世界のツーリスト数が右肩上がりなのはなぜか?

世界のツーリスト数が右肩上がりなのはなぜか?

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世界のツーリスト数が右肩上がりなのはなぜか?

 世界を見渡すと、国境を越えた人の行き来が増えています。観光やレジャーをはじめ、ビジネスや国際会議の出席、医療サービスを受けるためなど、様々な理由で人の往来が増えています。以下の図は世界銀行がウェブサイトで公開している世界のツーリスト数の推移 。各国の外国人入国者(International inbound tourists)の人数を集計したものです。

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 この図を見ると、世界中のツーリストの数が右肩上がりであることがわかります。2001年の米国同時多発テロの影響を受けて2003年ごろまで横ばいだった時期も、2008年のリーマンショックに代表される金融危機の時期に落ち込んだこともありましたが、ここ数年の推移ではおおむね世界のツーリストの数は増加し、1995年に5.5億人だったその数は、2011年には10億人を突破しました。

増加の背景にあるものとは

 世界的に旅行者が増えている背景には、経済発展にともなう新興国の中間所得層や富裕層の拡大があります。それまで外国旅行に行く余裕の足りなかった人々が、豊かさを手に入れたことで旅行を楽しむようになったのです。またビジネスのグローバル化の流れの中で、新興国の人々が国際会議に出席するなど、ビジネス上の移動も活発になっています。

 新興国での増加に加えて、先進国ではいわゆる「ベビーブーマー世代」、日本では「団塊の世代」と呼ばれる1940年代後半に生まれた人々が退職期を迎え、多くの人が旅行に時間とお金を使うようになっています。

 下の図は先進国の人口ピラミッドです(国連による2015年の予測値)。濃い色は、先進国の55歳から69歳までの15歳の人口分布です。厚みが大きいことと、その下に続く層も厚いことがわかります。これを見ると、先進国では退職後の余暇を楽しむ層が、現在もこの先も多いことがわかります。

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来日する外国人訪問者の動向は?

 新興国における中間層や富裕層の増加、先進国における退職者層の増加、また世界的な経済成長を背景としたビジネス上の往来の増加を背景に、世界的にツーリストは増加しています。では、日本を訪問する外国人の数はどうなっているでしょうか。

 それを示しているのが下の図です。世界全体のツーリストの数と、日本を訪問したツーリストの数を比較しています。訪日ツーリスト数の伸び率が、世界と比較しても高いことがわかります。

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 2008年の世界的な金融危機の尾を引いた2009年や、東日本大震災のあった2011年は訪日外国人数が減少しました。しかし長期的な推移を見ると、おおむね右肩上がりで推移しています。1995年と2012年を比較したとき、全世界ではツーリスト数が1.96倍に伸びているのに対し、日本は実に2.5倍の伸びを示しています。

 日本を訪れる外国人数をもう少し長い期間で見たのが下の図です。こちらは日本政府観光局(国土交通省)のデータです。訪日外国人数は2013年に初めて1,000万人を突破し、今年2014年は10月までの速報ベースで既に1,100万人を超えました。

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 政府は訪日外国人旅行者を2016年までに2,000万人、2019年までに2,500万人、将来的には3,000万人とすることを目標に掲げています。

受け入れ態勢は?

 政府の目標通りに進めば、訪日外国人数が急増することになります。世界的に旅行者が増える中で、日本へ来る旅行者が増えることは想像に難くありません。このところ円安が進んでいることも、日本を訪問しやすい要因となっています。また、政府は羽田空港の拡張整備をはじめ、2020年の東京オリンピックに向けて、本腰で外国人旅行者の増加をめざしています。

 観光庁の「訪日外国人消費動向調査」(2013年)によると日本を訪れた外国人旅行者の93%が、日本にまた来たいと答えています。93%は「必ず来たい」と「来たい」を合わせた割合で、これに「やや来たい」までを加えると97%となります。なお、「あまり来たくない」「来たくない」「絶対来たくない」という否定的な回答は、わずか0.5%でした。この結果からは日本に来た人は日本にいい印象を持って帰国し、また日本を訪れてくれる可能性が高いことがうかがえます。

 外国人旅行者の増加を目指す政府の後押しと、日本に好印象を持つ外国人が増えることで、今後もますます訪日外国人数は増えていくことでしょう。訪日外国人が増えることで、外国人を受け入れる事業などにビジネスチャンスがありそうです。

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