過疎地の空き家問題を解決!小さくても光るマッチングビジネス

 

空室
(写真=Thinkstock/Getty Images)

財政支援だけでは解決できない空き家問題

 国内の空き家は合計で820万戸。総住宅数に占める空き家率は13.5%。

 総務省が発表した「平成25年住宅・土地統計調査結果」において、空き家数、空き家率ともに過去最高に達したことを記憶している方も多いだろう。5年前に行われた平成20年の同調査と比べて、空き家数は63万戸増、総住宅数に占める空き家率は0.4%増となった。

 空き家が増えることで懸念されているのは、倒壊や火災などのリスク、治安の悪化、地域住民の連携がなくなることによる孤独死の増加などだ。この空き家問題を解消するため、平成26年に国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」を成立させ、空き家対策を行う自治体に財政支援する方針を打ち出した。

 この方針が打ち出される前から各地域の取り組みも進んでおり、平成264月段階で、全国355の自治体が空き家対策を行っている(これは全自治体の約6分の1にあたる)。

 このように、国や地方が積極的に空き家対策を進めているにも関わらず、解決の糸口は見えない。例えば、Uターン・Iターン希望者に空き家を貸し出すといった発想では、仕事が少ない過疎地では、労働世代の希望者がいても受け皿を用意できない。

 リタイア世代を対象とした場合でも、過疎地では交通や病院などの公共サービスの縮小が懸念されており、移住に慎重になる傾向が強まるだろう。

 財政支援だけでは空き家問題は解決できない。一番求められているのは、従来の枠組みにとらわれない柔軟な発想である。ここでは、過疎地の空き家問題の解決のヒントになる「小さくても光るマッチングビジネス」の2つの試みを紹介したい。

クラウドファンディングを活用した空き家再生費用の調達

 過疎地の古民家を大勢の人でシェアする。

 その古民家再生のための費用をクラウドファンディングで集める。

 こんなまったく新しい発想で空き家活用を提案しているのが、秋田県五城目町(ごじょうめまち)の「シェアビレッジ」プロジェクトだ。秋田県は、高齢化率が全国1位(内閣府「高齢社会白書」平成25年版調べ)。過疎化が急激に進んでおり、地元では「100年後には秋田はなくなる」とさえ言われている。五城目町は、県庁のある秋田市から約30キロメートルの農業と林業が主体の町であり、過疎の最前線と言える。

 このプロジェクトの投資対象者として設定されたのは、「田舎が好きだが、そこに住んだり、頻繁に行き来したりするのは難しい」という都会で働く人々だ。

 「年貢」と呼ばれる年会費3000円を払った会員(会員は「村民」と呼ばれる)は、古民家への滞在・宿泊の権利や、古民家を利用したイベントに参加できる。

 拠点を完全に地方に移すUターンなどと違い、地方とゆるくつながることができるため、気軽に参加できるというのが利点だ。わかりやすく言えば、「稼ぐのは都会、気が向いたら田舎へ」といった仕組みである。

 このプロジェクトには発想そのものの他にも独自の視点がいくつかある。

 具体的には、①SNSによってプロジェクトの認知を広げて、クラウドファンディングによって会員を募る、②会員同士の定期交流イベントを都会で開催(「寄合」と呼ばれる)、③同様のプロジェクトを他エリアに広げてネットワーク化を目指すなどである。

 特に、①については国の財政頼みの自治体にはない発想だ。

 フェイスブック(Facebook)を中心に告知を行い、クラウドファンディングサービスによって会員募集が行われた。スタート直後に目標額の100万円を楽々突破し、締め切り日数を50日近く残した段階で180%超、ハフィントンポスト(201531日版)に取り上げられるなど注目度は高い。地方を拠点にしたビジネスでも、共感を呼ぶセンスさえあれば資金が集められることを証明した例と言えるだろう。

 また、③の「他地域とネットワーク化する」という視点も今後、大きな可能性を感じさせる。

 本格的な人口減少社会という社会背景のなかで、過疎地が逆風を跳ね返すには、これくらい大胆な発想がなければ難しいだろう。このプロジェクトがひとつの町の成功例にとどまらず、各地に広がっていくことを期待したい。

利用者の不安を徹底的に取り除く充実したサービス

 宿泊施設にする。ギャラリー&カフェにする。フレンチレストランにする。セミナーハウスにする。就農体験ハウスにする。

 ひとつのテーマに限定せず、空き家を活用したいと考える事業者の潜在ニーズに合わせて家を改装し、数多くのマッチングを実現してきたのが「一般社団法人 ノオト」だ。

 同法人は兵庫県篠山市が出資し、法人の再編民営化に伴い2009年から一般社団法人として活動している。兵庫県篠山市は、平成13年の約47800人をピークに毎年人口が減り続け、平成26年には約43400人となった。急激に人口減少しているだけに、空き家再生は喫緊の課題である。

 ノオトでは、空き家と事業者をマッチングするために、①ボランティアや寄付の活用を含めた低コストのリフォーム体制を整備する、②改装費用を負担した所有者のリスクを解消するサブリースを導入する、③サブリース期間は借り手と事業パートナーとしてサポートする、などのきめ細やかな施策を実施している。

 これにより、人口4万人台前半の街に、次々とハイセンスな宿泊施設や飲食店が生み出されてきた。

 先に紹介した「シェアビレッジ」プロジェクトと、ノオトのマッチングの共通点は、「単に空き家を提供しただけではマッチングはできない」という現実と徹底的に向き合ったことであろう。両者の成功は、新たな価値観をつくる、あるいは、借り手が必要とするサービスを整備するといったフックさえあれば、「過疎地の空き家を利用したい」という方々(潜在ニーズを含めれば相当数いる)と効率的なマッチングが可能であることを証明している。

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2016年8月30日 7:00 AM カテゴリー: その他不動産関連, 不動産市況, 民泊運営

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