「早稲田」駅周辺の賃貸市場
下記のグラフは「早稲田」駅の賃貸データを築年別にグラフ化したものです。約40年ほど前からコンスタントに供給が増えていることがわかります。
平米単価の平均を23区と比較すると、賃料相場はやや高く、㎡あたり391円(20㎡で7,820円)違います。「早稲田」は単身者ニーズが高いエリアであるため、単身者物件が多く、賃料単価(円/㎡)も高めな傾向があります。一方、学生向けのマンションも多いエリアですので、賃料単価の最頻値は3,229円/㎡とやや高い程度に収まっています。
また、築年平均をみてみると、平均(年)、最頻値(年)ともに23区より低く、23区全体と比較して新しいマンションの多いエリアであることがわかります。
■賃料単価と築年数の比較
| 賃料単価(円/㎡) | 最頻値(円/㎡) | 築年平均(年) | 標準偏差(年) | 最頻値(年) | |
|---|---|---|---|---|---|
| 早稲田 | 3,730 | 3,229 | 14 | 6 | 14 |
| 23区平均 | 3,339 | 3,000 | 21 | 6 | 24 |
次に、重回帰分析から徒歩・築年・面積が賃料にどの程度影響を与えているかを見ていきましょう。下記の表は、東京23区と早稲田の単身者物件の分析結果です。分析の精度をたかめるために、築10年から30年、16㎡から30㎡、かつ2階以上のデータに絞って分析しています。
■徒歩・築年・面積の賃料への影響(重回帰分析)
| a.徒歩 | b.築年 | c.面積 | d.切片 | e.標準偏差 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 早稲田 | -312 | -655 | 1,780 | 54,140 | 9,721 |
| 23区平均 | -460 | -707 | 1,756 | 50,736 | 10,503 |
早稲田の単身者物件の賃料は「d.切片」の54,140円からスタートし、徒歩1分ごとに「a.徒歩」の312円ずつ、築年数1年ごとに「b.築年」の655円ずつ値下がり、面積が1㎡広くなるごとに「c.面積」の1,780円ずつ値上がることがわかります。
この結果を23区と相対比較するために3つの指標を定義します。
1.build_rate 「b.築年/d.切片」
説明変数buildを切片dで割る。賃料に与える築年数の影響度を表す。
2.Time_rate 「a.徒歩/d.切片」
説明変数timeを切片dで割る。賃料に与える徒歩分数の影響度を表す。
3.Sddep_rate 「e.標準偏差/d.切片」
標準偏差を切片dで割る。賃料のばらつき度合いを表す。
■賃料への影響度合い
| b.築年/d.切片 | a.徒歩/d.切片 | e.標準偏差/d.切片 | |
|---|---|---|---|
| 早稲田 | -1.21% | -0.58% | 17.96% |
| 23区平均 | -1.40% | -0.89% | 20.88% |
相対的に比較すると、築年による影響「b.築年/d.切片」、駅からの距離による影響「a.徒歩/d.切片」、ともに低い割合です。「早稲田」は大学が多く学生需要が高いため築年数の影響を受けにくく、駅からの距離よりも大学からの距離で物件を選ぶ入居者が多いためと考えられます。また、「e.標準偏差/d.切片」の割合も低く、これも学生需要が高いエリアであるため、賃料の需要の幅が限られているということを意味しています。
※リーウェイズマンションDBより作成(平成26年12月現在のデータ)
※賃料単価は平均値であり、平米数を乗算した賃料が必ずしも相場と一致するものではありません。
新宿区と早稲田周辺の居住者の特長
まずは「早稲田」のエリア特性から見ていきましょう。
「夜間人口=ベッドタウン性」「昼間人口=ビジネス街性」「商業人口=繁華街性」の3つの割合からエリアの特性を指標化すると、早稲田大学を始め多くの大学・専門学校が集まっているエリアであるため昼間人口が多く、早稲田はビジネス街に位置しています。
人口のうち単身世帯の割合をみると、東京都全体で45.71%に対し、新宿区は62.35%と割合として比較的高いことがわかります。対象エリアとなる高田馬場(1~4丁目)、西早稲田・戸山・原町(1~3丁目)などの調査資料から単身世帯の割合をみてみると、区全体に近い62.81%となっており、早稲田周辺エリアは一人暮らしの方が多いということがわかります。また、対象エリア内の居住者の年齢構成をみると、20~39歳の割合が36.2%と最も高く、40歳未満が約半数を占めています。学生向けのマンション・アパートも多いことから、比較的若い世代の割合が多い傾向となっています。

次のページ>>早稲田の現状と今後の課題・まとめ
