J-REIT市場の過熱感が分かるインプライド・キャップレートとは?

J-REIT
(写真=Thinkstock/Getty Images)

 日銀による金融緩和と不動産投資信託(J-REIT)の買い入れ政策によって、J-REIT市場は活況となっています。一方で市場の過熱感を警戒する声もあり、J-REITへの投資をためらっている方や実物不動産投資への影響を気にする方もいると思います。

 そこで今回は、J-REIT市場の過熱感が分かるインプライド・キャップレートを使って、J-REIT市場を分析します。

インプライド・キャップレートとは?

 不動産の価格を収益還元法で評価するときは、不動産の収益(NOI:ネットオペレーティングインカム)を還元利回りで割って計算します。このときの還元利回りをキャップレートといいます。

投資価値(不動産価格)= 収益(NOI÷ キャップレート 

 逆に、投資価値と収益から、内在している要求利回りを逆算するのが、インプライド・キャップレートです。

インプライド・キャップレート = 投資価値 ÷ 収益(NOI

 このときの投資価値は、一般的にはJ-REITの負債と時価総額を足したものが用いられます。時価総額はJ-REITの株価から計算されますので、インプライド・キャップレートはJ-REIT市場が要求する不動産の利回りととらえることができます。

 インプライド・キャップレートは、J-REITに対する投資判断の指標として使えますし、実物不動産の利回りとの比較としても使うことができます。

J-REIT市場と不動産市場の見方

 J-REIT市場と不動産市場の過熱感を比較するために、2つの利回りを計算しました。ひとつは、インプライド・キャップレートです。J-REIT市場からの要求利回りであり、J-REIT市場の過熱感を見る目安になるものです。

 ふたつ目は、不動産鑑定評価をベースにした利回りです。J-REITの簿価を鑑定評価に置き直して、NOIの利回りを計算しました。鑑定評価のNOI利回りは、不動産市場での鑑定評価をもとにしたキャップレートです。

 代表的なJ-REIT銘柄であり、時価総額が最大の「日本ビルファンド投資法人」で計算しました。その結果は以下の図です。

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 赤線がインプライド・キャップレートです。J-REIT市場が織り込んでいる不動産の要求利回りで、201412月の決算時点では3.3%でした。

 青線は鑑定評価ベースのNOI利回りです。鑑定評価が織り込んでいる不動産の要求利回りで、4.0%でした。

 利回りが低い方が不動産を高値で評価していることを意味します。直近では、不動産を評価する不動産鑑定士よりも、J-REIT市場の投資家の方が不動産に高値を付けているといえます。

 なお、鑑定評価利回りとインプライド・キャップレートの比較では、通常はインプライド・キャップレートの方が低くなります。J-REITは流動性が高いため、J-REITの投資家が流動性に対してプレミアムを支払う(鑑定評価よりも高値でもリートを買う)と考えられるからです。利回りの水準に加えて、ふたつの利回りのギャップがどのくらいあるのかが、見るべきポイントになります。

J-REIT市場はやや過熱気味?

 日本ビルファンドのインプライド・キャップレートを見ると、2006年から2007年のサブプライムローン問題が顕在化する前のレベルに近づいています。サブプライムローン問題からリーマンショックへとつながった過去を考えると、いまのJ-REIT市場の水準を警戒する声があがるのも頷けます。

 しかし、当時は長期金利が1.5%から2.0%程度のレンジで推移し、現在の0.5%以下の水準とでは、1%以上の差がありました。そのためインプライド・キャップレートがさらに低下する(株価がもっと高値になる)余地があるとの見方もあります。

 J-REITへの理想的な投資タイミングとしては、鑑定利回りよりもインプライド・キャップレートが高まる時期です。金融危機などで株式市場が委縮している時期なので、なかなか投資に踏み切る心境になれない時期ですが、そういう時にこそJ-REITへの投資チャンスとなります。

 逆に、インプライド・キャップレートが低下し、鑑定利回りとの差が大きく開いている時期はJ-REITに過熱感がありますので、そういう時期は実物不動産とJ-REITの両方に投資している場合はJ-REITの投資比率を落とすなどの投資戦略を検討してはいかがでしょう。

 鑑定利回りとインプライド・キャップレートの比較は、実物不動産とJ-REITとのアセットアロケーションの判断に役立つでしょう。

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2015年4月23日 12:00 PM カテゴリー: 不動産投資

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