各国の住宅事情、中流家庭でも家にプールがついている国がある。

各国の住宅事情、中流家庭でも家にプールがついている国がある。

building with pool, outdoor (写真=iStock/building with pool, outdoor )

国が違えば物価も住宅価格も家賃も大きく異なります。世界の中間層の方たちはどのような生活をしているのでしょうか。住宅水準の国際比較をしてみましょう。

日本

持ち家

 日本の住宅は世界的に見て高いと言われます。日本人の平均的な住宅はどのようなものでしょうか。まず広さは平均100㎡〜140㎡、価格は現在ならは約2500万円程度、耐用年数は20年〜30年というところが相場です。年収比で7倍、つまり7年分の年収でマイホームが買えるのが一般的です。ただし、首都圏ならば、この広さでも2倍〜3倍の価格になる可能性もあります。

 特徴は広さが狭い割に価格は高いということ、また耐用年数が短いということです。耐用年数の短さは日本が災害の多い国であるということ、また高温多湿と気候であるためという理由がありますが、もう一つ理由があります。それは、日本人の新築志向です。日本は世界的に見て中古不動産市場が小さく、多くの人が自分の持ち家を持ちたいと考えたときに新築で建てます。ただし、現在の主流はやはり新築志向であることは変わりありませんが、最近ではリノベーションの流行などで中古市場に注目が集まっています。

賃貸マンション

 日本の賃貸マンションは、世界的にみてやはり狭く、価格も高いものです。日本の賃貸マンションが狭い割に高いのは、都市に人口が過密しているということだけでなく、耐震性や防犯設備、水漏れ・防音・温度調節設備など目に見えない部分にお金がかかっているためです。そのため日本の賃貸マンションは普通に住んでいれば、災害が発生してもトラブルになることは少ないのです。

 日本の賃貸住宅の広さは、平均が45㎡ほどになっています。欧米諸国に比べて非常に狭いですね。この狭い空間に3人家族で住む、というのが現在の日本の都市部の、一般的な家庭の姿です。ただし日本の持ち家率は70%を超えており、賃貸マンションに住んでいるのは都市部の独身者や若い夫婦などが中心です。さて、これに比べて他国はどのような住宅水準なのでしょうか。

アメリカ

持ち家

 日本の住宅は、よく「ウサギ小屋」のようだと揶揄されます。これは戦後アメリカの文化が急速に浸透する過程で、比較対象が広いアメリカの家であったために、日本の住宅の狭さが強調されて伝わった言説であると考えられます。それでは、一般的に大きな家に住んでいるイメージのあるアメリカ人は、どのくらいの家に住んでいるのでしょうか。

 アメリカの平均的な持ち家の住宅は、床面積は約200㎡、価格は2000万円程度、耐用年数は40年〜50年程度であるのが一般的です。持ち家の住宅価格と年収の比は3〜3.5倍、つまり3年〜3年半程度の年収で、自分のマイホームを持つことができるわけです。 特徴はやはりその広さでしょう。日本よりも相場が安いにも関わらず、その広さは日本の2倍近いです。さらに、耐用年数は日本よりもずっと長いです。耐用年数を年収で割ってみると日本の方が2倍近い価格になります。中古市場に売り出したときにアメリカの住宅はそれほど価格が下がりませんが、日本の住宅は時間がたっているものほど価値がどんどん下がってしまうのです。そのためアメリカでは、たとえば5年間住んだ住宅を売って、そのお金プラスアルファで新しく家を購入してまた住む、というサイクルを繰り返す人も多いです。

賃貸マンション

 アメリカは持ち家の広さも世界有数ですが、賃貸マンションも他の先進国に比べて非常に広くなっています。賃貸マンションの平均床面積は110㎡もあるのです。持ち家に比べれば狭くはなりますが、家族が住むには充分な広さでしょう。これが日本の賃貸マンションならば、広い部類に入ります。東京23区でこの広さを借りようとすれば、かなりの値段になるでしょう。アメリカの持ち家率は69%と日本よりも若干低くなっています。賃貸マンションに住む人は、日本よりも多いようですが、賃貸に住むのはやはり都市部の若い世代に多くなっています。結婚して子どもができれば、持ち家を購入するのが一般的です。

アイルランド

持ち家

 アイルランドは持ち家率が高く、75%もあります。賃貸住宅に住む人の方が圧倒的に少数派なのですね。アイルランドの住宅も耐用年数が長く、新築で作るよりも中古住宅を購入して住むことの方が一般的です。また平均的な価格帯が低いため、平均的な中間層の人たちでも広い家に住んでいます。一般的な水準としてはベッドルームが3つ、書斎、リビング、ダイニング、コンサバトリールーム、バスルームという日本ではかなり広い部類に入る住宅でも、平均的な会社員の家族が住んでいます。住宅価格と年収の比率は3.6倍で、年収3年半程度で家が買えます。アメリカと同じくらいの水準ですが、世界的に見て、先進国の中では低い方です。

賃貸マンション

 アイルランドは日本よりも持ち家率が高いため、賃貸住宅に住む人は少ないのです。日本のようにディベロッパーが供給する賃貸マンションというものがほとんどありません。個人が投資用に保有しているマンションや、使っていないマンションをオーナーから借りるというのが一般的です。さらに賃貸マンションの借り方には2パターンがあり、部屋をまるまる借りる方法と、ベッドルームのみを借りて、バスルームやキッチンを共有するルームシェアという方法です。日本でも最近になって若者の間でルームシェアも流行していますが、こちらではルームシェアの方が若者の一般的な居住形態です。賃貸マンションには、多くの場合家具がついているというのも他の国とは違う特徴です。

オーストラリア

持ち家

 世界的に見てアメリカの住宅の広さは有名ですが、実はアメリカが1番ではありません。平均的な住宅の床面積の広さが1番なのは、オーストラリアです。オーストラリアの住宅の平均床面積は、軽く200㎡を超えています。持ち家は一戸建て、広い庭付きで平均価格は約3000万円〜4000万円というのが相場です。しかも住宅市場は好調なため、売却時にキャピタルゲインを得ることができることも多いのです。中流家庭でも家にプールがついている、ということもまったく珍しくありません。住宅価格を年収比で見ると約6.5倍と、日本に近い水準になっています。

賃貸マンション

 オーストラリアは持ち家率が約70%で、アメリカとほぼ同じ水準です。日本よりも賃貸住宅に住む人は意外にも多いのです。オーストラリアでは、賃貸マンションの家賃は月払いではなく週払いになっています。都市部と郊外で家賃は大きく異なり、都市部ではルームシェアなどをせずに住むことは、かなりお金がかかってしまうようです。そのためやはりオーストラリアでも、都市部の若者の多くはルームシェアしています。

香港

持ち家

 さて、世界的に見てもっとも住宅の平均価格が高いのはどこでしょうか。世界全体を見るとアジアは人口が過密しているため、特に都市部では住宅は狭く、価格は高いというのが共通しています。しかし、その中でも一際高いところがあります。それが香港です。香港の平均的な住宅は、年収比で13.5倍という高さなのです。13年以上の年収でやっと家が買えるということです。日本に置き換えて考えてみると、年収600万円の一般的な家庭で、その13.5倍=8100万円もの家を買うことになります。日本の中流家庭でそれほどの家を買うことはないと思いますが、香港ではそれが普通になっているのです。高級な住宅になると、日本円にして1億を超えるものもたくさんあり、富裕層は数億円〜十数億円の住宅を購入します。

それほど高い住宅を香港市民はみんな購入できるのかというと、やはり購入できない人も多いのです。そこで、香港ではいつまでも親と同居する若者も多く、複数世帯で同じ家に住むことが珍しくないようです。また、親は共働きでバリバリ働き、家事や子どもの世話は家政婦にかませるというケースも多々あります。住宅は狭いのが普通、というのが香港の常識です。居住環境に関しては、日本よりもずっと悪いわけですね。

賃貸マンション

 香港は持ち家の価格が非常に高いのですが、従って賃貸マンションの家賃も非常に高いです。香港ではどの物件も2年契約と決まっていて、2年後住み続ける場合は更新が必要になります。しかし、香港では不動産価格は上昇し続けているため、更新時に大家から新しい、値上がりした家賃が提示されます。20%や30%も値上がりすることも珍しくなく、香港は持ち家でも賃貸でも住むのにお金のかかる都市なのです。そのため通常の会社員で住むことのできるマンションは、持ち家と同じくかなり狭く、契約更新時に多くの人は他の物件へと移動します。

ニュージーランド

持ち家

 世界でもっとも平均的な住宅の床面積の広いのがオーストラリアでした。そのお隣にあるニュージーランドも中間層の方でも大きな家に住んでいるのが一般的です。庭付きの一戸建てに住むのが普通で、価格は2000万円ほど。部屋はベッドルームが3つに広いリビングとダイニング、書斎と大きな庭がある、というものです。ただし、電気や電話の開通を自分で行わなければならず、移住者は戸惑うこともあるようです。住宅価格の年収比は6.7倍程度と、日本に近い水準です。

賃貸マンション

 オーストラリアと同じくニュージーランドも、賃貸住宅の家賃は週払いです。そして現在では、ニュージーランドの賃貸マンションの家賃は日本よりも高くなっています。ニュージーランドの家賃がこれほど高いのは、ニュージーランドではほとんどの人が一戸建て住宅に住んでおり、賃貸住宅の供給数が少ないのです。そのため独身者用のワンルームで日本円にして7万円程度、2LDKや3LDKになると、月10万円以上かかります。都市部ならば、さらに高くなるでしょう。また借りるときは不動産会社を通さず、掲示板や新聞で物件情報を収集し、連絡をとるという形態になります。
 

 今回は世界各国の住宅水準の国際比較を行いました。住宅価格の高いイメージである日本ですが、いまや日本だけが価格・家賃の高い国ではないことが分かりました。しかし、平均的な広さでは未だに日本の住宅は狭く、海外がうらやましくありますね。

 

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