4月25日に開かれた政府の経済財政諮問会議は、安倍首相が目指すGDP600兆円の実現に向けて、人工知能(AI:Artificial Intelligence)やビッグデータなどに関する研究開発への投資を、2020年度までにGDPの4%以上にすることを目指すなどとした方針案を取りまとめました。
人工知能、ビッグデータ、フィンテックや不動産テックの分野は、ますます活況を呈してくることが予想されます。
政府を挙げての人工知能、フィンテック
90年代に出現したインターネットがそれ以降のビジネス慣行を変えてしまったように、いま動き出している人工知能は、明日からの金融や不動産の取引を変える可能性を秘めています。大きな成長チャンスが予想されることから、ビッグデータを効率的に処理する人工知能の開発は、政府を挙げての動きになっています。
たとえば経済産業省では、5月23日まで広くフィンテックに関する情報提供を募集しています。これまで経済産業省は、フィンテックに関して政策上の課題や対応策を検討するため、合計10回に渡り、産業・金融・IT融合に関する研究会(フィンテック研究会)を開催してきました。
フィンテック研究会での議論の中で、「フィンテックの動きは単なる金融のIT化に留まらず、金融サービス側には産業構造・システムの変革を迫り、ユーザー側には金融サービスを受ける裾野・機会の拡大をもたらす等社会に大きなインパクトを与える可能性がある、といった議論がなされました。」(経済産業省のウェブサイトより引用)
この議論は、もちろん、金融サービスに留まりません。「不動産テック」もフィンテックに続くことでしょう。
フィンテックに続く不動産テック
フィンテックの金融をそのまま不動産に置きかえてみましょう。
- 不動産テックの動きは単なる不動産のIT化に留まらず、不動産サービス側には産業構造・システムの変革を迫り、ユーザー側には不動産サービスを受ける裾野・機会の拡大をもたらす等社会に大きなインパクトを与える可能性がある –
金融(フィンテック)を不動産(不動産テック)に置きかえても同じことが言えます。不動産の価値評価や将来予測、取引サポートなどのあらゆる局面で、不動産のサービスを提供する側には、産業構造やシステムの変革が迫られることになります。
つまりこれまでの「情報の非対称性」を武器にした不動産ビジネスは、「人工知能や不動産ビッグデータ」を武器にした不動産ビジネスに代わっていく事でしょう。
その過程でユーザー側は大きなメリットを受けることになります。不動産に関する大量のデータを人工知能が分析し、ユーザーに開示する事で不動産の価格や賃料の透明性が増すことになるからです。
不動産テックで不動産取引が活性化する
不動産取引を妨げているものの一つに、不動産の取引価格を不透明と感じるイメージがあります。公益財団法人不動産流通推進センターがとりまとめた「不動産流通業における人材育成活動に関する調査研究報告書」(2008.3)の「不動産業界イメージに関するアンケート」によると、不動産取引に以下のようなイメージがあるとのことです。
- 不動産の価値が客には分からない場合が多いので、どこまで彼らが利益を得ているのかがグレーな印象を受ける。
- 利益の上げ方が不明瞭、暴利を上げていそう。
- 店舗によって物件の偏りがある。
- 契約する気でないと、入りづらい。営業がうまそうで、自分のペースで物事を展開できる気がしない。
これらは普通の人たちが感じている不都合ですが、不動産テックはこのような良くないイメージを変える力があります。
売りに出されている物件の「価格」と、その物件が持っている本来の「価値」との乖離が分かりにくいことで不動産の購入に二の足を踏む人がいるのが実態でしょう。しかし、不動産テックの進展でこの状況は大きく変わるでしょう。現在の賃料はどのくらいが妥当なのか、将来の賃料はどのようになりそうか、将来の物件価値はどうなりそうか。それらは人工知能が新たな扉を開きます。
さらには、店舗による物件の偏りや契約する気でないと入りづらいといったイメージも、IT化で変えることができます。自分のペースで投資のシミュレーションができる世界はもう始まっているのです。
≪関連記事≫
> 不動産取引を人工知能がサポート 新サービス「Gate.」開門!
> 「フィンテック」に続く「不動産テック」とは何か?
人工知能による不動産テックを知ることから
政府も後押ししている人工知能は、金融だけでなく不動産取引のビジネス慣行を大きく変える可能性があります。この先の不動産業は、不動産そのものを取り扱う産業だけではなく、物件の「情報」を取り扱う産業に代わっていくでしょう。顧客が取引するのは物件ですが、顧客が必要としているものは情報だからです。
人工知能が賃料収入や物件の価値を明らかにする動きは、不動産を購入する方の注目を集めつつあります。一方で人工知能には一部にとまどいや漠然とした恐怖心や猜疑心を感じる方もいますが、これまでになかったものが浸透するときにはよくあることです。
まずは人工知能による不動産テックがどのようなものか、知ることから始めてはいかがでしょう。
人工知能(AI)を使った新時代の不動産投資成功セミナー開催!