マイナス金利で住宅ローンが引き下がる見込み

マイナス金利で住宅ローンが引き下がる見込み

マイナス金利と住宅ローン

 日本銀行は、1月29日の金融政策決定会合でマイナス金利の導入に踏み切りました。この結果を受けて当日の日本の株式市場では、緩和マネーが不動産に回りやすくなり、資金調達コストが引き下がることを見込んで不動産株が大きく上昇しました。

日銀が採用したマイナス金利とは

 日銀が採用したマイナス金利では、金融機関が保有する日銀の当座預金の一部に0.1%のマイナス金利が適用されます。市中銀行は毎月16日から翌15日までの1か月間に、決められた額の預金を日銀の口座に預けなければいけませんが、現状は必要額を超えて預入している状況です。市中銀行は、余ったお金の運用先が見当たらないため、消去法的に日銀の口座に預金を積んでいるのです。
 日銀は、これまで預けなければいけない額に対してはゼロ金利を、必要額を超えて預けている分にはプラスの0.1%の利息を付けています。今回のマイナス金利の導入で、日銀は、必要額を超えて預けている分の一部に、マイナス0.1%の金利を適用します。適用されるのは市中銀行が2月16日以降に預け入れる額についてです。
 日本銀行の狙いは、市中銀行が損をするマイナス金利を導入することで、市中銀行に日銀への預金を増やすことではなく、企業や家計への融資を増加させるところにあります。

マイナス金利で長期金利が低下

 マイナス金利の導入が発表されてからの市場の動きは劇的でした。不動産関連の株式は大きく上昇する一方、収益の悪化が懸念される銀行株は下落しました。
 株式市場より劇的な動きとなったのは、債券市場です。日本の長期金利の利回り(10年債券利回り)は、マイナス金利が発表された翌2月1日に、0.05%の水準まで金利が低下しました。マイナス金利の影響で、相対的にそれまでの債券の利回りが魅力的になったからです。

長期金利の低下と住宅ローンの低下

 住宅ローンを借りようとする人にとって、今回のマイナス金利は朗報です。フラット35に代表される長期固定の住宅ローンは、長期金利に連動するからです。マイナス金利によって長期金利が過去最低レベルを更新しています。このままでいくと長期固定の住宅ローンもやがて引き下げられるでしょう。
 変動金利の住宅ローンもメリットが大きいです。短期金利も大幅に引き下がりますし、日銀による緩和的な姿勢は強まることはあっても緩むことはなさそうです。となると変動金利で借りているローンは低位安定が見込まれます。変動金利で気になるのは金利が上昇することですが、そのリスクは大きくはなさそうです。

住宅ローンで金利低下以外のメリット

 住宅ローンの金利が低下する以外に見逃せないポイントがあります。それは銀行の融資姿勢の緩和が期待できることです。
 マイナス金利の導入によって、銀行は日銀に預金としてお金を預けるよりは、企業や家計への貸出を増やしたいと思うでしょう。しかしながら、企業側に借入れのニーズが低いことや融資審査の難しさから、銀行は企業向けの事業性融資を急激に伸ばすのは難しそうです。一方、不動産担保のある住宅ローンやアパートローンならば、不動産担保の評価基準を緩くすることで比較的かんたんに融資を増やせます。
 つまりは今回のマイナス金利の採用によって、借入れの金利が低くなることと、借入れがしやすくなるという2つのメリットがあります。さらには、借り入れ金利と不動産の利回りの差であるイールドギャップも大きくなりますので、不動産の市況も堅調に推移することが期待できます。
 日銀によるマイナス金利の採用は、不動産投資家にとって歓迎すべき内容と言えるでしょう。

【“マイナス金利”についてもっと知りたい方はコチラの記事も】
>> マイナス金利が不動産投資に与える影響

 

不動産投資カテゴリの最新記事