「入居率98%」の甘い響きはまやかし?賃料を上げる不動産管理とは

「入居率98%」の甘い響きはまやかし?賃料を上げる不動産管理とは

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不動産投資での家賃の相場とは?

 多くの不動産投資家の悩みの種は、投資した物件が空室になることです。入居者のいない物件は単に収益を生まないばかりか、管理費修繕費、ローンの返済や税金などがあるため、キャッシュフローが大きく赤字になってしまいます。入居者がいない不動産投資物件は売却の時にも足元を見られて買い叩かれてしまうこともあります。そういった意味では不動産投資の最大のリスクも空室問題といえます。不動産評価のTAS調査のデータによると東京23区のマンションの空室率は11.89%あるとされています。賃貸物件だけでなく、分譲物件も含めての数字ですが日本で一番人口が集中している東京23区でも10件に1件は入居者がいない状態というのが現実です。

 この状況を打破するために、不動産投資家の持つ唯一の手段が家賃の値下げです。相場よりも少し低価格の賃料を提示することで、多くの競争物件のなかから選ばれやすくなります。今日、入居者の多くは検索サイトを使って物件を探しています。ホームズやアットホーム、ヤフー不動産などで条件を入力し物件を検索するため、賃料が安い物件から目にとまる可能性が高くなるのです。家賃には季節による変動もあります。

 不動産検索サイト・ホームズのデータによれば、単身者向けの賃貸物件の家賃において、たとえば豊島区のオン・オフシーズンでは年間約4千円ほどの開きがあります。3月〜4月の引越しシーズンのピークでは7.9万円の家賃相場ですが、12月のピーク前には7.5万円が賃料相場です。投資家にとって見れば、ピークの3月まで待っているとその期間の家賃が入ってこないわけですから、約23万円の機会損失になります。7.5万円でもすぐみつけることができれば、2年後の更新までの機会損失は4千円×24か月分の9.6万円で済む計算になります。そのため多くの家主は賃料を安くしてでも早く空き室を埋めることを希望するのです。

入居率をアピールするごまかし

 不動産投資を勧めている幾つかの会社は、管理物件の「入居率」を営業のアピールポイントにしています。「弊社管理の物件の入居率は98%だから、空室になってもすぐ賃貸がつくので安心です。」というセールストークが定石です。ところがこのセールストークには一つ大きなごまかしがあります。それは空室前と後では同額の家賃ではないということです。東京23区で特に投資用の単身物件の管理をしている会社の常識としては、入居率をあげることはとても簡単です。大家である投資家に相場を説明して家賃を下げさせればよいだけだからです。上記の通り、家賃を下げれば賃貸はすぐつくことになります。そのため管理会社は前述の機会損益の説明をすることで、投資家に家賃の値下げを受け入れさせ、賃貸を早くつけることに腐心しているのが現状です。さらに言えば、東京23区で普通に賃貸管理をすれば入居率は通常98%程度になります。「入居率98%」という文句は実は特筆すべき点ではないということなのです。

 賃料が安くなるということは、すなわち不動産の投資収益が悪化することを意味しています。上記の例では結果として9.6万円収益が下がったと言えるでしょう。不動産マーケティング会社LEEWAYSのデータによれば、東京23区の賃貸物件の賃料は、年間約1.5%〜1.9%ほど下がると報告されています。賃料の下がり率は駅によっても異なります。毎年大きく賃料相場が下がるエリアもあれば、そうでもない地域もあります。いかに賃料を下げず、維持できるかという維持率が実は重要なのですが、そこをアピールできている不動産会社はおそらく皆無でしょう。不動産投資家にとって空室問題を解決する武器が賃料の値下げしかないという現状を打破する方法はないのでしょうか。また賃料をうまくコントロールすることはできないのでしょうか?

賃料を上げられる不動産管理とは?

 賃貸用不動産は形のある物ですので、古くなれば相対的に価値が落ちることは間違いない事実です。毎年新築マンションデベロッパーや土地活用メーカーが大量に賃貸物件を市場に供給するため、既存の中古物件は年々その市場価値が落ちていくことは必然です。アメリカやヨーロッパでは新築物件がなかなか供給されないからこそ、中古不動産の賃料相場が維持され、売却価格も落ちない投資が実現できています。ところが日本においては未だに戦後復興時の新築大量供給のスキームが維持されており、中古になったとたんに価値が落ちるのが当たり前という状況がこれまでの日本の不動産市場でした。

 そんな折りに、登場したのがリノベーションです。日本では2005年頃から少しずつ導入され、2012年ごろからようやく一般に浸透するようになった中古不動産の改修手法です。古くなった部分を全く新しい空間に生まれ変わらせることで経済的な付加価値を生み出すことができるのが魅力です。市場には古さを武器にすることを実現しているリノベーション物件などもでてきており、古くなれば単純に賃料や価格が下がるというわけではないという事例が増えつつあります。賃料以外に価値があること、それが不動産投資において家賃を下げない一つの解決策となるといえます。

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