2015年の大型、ユニーク取引事例ランキング

2015年の大型、ユニーク取引事例ランキング

ビジネスマンと不動産業界

2015年は大型の不動産取引が相次ぎました。大型取引だけでなくユニークな取引も多くありました。どのようなものがあったのか、ランキング形式で見てみましょう。

2015年の不動産の注目取引事例をランキング

  2015年の不動産取引にはどのようなものがあったでしょうか。一年間の不動産取引には、その年の経済の動きや不動産市況の動きが必ず反映されています。2015年に行われた国内外の不動産取引の中から、注目されたものを当社が独自にランキングしました。

位   シャープ本社ビル売却

 2015年9月28日、日本を代表する大手総合家電メーカーであるシャープが、大阪市阿倍野区の本社ビルを売却しました。買い手はインテリア小売り大手のニトリです。売却額は約180億円と発表され、大きな取引であったことが分かります。
 シャープは経営戦略の苦戦、業績の不振からここ数年大幅な経営改革が必要だと言われてきました。主要事業である液晶事業が価格下落で収益が悪化し、中国や韓国の企業との競争が激化して借入金を返すことも困難になっています。経営改善のために生産設備やオフィスの売却、社員の解雇などのリストラに迫られており、9月の本社ビルの売却はそれを象徴する出来事でした。シャープは他にも主要な物流拠点や社員寮、倉庫などの売却も進めています。
 売却された本社ビルは後に取り崩され、ニトリが新規出店する予定のようです。

位  民泊禁止マンション発売

 ここ数年の不動産業界の動向として「民泊」の増加があります。民泊とはホテルや旅館ではない一般人の家に泊まる行為のことですが、東京オリンピックの開催から予測される宿泊施設の不足や外国人旅行者の増加などから、欧米では浸透していた民泊ビジネスが日本でも流行しました。
 しかし、民泊は一般のマンションや一軒家に旅行者を泊める行為であり、近隣住民の理解を得られない可能性もあります。そこで2015年12月には、住友不動産は民泊をあらかじめ禁止したマンションを販売することを発表しました。具体的には、宿泊施設として使ってはならないという規約を作成して、事前に禁止するマンションを発売することにしたようです。
 Airbnbの利用やその他の手段による民泊は、一般的には旅館業法と不動産賃貸業との兼ね合いで法的にはあいまいな形態とみられています。また、マンションの区分所有者には区分所有権にもとづく使用収益の権利もあり、より問題が複雑になっています。
 民泊禁止マンションの発売がある一方で、規制緩和で民泊を広げたいとする動きもあります。民泊については、様々な立場や考え方の人がなるべく多く納得できるような、適切なルール作りが待たれます。

参考記事 >>
 『Airbnb・民泊をめぐる最近の規制緩和の動き』
 『Airbnbの利用をマンション規約で拒否できるか』

 位 不動産王のビル売却

 海外に目を向けると、2015年には大型取引事例がたくさんあります。その中の一つが、香港の不動産王であるラウ氏の会社「華人置業集団」が、香港に所有する高層オフィスビルを売却した取引です。このオフィスビルの売却価格は日本円にして約2000億円という非常に大きなもので、香港での商業用ビルの売却価格としては、過去最高額の2倍というものでした。
 しかしそれだけではありません。コレクターとしても名高いラウ氏はその直前に、ジュネーブのオークションで日本円にして60億円近いダイヤモンドを落札していました。このダイヤモンドは7歳の娘のために落札したそうです。このニュースの話題性と不動産取引の高額さから、香港の不動産王のパワーを見せつけられた取引でした。

参考記事 >>
 『2015年世界の不動産バブル国ランキング!日本はなんと○○位!』

位 サムスン本社ビル売却

 2015年3月、韓国の電子メーカーであるサムスンが、六本木に所有する本社ビルを売却しました。サムスンは六本木から飯田橋に本社を移転する予定で、今回の本社の移転は、東京各地に分散していた事業所を飯田橋本社に集中させる目的であると説明しています。サムスンの六本木本社はサムスンの栄華の象徴と言われることもあり、今回の売却はスマホ事業の不振にあるのではないかとも報道されましたが、事実はどちらか分かりません。
 ただサムスンは本社を移転することで、事業所の集中による業務効率の向上だけでなく、東京、新宿、成田などへのアクセスの改善、数百億の売却益など、複数の目的を達成することができます。無駄な資産を抱えるよりも業務に集中するという戦略があるようです。売却額の高さからも注目されました。

位 ホテル日航那覇売却

 沖縄県那覇市にあり、知名度の高い「ホテル日航那覇」が、2015年9月、アメリカの投資会社エリオットに売却されることになりました。那覇の重要な観光施設だったため、観光業界では非常に注目された不動産取引のニュースです。
 しかし、ホテルとしての運営や従業員の雇用形態には変化はありません。運営するJALホテルズとの契約は存続されるからです。もともとホテル日航那覇は、アメリカの投資会社ハドソンジャパンが保有しており、それがエリオットに売却されるということで、ホテルの保有者が変更されるだけの取引です。短期的には運営や雇用に変更はありませんが、長期的には経営戦略の変更などの影響があるかもしれません。

位 ゴールドマン・サックスによる「グラントウキョウサウスタワー」の取得

 世界最大級の投資銀行であるゴールドマン・サックスの日本子会社は、東京丸の内にあるオフィスビルである「グラントウキョウサウスタワー」の中の5フロアを約400億円で取得しました。日本は全国的にオフィスビルの空室率が下がっており、需要の拡大が見込めること、また東京オリンピックに向けて地価の上昇が見込めることから、今回の取得に踏み切りました。取得にあたっては生命保険会社の大手など多数の金融機関から出資を募っており、3%以上の利回りで運用する計画です。
 ゴールドマン・サックスをはじめとして丸の内エリアでは外資系の金融機関によるオフィスビルへの投資が活発になっています。しかし金融機関は自己投資が規制強化されているため、最近では今回のように、外部の機関投資家・個人投資家から資金を集めて投資する戦略が増えています。東京の不動産市場は世界的に注目されているため、今後はますます外資系金融機関による投資が増えることが予想されます。

7 位 アレキサンダー・マックイーンのビル売却

 イギリスを代表するファッションブランドである「アレキサンダー・マックイーン」の入ったロンドンのビルが1億6000万ポンド=約280億円で売りに出されました。位置するのはロンドンの高級ショッピング街であるオールド・ポンド・ストリートであり、不動産価格の高騰が続いているエリアです。
 アレキサンダー・マックイーンは同名の天才デザイナーによって立ち上げられたブランドですが、マックイーン氏が亡くなった後も変わらず世界的な人気を集めています。不動産取引としての規模というよりも、その注目度からファッション業界で話題になりました。ロンドンの不動産価格は高騰しており、庶民には手を出せないほどの価格になっています。夫婦で住むような通常のアパートでも8000万円を超えるほどの価格がつくこともよくあり、中には一般の家庭の階段下の倉庫のみの貸し出しで、日本円にして賃料が月20万円というケースもあります。今回の取引もそれほどの大型物件でないにもかかわらず200億を超える売却額になっており、ロンドンの不動産市場の過熱が現れています。

 以上2015年の大型取引事例をランキングにしてきましたが、いかがだったでしょうか。他にも大型取引は多いのですが、話題性のあったものや、不動産市場の動向を象徴するようなケースを集めてみました。

 

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