若者の街であり続ける『渋谷』
「渋谷」駅の賃貸市場
渋谷駅周辺(徒歩15分圏内)の賃貸市場を見ていきましょう。下記の分布図は渋谷駅周辺15分圏内の賃貸物件の㎡単価を築年別に表したものです。
築年別平米賃料 分布図(n=3,033)
渋谷駅の賃料相場からです。上記のデータを基に渋谷駅の賃料相場平均すると4,370円と23区平均より1平米あたり約1,031円高く、最頻値を見ても23区平均よりも高い数値を示していることから、渋谷駅は賃料水準の高いエリアであることがわかります。
エリア別 平米賃料単価/築年数 比較表
賃料単価(円/㎡) |
最頻値 |
|
渋谷 |
4,370 |
5,221 |
23区平均 |
3,339 |
3,000 |
|
築年数(年) |
標準偏差 |
最頻値 |
渋谷 |
15 |
6 |
15 |
23区平均 |
21 |
6 |
24 |
次に、重回帰分析から徒歩・築年・面積が賃料にどの程度影響を与えているかを見ていきましょう。下記の表は、東京23区の単身者物件の分析結果です。分析の精度をたかめるために、東京23区内の築10年から30年、16㎡から30㎡、かつ2階以上のデータに絞って分析しています。
徒歩・築年・面積による賃料の重回帰分析結果一覧
a.徒歩 |
b.築年 |
c.面積 |
d.切片 |
e.標準偏差 |
|
渋谷 |
-769 |
-919 |
3,022 |
53,042 |
17,950 |
23区平均 |
-460 |
-707 |
1,755 |
50,736 |
10,503 |
渋谷駅の単身者物件の賃料は「d.切片」の53,042.0円からスタートし、徒歩1分ごとに「a.徒歩」の768.8円ずつ値下がり、築年数1年ごとに「b.築年」の919.0円ずつ値下がり、面積1㎡ごとに「c.面積」の3,021.6円ずつ値上がることがわかります。
この結果を23区と相対比較するために3つの指標を定義します。
1.build_rate 「b.築年/d.切片」
説明変数buildを切片dで割る。賃料に与える築年数の影響度を表す。
2.Time_rate 「a.徒歩/d.切片」
説明変数timeを切片dで割る。賃料に与える徒歩分数の影響度を表す。
3.Sddep_rate 「e.標準偏差/d.切片」
標準偏差を切片dで割る。賃料のばらつき度合いを表す。
「d.切片」に対する割合
b.築年/d.切片 |
a.徒歩/d.切片 |
e.標準偏差/d.切片 |
|
渋谷 |
-1.73% |
-1.45% |
33.84% |
23区平均 |
-1.40% |
-0.89% |
20.88% |
まず築年・徒歩による影響「b.築年/d.切片」「a.徒歩/d.切片」については、賃料に与える影響割合が高いことがわかります。これは駅前商業施設や再開発が原因と考えられ、駅周辺に魅力のある街並み、建物、施設のあるケースで多くみられる傾向です。また、賃料のばらつき度合を表す「e.標準偏差/d.切片」が非常に大きいエリアであることがわかります。渋谷はマーケットが充実している(需要・供給がともにある)ため取引が活発で、良い物件はより高く貸せるエリアであることが特徴といえます。
※リーウェイズマンションDBより作成(平成26年12月現在のデータ)
※賃料単価は中央値であり、平米数を乗算した賃料が必ずしも相場と一致するものではありません。
※分析は築10年~30年、面積16 ㎡以上30 ㎡未満のデータから算出しています。
「渋谷」駅のエリア特性と居住者の特徴
次に「渋谷」のエリア特性を見ていきましょう。
「夜間人口=ベッドタウン性」「昼間人口=ビジネス性」「商業人口=繁華街性」の3つの割合から指標化すると、渋谷は高い繁華街性を有していることがわかります。大型店舗も多く建ち並ぶする渋谷は、都内・県外から多くの人が買い物で訪れます。従って「ベッドタウン性(夜間人口)」は少なく、渋谷は「商業」「ビジネス」エリアとして機能していることが伺えます。
居住者の世帯構成・年齢構成をみると、単身者と2人世帯の多いエリアであることがわかります。また年齢構成では、男女ともに30代が最も多いことがわかります。
渋谷は賃料相場もやや高いエリアであるため30~40代の単身者・DINKS層が多く、ブランド力のある繁華街という特徴から女性比率がやや高い傾向にあると考えられます。
ベッドタウン性 = 夜間人口 / (夜間人口 + 昼間人口 + 商業人口)
ビジネス街性 = 昼間人口 / (夜間人口 + 昼間人口 + 商業人口)
繁華街性 = 商業人口 / (夜間人口 + 昼間人口 + 商業人口)
※ 商業人口 = 小売業年間販売額 ÷ (都道府県内の小売業年間販売額 ÷ 都道府県人口)
※ 昼間人口には学生数を含むため、ビジネス街性は学生数によっても増加する指標となります
男女別 年齢構成比
出典:国勢調査(平成22 年)より
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