「地名」にも注目? 不動産投資における自然災害リスクと対策

「地名」にも注目? 不動産投資における自然災害リスクと対策

A seismograph records data.

「ミドルリスク、ミドルリターン」と言われる不動産投資。賃料により継続的で安定した収入が見込める一方で、さまざまなリスクがあることを把握し対策を行うことが必要になります。そんな不動産投資のリスクの中でもコントロールが難しいものの一つに「自然災害リスク」があります。不動産投資の自然災害リスクとはどのようなものなのか、またリスクを軽減するためにどのような対策を取ることができるのかについてお伝えしていきます。

自然災害で不動産が受ける被害とは

地震大国と呼ばれる日本。世界で発生したマグニチュード6以上の地震のおよそ20%が日本で起きています。
大規模な地震が発生した場合、家屋が倒壊する可能性があります。例えば、昨年4月の熊本地震では、8,204棟が全壊、30,390棟が半壊、139,320棟が一部破損の被害に遭ったことが確認されています。
さらに地震にともなって起こる津波や液状化、地すべりなどにより土地や家屋が被害を受ける可能性もあります。
また、台風や集中豪雨による洪水などの水害、豪雪による雪害、火山の噴火など、地震以外の自然災害により、収益物件や周辺環境に被害が及び、投資効率の低下を招くこともあるでしょう。

地震に強いのはどんな物件? 収益物件選びの際のポイント

地震による被害をできる限り受けないようにするためには、収益物件を選ぶ際に耐震性能に注目するのが大切です。
わが国の住宅の耐震性は、建築基準法により定められています。現行の耐震基準は1981年6月に改正時に導入されたものがベースになっています。これは「新耐震基準(新耐震)」と呼ばれ、それ以前の「旧耐震基準(旧耐震)」と区別されています。
1995年に起きた阪神・淡路大震災でが、倒壊・半壊など大きな被害を受けた建物の多くが1981年6月より前、旧耐震基準により建てられた建物でした。
収益物件を選ぶ際には、1981年6月以降に新耐震基準を満たして建てられた物件かどうかが注目ポイントの一つとなるでしょう。ただし、熊本地震では新耐震の建物も多数倒壊しているため、「新耐震の物件ならば必ず安全である」とは言いきれません。逆に、旧耐震であってもしっかりとした造りの建物もあります。
構造で言えば、低層で壁の量の多い「壁式構造」のマンション、凹凸の少ないシンプルな構造の建物が比較的地震に強いとされています。一方、1階部分を駐車場などなどとして利用するためピロティ(壁が少なく、柱のみで支えられた構造)にしているマンションなどは地震に弱く、阪神・淡路大震災や熊本地震でも被害を受けるケースが多く見られました。

cracked road concrete close up

「立地」や地盤にも注目! ハザードマップを活用しよう

建物自体の耐震性も大切ですが、その建物が立っている土地の地形や地盤の丈夫さなども自然災害リスクを避ける上で重視したい部分です。その際に活用したいのがハザードマップです。
近年、各地方自治体は自然災害への対策としてハザードマップの整備に力を入れています。これは、洪水や高潮、津波、土砂災害、液状化などの災害が起きた場合に被害の及ぶ区域や被害の大きさなどを地図に記したもので、各地方自治体の窓口で入手できるほか、ネット上でも確認することができます。

国土交通省ハザードマップポータルサイト
http://disaportal.gsi.go.jp/

ハザードマップは、購入を検討する物件のある土地にどの程度災害リスクがあるのかを知るための手がかりの一つとなるはずです。

Real estate concept , house search .

地名も自然災害リスクを知る手がかりに

地名、特に「字(あざ)」など昔から用いられてきた地名には、その土地の地質や土壌などに由来したものが多いとされています。たとえば水や湿地などを意味する地名の中には、過去に水害に見舞われたなど、水に関するリスクが高い可能性もあります。
もちろん、かつて自然災害に見舞われたことのある土地であったとしても、現在では整備されてむしろ災害リスクが低くなっているケースもあります。
また、新興住宅地の開発に伴い、地名が変更された地域では、悪いイメージを払拭するために新たに名づけられたものが多く、もともとは上記の例のように災害リスクの高い地名であったケースが少なくありません。
例に挙げたような地名の場合には、周囲の地形を十分に確認するとともに、ハザードマップはもちろん過去の災害や土地の利用状況、自治体などによる自然対策状況などを確認するのが特に重要になってくるでしょう。

以上、不動産投資における自然災害リスクと対策についてお伝えしてきました。地震などの自然災害はいつ、どのような規模のものが起こるかは予測できるものではありませんが、災害に強い土地や建物を選ぶことでリスクを軽減することができます。参考にしてみてください。

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