「千駄木」駅周辺の賃貸市場
下記のグラフは「千駄木」駅の賃貸データを築年別にグラフ化したものです。約40年ほど前からコンスタントに供給が増えていることがわかります。
平米単価の平均を23区と比較すると、賃料相場はやや高めなことがわかります。また、築年数の傾向をみると「千駄木」のほうが古い物件が多いことから、同じ築年数であれば「千駄木」の賃料が平均的に高いことがデータから読み取ることができます。
賃料単価(円/㎡) | 最頻値(円/㎡) | 築年平均(年) | 標準偏差(年) | 最頻値(年) | |
---|---|---|---|---|---|
千駄木 | 3,559 | 4,063 | 24 | 6 | 24 |
23区平均 | 3,339 | 3,000 | 21 | 6 | 24 |
次に、重回帰分析から徒歩・築年・面積が賃料にどの程度影響を与えているかを見ていきましょう。下記の表は、東京23区と千駄木の単身者物件の分析結果です。分析の精度をたかめるために、築10年から30年、16㎡から30㎡、かつ2階以上のデータに絞って分析しています。
■徒歩・築年・面積による賃料の重回帰分析結果一覧(n=760、R2=0.64)
a.徒歩 | b.築年 | c.面積 | d.切片 | e.標準偏差 | |
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千駄木 | -509 | -532 | 1,949 | 46,999 | 10,816 |
23区平均 | -460 | -707 | 1,756 | 50,736 | 10,503 |
千駄木の単身者物件の賃料は「d.切片」の46,999円からスタートし、徒歩1分ごとに「a.徒歩」の509円ずつ、築年数1年ごとに「b.築年」の532円ずつ値下がり、面積が1㎡広くなるごとに「c.面積」の1,949円ずつ値上がることがわかります。
この結果を23区と相対比較するために3つの指標を定義します。
1.build_rate 「b.築年/d.切片」
説明変数buildを切片dで割る。賃料に与える築年数の影響度を表す。
2.Time_rate 「a.徒歩/d.切片」
説明変数timeを切片dで割る。賃料に与える徒歩分数の影響度を表す。
3.Sddep_rate 「e.標準偏差/d.切片」
標準偏差を切片dで割る。賃料のばらつき度合いを表す。
■「d.切片」に対する割合
b.築年/d.切片 | a.徒歩/d.切片 | e.標準偏差/d.切片 | |
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千駄木 | -1.13% | -1.08% | 23.01% |
23区平均 | -1.40% | -0.89% | 20.88% |
相対的に比較すると、「千駄木」は昔からある街並みであるため、築年数による賃料への影響が23区平均よりもやや低い傾向があります。また、賃料のばらつきを表す標準偏差は23.01%と23区平均よりもやや高い傾向です。アクセスの良い駅が多く、その周辺の賃料と駅から離れた物件の賃料との差がこの数字に表れていると考えられます。
※リーウェイズマンションDBより作成(平成26年12月現在のデータ)
※賃料単価は平均値であり、平米数を乗算した賃料が必ずしも相場と一致するものではありません。
文京区と千駄木周辺のエリア特性と居住者の特長
まずは「千駄木」のエリア特性から見ていきましょう。
「夜間人口=ベッドタウン性」「昼間人口=ビジネス性」「商業人口=繁華街性」の3つの割合からエリアの特性を指標化すると、千駄木はややビジネス街性よりに位置しています。東京大学をはじめ、付近に大学が多く昼間に学生の人口が多いことや、古い歴史を残した、下町感のある街並みが昼間人口を増加させビジネス街としての特性をだしているようです。
人口のうち単身世帯の割合をみると、東京都全体で49%に対し、文京区は56%と割合として比較的高いことがわかります。対象エリアとなる千駄木(1丁目~5丁目)、根津(1丁目,2丁目)の調査資料によると、単身世帯の割合は51%となっており、区全体の傾向と 同じく半分以上が一人暮らし世帯となっています。また、対象エリア内住民の年齢構成をみると、30~49歳の割合が最も高く、次いで40~59歳となっています。古くから続くエリアのため、中間世代の割合が若干多い傾向となっています。
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