新築マンション・新築戸建業界の“ゆでガエルの法則”

マンション
(写真=Thinkstock/Getty Images)

新築マンション・新築戸建の過剰供給

 本コラムを読んでおられる方々であれば、ゆでガエルの法則をご存じだと思います。熱湯にカエルを入れるとすぐ飛び出して逃げる一方、水から徐々に温度を上げていくと、カエルは水温の上昇を知覚できずに逃げどきを失い、結果ゆでガエルとなってしまうというものです。状況が悪化していることに対して抜本的な対策を見出せず、ジリ貧に陥ってしまうことの比喩として持ち出される寓話です。現実的には、温度が上がればカエルは逃げるようですが、ビジネス書などにはわかりやすい例えとしてよく引用されています。

 さて、カエルですら逃げ出したくなる状況を作り出しているのが今の日本の新築マンション・新築戸建業界です。

 現在の日本の住宅マーケットを見ると、物件数は約6,000万戸の一方で世帯数は約5,200万世帯であり、約800万戸の空き家がある状態と言われています。800万という数字はおよそ東京23区の人口規模と同じ数です。日本の不動産は東京23区の人口分丸々あまっている状況なのです。

 一方で新築マンション・新築戸建業界はそうした状況のなかでも物件を作り続けています。2013年には全国で99万戸、2014年も91万戸と年間100万戸近い物件を市場に供給し続けています。

ゆでガエルにもなれない新築戸建業界

 ゆでガエルは外部が温度を上げていますが、ゆでガエル状態を自ら作り出しているのが新築業者ですから厄介です。800万戸あまっている市場にこれまでのように毎年100万戸ずつ物件を供給すれば、当然マーケットが崩壊することになるでしょう。そうした状況は不動産業界のこれまでの歴史を見れば明らかです。不動産業界は住宅ブームを仕掛けて大量に供給しては、ブームの終焉にともなって過剰在庫を作り出しバタバタと倒産していくことを繰り返してきました。現在も過剰供給、過剰在庫の傾向が表れてきています。

 昨年末、13県で新築戸建が大幅値下げで売り出されているという記事をお読みになった方もいると思いますが、不動産情報サイト「SUUMO(スーモ)」に1,000万円台の価格で売り出されている新築戸建は、13県でなんと2,775件となっています(20152月時点)。最寄り駅から徒歩15分以内に絞って検索をかけてみても、958件がヒットします。複数業者が同一物件を登録するダブルカウントなどを考慮したとしても、すごい数の激安新築戸建物件が市場に出ていることが見て取れます。

 供給業者であるパワービルダーの経営努力によってコストダウンが徹底されているという側面も確かにあるとは思いますが、ここまで相場が下がるということは、すでに価格でしかお客様を引っ張ってこられない状況になっていることを意味しています。在庫を嫌う業者が3,000万円台の物件を1,000万円の値引きを行って2,000万円台で販売した、などというのは不動産業界ではこれまで何度も繰り返されてきた住宅ブームの末期の現象です。郊外の戸建はもはや価格競争のチキンレースに突入しているのです。

 住宅購入者からすれば、安く手に入ると喜んでも良い状況のように思われますが、最終的に損をするのは住宅購入者自身です。なぜなら新築戸建の相場価格低下は、中古戸建の一層の相場低下につながるからです。パワービルダーが作れば作るほど、住宅購入者の不動産資産の価値は相対的に目減りしていく、悪循環となるのです。

コスト増に苦しむ新築マンション業者の中古市場流入

 新築マンションは、戸建とは異なり一般的に工期が長く、戸建のパワービルダーほどスケールメリットが効く業界ではないため、建材コストの上昇による悪影響をより受けやすい状況になっています。1棟のマンションを作るのに1年半から2年ほどかかるため、市場が大きく動いているマーケットでは、相場自体が上がるのを待ってから販売するなどの手法もよく使われています。東日本大震災の復興と東京オリンピック開催に向けた準備によって建材コストや人件費が高騰している現状では、新築物件を売ろうとしても採算割れしてしまい、売るに売れないという話が昨年から随所でささやかれるようになってきています。戸建の相場が崩れている一方で、割高すぎる新築マンションは場所が良くてもなかなか売れないのです。うがった見方をすれば今話題の「相続対策にタワーマンション購入」などというのは割高で売れない新築マンション業者の苦肉の策とも言えるでしょう。

 現在新築物件を購入している人の中には中国や台湾の方が多く見られます。円安の勢いに乗って外国籍の方に支えられているのが新築マンション業界の現状です。新築マンション業者が新築物件を売ることができないため、まだ相場が崩れていない中古物件の販売を始めた会社もかなり増えています。そのため、これから中古物件の相場価格が一段押し上げられることが予想されます。

 今のマーケットは不動産業界と言っても、ひとくくりで語ることができないということです。不動産投資という観点で見れば、場所をきちんと押さえていくことが重要です。過剰供給の状況のなかでは、住宅と言えども市場価値のある場所に投資をするという目線が必要です。

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2015年4月8日 12:00 PM カテゴリー: 不動産投資

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