空き家率が低下している渋谷区
住宅・土地統計調査「借家数の変化」によると、2003年から5年の間に23区全体で約146千戸の賃貸物件が増え、同調査による「空き家の変化」を見ると、空き家数は5年の間で全体的に増加しています。渋谷区においては、借家数が上昇しているのに対して、空き家数が減少しています。つまり供給以上に需要があることがデータからは読み取れます。他の区と比較すると総数が少ない中での傾向ですが、こうしたニーズがあることはマンション経営を行う上でとても好ましいエリアであるといえます。
居住世帯のある借家数の変化
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2003年 |
2008年 |
増減 |
増減率(%) |
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23区 |
1,946,880 |
2,092,880 |
146,000 |
7.5 |
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渋谷区 |
52,070 |
55,950 |
3,880 |
7.5 |
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杉並区 |
132,310 |
151,240 |
18,930 |
14.3 |
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中野区 |
89,680 |
111,500 |
21,820 |
24.3 |
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新宿区 |
82,670 |
99,390 |
16,720 |
20.2 |
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港区 |
42,650 |
61,200 |
18,550 |
43.5 |
空き家となっている賃貸住宅数の変化
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2003年 |
2008年 |
増減 |
増減率(%) |
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23区全体 |
340,130 |
354,660 |
14,530 |
4.3 |
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渋谷区 |
9,980 |
9,620 |
▲ 360 |
▲ 3.6 |
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杉並区 |
21,300 |
22,270 |
970 |
4.6 |
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中野区 |
14,060 |
12,220 |
▲ 1,840 |
▲ 13.1 |
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新宿区 |
18,350 |
17,550 |
▲ 800 |
▲ 4.4 |
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港区 |
8,400 |
9,800 |
1,400 |
16.7 |
出典:総務省「住宅・土地統計調査」より抜粋
エリア別に貸家の住宅着工数を見ると、東京都と23 区の各年の増減は相関していることがグラフから読み取れ、渋谷区の供給傾向も東京都や23 区の増減と似たような動きを見せています。東京都の着工数は2011~2012年で増加傾向を示していますが、2013年で増加傾向が緩やかになっていることから、渋谷区の着工件数も2013年は若干の増加に収まると予測できます。また、この増加傾向は2014年には消費税の増税の影響で一旦落ち着くと考えられ、市場は徐々に中古へシフトしていくと予想されます。
供給が増えて、需要がそれ以上に伸びている渋谷区の需給バランスを見ると、人気物件は希少価値が高くなり、空室や家賃下落リスクは低くなることが期待できます。収益性という点でも魅力的なエリアといえますが、同じ情勢が続くかどうか、変化した場合にどう対応するかが将来の課題といえます。
エリア別 住宅(貸家)着工数の推移
※2013 年の未発表部分は予測値としてグラフに追記しています。 出典:東京都「住宅着工統計」「統計年鑑 建設及び住居」より抜粋
渋谷区の人口推移
出典:住民基本台帳による東京都の世帯と人口より抜粋
[まとめ]
「渋谷」駅周辺は利便性が高いため賃貸ニーズは高いものの物件数が少ないため、価格は賃貸・売買ともに高いエリアです。また、築年数が比較的浅い売買のマーケットを除き、古くなっても賃料・価格が下がりにくいエリアです。
ターミナル駅として肩をならべる「新宿」や「池袋」「東京」と比べて「渋谷」が大きく異なる点は、渋谷には「ファッション・文化の街」という特長があること。そのため周辺エリアにも原宿・代官山・恵比寿・表参道といった知名度が高く魅力的な街が発展し続けています。大型商業施設の少なかった北口駅前が、駅前再開発によって2012年春に「渋谷ヒカリエ」(地上34階、地下4階)が完成し、現在も新南口の再開発が進行中です。今後施設利用者(消費者・従業者)が増えることから、さらなる発展と、需要の伸びが期待できます。
<ポイント>
・若者が集う「ファッション・文化の街」
・人気路線の多い交通利便性の高さ
・駅前再開発による周辺エリアの活性化


