価値を維持できる物件と価値が下がる物件の違いは?

価値を維持できる物件と価値が下がる物件の違いは?

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価値を維持できる物件と価値が下がる物件の違いは?

 J-REITは流動性が非常に高いのが特徴です。そのため短期的な投資にも対応できます。ただし、流動性が高い裏返しとして、値動きは激しくなります。これに対して実物不動産は、流動性は劣りますが、値動きは比較的穏やかなので長期的な投資に向いています。

 実物不動産投資で重要なのは、長期的に保有した時に物件の価値を維持できるかどうかでしょう。自動車では、大切に乗った人気の高い車の中古価格は値崩れしにくく、程度の良くない不人気車は大きく値が下がります。経年である程度は値段が下がるのは普通ですが、値段の下がり方には個別差が大きいのです。

 投資用マンションでも同じことがいえます。個別性が著しいのです。

J-REITが保有する優良物件でも差が出る

 投資用マンションでも大切に管理され人気の高いエリアにある物件は値崩れしにくく、管理が放置され人気のないエリアの物件は値崩れしやすくなります。

 J-REITが保有している物件は、入念な事前調査のもとに物件に投資していますので、それほどの不人気エリアの物件はありません。またJ-REITの運営会社がしっかりと物件の管理を行っているので、基本的には優良物件が多いと考えていいでしょう。

 ただ、適切に管理がなされていて、いいエリアにある物件でも、よくよく見ると個別物件の差が出てきます。下の図はJ-REITの代表的な住宅リートである日本アコモデーションファンドが保有している物件のうち、不動産評価額が下がった物件と維持できた物件を、それぞれ5物件ずつ抽出して指数化したものです。

価値を維持できる物件と価値が下がる物件の違いは?1

 個別物件の不動産鑑定評価額の指数を見ると、2008年8月の決算を境に、その後に評価額の低下がみられます。評価額の下落が少なかった上位5物件は、リーマンショックの後に一時下落はしたものの、2007年2月に比べ下落幅は10%以内でした。値下がりは軽微にとどまり、評価額が戻るのも早かったことがわかります。

 比較して下落の大きかった5物件の下落率は20%を超え、下落期間も上位5物件に比べて長期化しています。

 評価額の違いを稼働率から見ると鑑定評価額を維持できた物件と、評価額が低迷した物件とでは、何が違ったのでしょうか? 不動産は個別性の強い資産ですから、個別の要因が複雑に関係していると思われますが、差がついた大きな要因のひとつとして、稼働率の違いがあげられます。

価値を維持できる物件と価値が下がる物件の違いは?2

 上の図は稼働率の推移を見たものです。赤い線は鑑定評価額の値崩れが小さかった上位5物件、青色は評価額の下落が大きかった5物件の稼働率です。これをみると両者の間で稼働率の違いがわかります。

 下位5物件は2008年以降、稼働率が著しく低下しています。稼働率の低下とは空室の増加と同じですから、稼働率が低下すると家賃収入も減ります。家賃収入の減った不動産は、投資妙味が薄れることから、物件の価値が下がります。

 下位5物件の稼働率を見ると、2009年8月を底に稼働率は上向きになっていますが、鑑定評価額は2012年まで低下基調をたどりました。稼働率の改善が評価額の改善に結びついていないのは、家賃を下げて新規のテナントを誘致したり、既存のテナントの退去を防ぐために契約更新時に賃料を減額したからでしょう。

稼働率を維持できる物件

 不動産に投資して安定した家賃収入を得るためには、稼働率の維持が欠かせません。稼働率が落ちにくい物件を保有することで、賃料収入も物件の評価額も安定します。J-REITは都内のいいエリアに多くの物件を持っているので、ポートフォリオ効果で全体としては安定した運営が可能です。

 保有物件が少数の個人の投資家であれば、ポートフォリオ効果が期待できませんので、稼働率を維持できる個別物件の選択が極めて重要になることがわかると思います。

 以上述べてきたように、稼働率を維持できる不動産投資物件は、評価額が安定しています。一方で、稼働率が低下しやすい物件は不況時に弱く、オーナーの賃料決定力も低下してしまいます。そのため不動産の物件価値の維持も難しくなります。

 長期的に見て物件の価値を維持できるかどうかは、稼働率を維持できるかどうかにかかっているといえるのです。

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