不動産アービトラージとそれを活用した投資方法

 
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(写真=Thinkstock/Getty Images)

不動産アービトラージとは

 最近、「不動産アービトラージ」という言葉がにわかに注目されはじめている。アービトラージとは金融用語で裁定取引のことを指す。つまり、市場で生ずる金利差や価格差を利用して利ザヤを獲得する取引をいい、割安な方を買って、割高な方を売ることにより、理論上限られたリスクで収益を確定させることができるものである。日本では株式市場において日経平均から日経平均先物の理論価格を算出し、実際の価格と理論価格の差に着目して利ザヤを稼ぐアービトラージ取引がよく行われている。このように理論上発生する価格差を不動産に応用して取引をするのが不動産アービトラージである。

 不動産の場合は、1つの不動産に対して異なる利用方法により理論上の価格差が発生する。不動産アービトラージは、基本的には1つの不動産の異なる利用方法により生じる差額を利用して利ザヤを稼ぐ。例えば不動産には用途の多様性というものがあり、1つの不動産に対しても、「自分で使う場合」や「人に貸す場合」という使い方がある。不動産の理論上の価格というと馴染みがないが、不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に基づき付けている価格がそれである。

 不動産鑑定評価の中では上述の「自分で使う場合」の不動産価格を、コストに着目した積算価格や類似の取引事例をベースに算出された比準価格というもので求めている。一方で「人に貸す場合」の価格は投資利回りに着目した収益価格というもので求める。ここで現行の不動産鑑定評価基準の中には、「市場における土地の取引価格の上昇が著しいときは、その価格と収益価格との乖離が増大するものであるので、先走りがちな取引価格に対する有力な験証手段として、この手法が活用されるべきである。」と書かれている。これは何を意味するかというと、ほとんどの場合収益価格は比準価格よりも値段が安いですよということである。

 収益価格が安いことには様々な理由がある。1つには借家人が居付きのため、利用制限が生じているための減価や、投資家の要求利回りとして少なくとも5~6%は欲しいとなれば物件価格が低くないとそもそも買わないなどの理由がある。そのため収益物件は購入者が利回りを重視して購入するが、一方で、自分で使う物件であれば利回りは関係なく、気に入れば高くても購入するという性質を持つことになる。そこに利ザヤが生じる。

アービトラージを活用した投資術

 ではここで、収益価格で購入できて、比準価格で売却できる不動産とはどのようなものがあるだろうか。最も典型的なのが、ファミリータイプの区分の収益マンションである。まずそれを収益物件として収益価格で購入する。ファミリーの賃貸は入居者の平均回転期間が4年程度なので、購入後4~5年運用した後に、入居者が勝手に退去していく。当然、自発的な退去を待つため立退料も発生しない。そこで今度は「自分で住む」人たちに向けて中古分譲マンションとして売却するのである。この時の売却価格は比準価格であるため、収益価格より理論的には高い。通常、収益物件の場合、テナントが退去すると焦ってしまうが、アービトラージ取引の場合、テナント退去時こそビジネスチャンスなのである。

 このビジネスモデルを事業として行っているのが港区虎ノ門に本社を構えるスター・マイカ株式会社だ。ジャスダック市場にも上場しており順調に業績を伸ばしている。この会社ではファミリータイプの中古収益マンションを購入し、入居者退去後にリフォームしてエンドへ売却している。従来、不動産会社は景気の波を利用してキャピタルゲインを得ていたが、アービトラージ取引では景気の波に左右されずに一定の利益を確保しやすいのである。

まだまだ他にもある不動産アービトラージ

 その他にも一棟の高級賃貸マンションで、入居者が退去した部屋から分譲して売却するというビジネスモデルもまさにアービトラージの一種だ。月極駐車場を時間貸しにしたり、通常のオフィスをスモールオフィスにしたり、時間や空間を細かく分けることで賃料単価を上げるのもアービトラージの一種と言える。人口減少社会の中で、利用方法を変えることで価値を上げることができるアービトラージには、今後も注目が集まるであろう。

 

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2015年3月6日 9:42 AM カテゴリー: 不動産投資

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