)

初めてのお客様の中のお一人が、家賃を滞納なさいました。
お近くの病院の事務職の方で、月給が13万円、お家賃は6.9万円でした。
月給の増加を期待して、やや無理をしてお部屋を借りたようですが、月給は変わらず、家賃の支払いは難しかったようです。

滞納家賃3か月の免除を条件に退出していただきました。

この物件の最初で最後の滞納でした。「払える家賃は月給の3分の1まで」、というのが一般的な目安ですので、貸してはいけなかったと反省しています。

(「女子限定」に、あまり意味はない?)

この物件は、もともとは女子社員の社宅であったため、客付してもらう外部の入居者も女性に限定しておりました。

「同じフロアには女性しかいない事」をアピールする狙いもありました。
しかし、ある見込み客の方は「エレベータに同乗した他のフロアの男性の印象が良くない」という理由で、この物件には入居されませんでした。
そして、エレベータが無く、大家が同じ建物に住んでいる木造のアパートを選ばれたそうです。

「女性限定フロア」は自己満足に過ぎなかったのかもしれません。
ですが、退去されたお客様の中には「このフロアは女性しかいないので安心して暮らせました」と言われる方もおられたそうです。
もし、お役に立てたのであれば、嬉しい限りです。

Criminal with black gloves picking lock

(ピッキング)

「鍵は壊されていないが、明らかに人が入った形跡がある」とのご指摘が、お客様からありました。

鍵を壊さずに部屋へ侵入するピッキングという行為は、今でこそ誰もがご存じのことですが、1990年代の当時はあまり知られておらず、私も話を聞いた時は、何が起こっているのかを理解できませんでした。

結局、防犯性の高いスイス製の鍵を、まずピッキングのあった部屋に取り付け、最終的に全室に取り付けました。
その後、ピッキングの報告はありませんでしたが、防犯にはしっかり意識を向けなければならないと気付かされました。

(入居者管理)

区分マンションを購入し、大家となりますと、入居者管理(家賃督促、クレーム対応等)を自ら行うか、それとも、不動産会社等に依頼するかを選択する必要があります。

入居者管理のための管理費は、家賃の5%程度です。例えば、月にいただけるお家賃が6万円であれば、管理費は3000円程度を支払うことになります。

私は入居者管理をどなたにもお願いせず、自ら行ないました。
入居者管理を他社に依頼するという発想が、当時の私にはなかったからです。

結果論でいえば、大きな問題はありませんでした。
なぜならば、多くの大家さんが危惧する、入居者からのクレームは、賃貸借契約の仲介をしてくれた不動産会社を経由して連絡がくるのが通常で、大家さんに直接連絡されることは、少ないからです。

入居者にしてみれば、部屋にトラブルがあった際、顔も知らない大家さんに連絡するよりも、部屋を世話してくれた仲介会社に相談をしたくなるのが、人情というものでしょう。

結局、8部屋を10年近く運営したにもかかわらず、クレーム対応の記憶が、ほとんどありませんでした。

思い返すと、ありがたいことだと感じました。

第1話 東京雇われ大家物語 ~江東区・立川市編~(全4話)
第2話 東京雇われ大家物語 ~狭山市・世田谷区編~ (全4話)

賢い不動産投資を始めよう

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2017年5月26日 3:25 PM カテゴリー: 事例・実践

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